2017年

9月23日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-09-23 20:08:13 (1414 ヒット)

 SFCとは慶應の湘南藤沢キャンパス。初めて訪れた。医薬看護の医療系3学部合同の中期教育プログラムのファシリテーターを仰せつかったのだ。学生は講演を聞いてそれに関するテーマで9名程度のグループに別れて議論をし、最後に提言のような「まとめ」を発表する。ファシリテーターはその介助役だ。SFCキャンパスは噂に聞いてはいたが新しくでモダンだ。建物の名前もKをカッパとかIをイオタとか呼んでハイカラである。緑の中にあって(学生には相当不便そうだが)勉強にはいい環境のように思える。しかし朝9時に家を出て着いたのは11時過ぎ。特に湘南台駅から先はバスしかなくこれは授業に出るのに相当の覚悟が要りそうだ。帰りは土曜日なのに渋滞だった。ファシリテーターの役目も初めてだった。どんなものか経験して来年からはスタッフにまかせようと思っていたが、結局ボランティアのようなものなので教員にとって得るものはほとんど無い。学生らも最近の若い人は自己表現がうまいので口を出さなくてもよい。実際には学生らがすべて司会も発表もやるので私はただ見ているだけだった。終わったのが5時ごろでラボに戻ったら7時半。移動だけで疲れた。こんな苦役、もといボランティア活動は(役たたずの)教授(私)にまかせて若いスタッフには実験しててもらったほうがいいような気がする。
課題は「患者中心の医療を実現するために医療チームはどうすればよいか」。講師はTK大の先生で、ご自身の母親を看取られた話をされて議論の糸口を提供された。80歳の母親が末期のすい臓がんと診断された。すぐにネットなどで調べて「よい」と言われるものは「あやしい免疫療法」から温熱療法まで手当たり次第やったそうだ。主治医の若い女医さんは標準治療を行いながらも「なんでもどんどんやってください」というスタンスだったそうだ。自宅で通院しながらの治療だった。しかし最後はさすがに入院せざるを得なくなったが、主治医が代わって入院拒否されたのだと言う。「そんな勝手な治療をさんざんやっておいて今更もとの病院に入院させろというのは虫が良すぎないか?」ということらしい。それでも別の科の医師などが助けてくれて入院できたといった話。余命半年と言われたところを1年3ヶ月くらい生きられた。さすが文化人類学者だ。普通ならなんてことはない話なのにすごい感動的な話に聞こえる。そしてはじめの若い女医さんは立派な医師で次の医師はとんでもない意地悪なやつ、に聞こえる。うちの班の議論ではそのことに問題を絞って議論していた。かなり抽象的でぼんやりした課題だったのに、うまく重要な点を引き出して議論しているな、と感心していたが、いかんせん知識がない。患者と共に歩む(「横並び」と表現していたが、ちょっと意味が違うような気がするが教員は黙っていないといけない)という当たり障りのない結論になってしまった。なんか違うんだけどと思って聞いていたが口は挟まない。あとで別の医師のファシリテーターと話すと一様に「はじめの医師はおかしい。2番目が普通」と言われる。患者が勝手な民間療法やって標準治療の効きが悪くなったり思わぬ副作用が出たらどうするんだ、ということらしい。また最近でも話題になったプラセンタや臍帯血注射など本当に「怪しい」高額医療がまかり通っていることも問題だ。講演自体が「患者の好きにさせる方がいい医者、よい医療チーム」という本来とは違ったメッセージを学生に与えたのではないか、と言われていたが全く同感だった。
この教育、デベート力を鍛えるのにはいいのかもしれないがどの程度学生のためになっているんだろうか。別の教員は「楽しそうにワイワイやってたのでいいんじゃないですか。自分たちの頃にはなかったのでうらやましい」という評価もあったが。。。

印刷用ページ このニュースを友達に送る