2011年

2月9日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2011-02-09 10:14:33 (12602 ヒット)

JSTからのプレスリリース(複雑な話なのかどこからも取材はなかったが)。NCのリンク  日経バイオのリンク やっぱり難しくてなんのことか理解できなかった!?こちらのHPのかたはかなり頑張って読み解いていただきました。書かれてある通りです。もっと簡略に書けばよかた。。スミマセン。

知念君は九大の内科出身でうちの学振PDでしたが、昨年4月からすでにNew YorkのRudenskyラボに留学しています。彼のこの論文は留学後投稿していろいろと難癖つけられましたがようやくacceptにまでこぎ着けました。これまで費やした時間を思うと本当に感無量です。なぜこんなに時間がかかったのか、、、おそらく単に私の書き方がまずかったのだろうと思います。内容が複雑なので書き方をかえるべきだったと途中で思ったのですがreviewのあとだったのでしかたありません。昨年のBMB2010で発表した話の展開が最もわかりやすくインパクトがあったろうと思います。この話はSOCS1/Rag-DKOが激しい腸炎で死亡することからスタートしています。そのメカニズムを解明しようとして新たな消化管の免疫寛容(自然免疫の抑制)機構の発見(再発見かもしれない)にたどり着きました。途中で事情により論文のタイトルが"Prostaglandin E2 and SOCS1 play a role in intestinal immune tolerance"といういかにもインパクトがないものになってしまったことがかえすがえすも残念です。しかしともかく知念君のDKOマウスの観察からPGE2システムの破綻に気がついた慧眼に賞賛を送りたいと思う。写真はNYでボスと(タイトルは”巨星と巨星(虚勢?)がぶつかるとき”だそうです)

Treg
などから産生されるIL-10は自然免疫系の過剰な活性化を抑え、腸炎等を抑制することはよく知られている。我々は獲得免疫系(特にTreg)を欠損するRag欠損マウスでも自然免疫系の過剰応答が起こらないことに着目し、第二の抑制系の存在を想定した。まず腸上皮細胞培養液や腸抽出液において樹状細胞やマクロファージのTLRリガンドによる活性化を抑制する因子が存在することを確認した。精製や解析の結果、この因子はPGE2であることを確認した。そこでRag欠損マウスにインドメタシンを投与しPGE2の産生を抑制したところ極めて重篤な腸炎を発症した。この腸炎はTregの移入(すなわちIL-10の供給)や腸内細菌の除去(TLRを活性化させない)、あるいはPGE2受容体EP4のアゴニストの投与によって軽快した。よってPGE2-EP4経路は個体においてもIL-10と独立して機能するTLRの抑制系であることが確認された
。では腸炎を発症する時はこの経路はどのように破綻しているか?Rag/SOCS1欠損マウスでも似たような腸炎を発症することからSOCS1PGE2-EP4経路の重要な調節因子であることが示唆された。試験管内の解析の結果、SOCS1欠損樹状細胞はSTAT1が過剰に活性化されておりPGE2によるTLR経路の抑制が破綻していることがわかった。IFNγ—STAT1経路は炎症を促進するシステムであるが、駒井さんの実験などから、STAT1が抗炎症経路PGE2-EP4に拮抗することが明らかとなった。すなわち過剰なIFNγは腸炎を促進するが、そのメカニズムのひとつはEP4シグナルの抑制であることが明らかとなった。今後EP4シグナルが樹状細胞を介してT細胞、特に末梢での抑制性T細胞の産生に及ぼす影響を明らかにしたい。

その後質問を受けました。では大腸炎患者さんでは鎮痛剤として使われるNSAIDは使っていけないのか?そうです。慎重投与もしくは禁忌です。薬の注意書きにも書いてあります。言い忘れましたが、PGE2は私どもが発見したマクロファージへの作用の他、上皮細胞の保護や再生を促す作用もあります。PGE2は複数の機構で腸管の恒常性を保つのに役立っているのです。


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