2016年

2月8日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-02-08 09:11:55 (2842 ヒット)

 ブラジルで妊婦がジカ熱ウイルスに感染すると小頭症の子供が生まれる可能性が高いことが報告され注目を集めている。妊婦の感染が胎児や新生児に重大な影響を及ぼす疾患群をTORCH症候群といって微生物学の講義で必ず出てくるので医学部学生は知っているはず。しかし母体のウイルス感染が胎児の脳に影響を与えるメカニズムはあまりよくわかっていなかった。Scienceのon-line版にマウスを用いた感染モデル(ここではpolyI:Cをかわりに用いている)によって胎盤のTh17から産生されたIL-17によって胎児脳の皮質に発生異常が起こること、その結果生まれた仔は自閉症様の症状を示すことが報告されている。IL-17抗体の投与によって異常は抑制されるらしい。Th17やIL-17がEAE(多発性硬化症の動物モデル)や脳梗塞などの神経疾患モデルに悪影響を及ぼすことはよく知られているのでありうることだと思う。ヒトではどうだろうか?TORCH症候群によって引き起こされる子供の神経症状もTh17が関係しているかもしれない。妊婦のインフルエンザ感染が子の自閉症のリスクを2倍にする調査結果が少し前に話題になった。抗IL-17抗体が母子感染による新生児の障害の抑制に効くかもしれない。そういえば最近のニュースで福井大学から母親の腸内細菌が子供の発達障害に関係すると言う報告もあった(ただこれもマウスか)。ところで学生諸君はTORCHの各微生物名をちゃんと言えるかな?

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