2015年

8月4日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2015-08-04 16:10:47 (2871 ヒット)

 昨日慶應医学賞の審査会だった。ノミネートされている方々の業績をみると我彼の差に呆然となる。外部審査委員の旧知の先生と雑談をしていて自分たちの時代は遺伝子のクローニングとノックアウトマウスの解析で(私のように大した頭がなくても)生き延びてこれたがこれからの若い人はどうするんだろう?といった話になった。たぶんいつの時代も新しい技術が次々と生まれ、若い人はそれに慣れて使いこなし、いきおい年寄りはついていけないと嘆くことになるのだろう。そしたらS先生がイスラエルの話をしてくれた。イスラエルでは徴兵制がありおおよそ男は3年、女は2年の軍隊経験が義務づけらている。ここで優秀な人間は兵務の実践ではなくコンピュータを徹底的に教育させられるのだそうだ。今やドローンを使って画面上で攻撃する時代なのでコンピュータの開発は軍事に欠かせない。そうやってIT教育を受けた若者は除隊後プログラマーになったりIT企業を興したりする。生命科学の分野ではバイオインフォマテッシャンとなり、いわゆるドライ系の研究を行う。今やイスラエルではウエットの実験をする若者のほうが足りないと言う。
少なくともゲノム情報やビッグデータが今後の生命科学の研究手法や方向を変えることは間違いないだろう。当教室でもゲノムワイドのメチル化解析などやりたいのだが、到底自分では出来ず共同研究ということになる。シークエンス代は出しますからと言っても人員が割けないと言われて断られたりする。日本でドライが出来る人はまだまだ不足している。
でもそのうちもっと恐ろしい時代が来るような気がする。科学的発見のアルゴリズムをきちんと書き出すことができればビッグデータを背景にAI(Artificial Inteligence)がものすごい大発見を次々に出してくれるのではないか?科学は論理的なだけに人文社会学分野よりも先にAIが人間を凌駕するだろう。人間はAIが出してくれた仮説を検証する役目を担うだけになるかもしれない。昔子供のころに『地球爆破作戦』(1970)という映画があった。なかに自我を持ったスーパーコンピュータ(当然テープ式の旧型のものだったが)が何分かごとにノーベル賞級の発見を次々に導き出したというような表現があった。それが現実になるかもしれない。人間と会話したり東大入試を解くAIの話を聞くとそんな時代はもうすぐそこまで来ているように思える(少なくともすでに私よりは優秀そうだ)。そんな時代を生命科学者、いや一般の理系人間はどう生きればいいのだろうか?全く想像もつかない。スポーツや音楽や文芸をやったほうがいいのかもしれない。国立大学では文系をなくすなどど言われているが後で後悔することになるかも?

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