2017年

6月26日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-06-26 19:17:27 (1617 ヒット)

 今日の最後の学生講義ではつい最近Nature に出されていたグッドパスチャー病とHLA-DR1、HLA-DR15の関係についての論文を紹介した。グッドパスチャー病はIV型コラーゲンに対する抗体ができて腎臓を攻撃する典型的なII型アレルギー疾患(自己免疫疾患)だ。この疾患に対してHLA-DR15が感受性をあげ、HLA-DR1は逆に下げることが知られていた。ヘテロで両方持つヒトは感受性が低い。つまりHLA-DR1は優性抑制型のアロタイプでそのメカニズムは不明だった。優性抑制型なので当然Tregの関与が疑われる。この論文ではHLA-DR1とHLA-DR15のトランスジェニックマウスを作製し病変を起こし、実際にHLA-DR1ではTregが増えること、Tregが病変を抑えていることを示している。またヒトT細胞のテトラマー解析を使ってヒトにおいてもその仮説があてはまることを見事に証明している。データがものすごく明快で見事な論文なので思わず「学生講義で使いたい」と思ったのだった。HLA、TCR、Treg、Th1/17などこれまで講義で取り上げたことがたくさん出てくる。講義で学んだ知識で最新の論文を理解することが可能であることを知ってくれたらうれしいのだが。。。
ついでにNature最新号にも大変興味深い話が出ていた。パーキンソン病が自己免疫疾患であることを支持する証拠が得られたと言う。パーキンソン病は神経細胞にαシヌクレインが蓄積して神経変性が起きる。この論文ではパーキンソン病の患者さんのT細胞がαシヌクレインのペプチドを認識することを示している。もちろんこのようなT細胞はαシヌクレインが蓄積した結果生じる可能性は否定出来ない。上のグッドパスチャーのようなモデルマウスをつくれば原因か結果か明快にわかるだろう。抗NMDA受容体抗体脳炎のように今まで統合失調症かと思われていた疾患がつい最近、自己免疫疾患として認識された例もある。パーキンソン病も『神経疾患も免疫病』という例のひとつになるかもしれない。

 

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