2011年

8月26日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2011-08-26 09:10:06 (5137 ヒット)

 中川竜介君はうちの助教でしたが昨年山梨大学の準教授で異動しました。彼のうちでの仕事がこのほどJournal of Immunologyにacceptされました。この論文は森君のIIと同じ系統の仕事でファイザーのCPではなくMerkのpyridone6を使っている。pyridone6は構造はCPと異なるが活性はほぼ同じでpan-jak阻害剤である。JAK阻害projectを開始したころCPは手に入らなかったがpyridone6は合成法が論文に出ていたので自前で大量に合成したのだった。しかし直接vivoには使えなかったのでPLGA化を行った。JAK阻害剤がTH2型のアレルギーによく効くだろうというのは以前山田さんとやったサイトカインのシミュレーションからも予想できていた。当然IL-4のシグナルをブロックするのでアトピー性皮膚炎モデルのNg/Ncマウスをpyrideon6は軽快させる。しかし興味深いことにTh17は上昇していたのである。これは吉田君のin vitroの実験で確認された。森君の論文の紹介でも述べたがJAK阻害剤は何故かSTAT3(Th17に必須)の阻害効果が弱くSTAT1やSTAT5(Th17を抑制)を先に抑えてしまうためにある濃度の範囲ではTh17を増やしてしまう。アトピー性皮膚炎の場合は実はこれがむしろ治癒にプラスに働く。Th17からのIL-17やIL-22はケラチノサイトの増殖を促進したり常在菌感染を防御するディフェンシンを増やしたりして皮膚の傷を早く治してくれる。実際にIL-17やIL-22の直接投与でもアトピー性皮膚炎の改善が見られた。よってJAK阻害剤はアレルギーには極めて有望であると結論できる。ファイザーやMerkはぜひ塗り薬としても開発して欲しいものだ。

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