2018年

10月4日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-10-04 11:53:20 (1743 ヒット)

 酵素の分子進化とファージディスプレイ法。大方はゲノム編集技術だろうと思っていたのではないか。さすがノーベル賞委員会は世間の予想をはずすことを楽しんでいる。
ファージディスプレイ法は免疫学の教科書でも出てくる、モノクローナル抗体の作成法のひとつだ。私も講義でちゃんと解説している(学生は覚えてないだろうが)。しかし私が駆け出しの頃、すでにファージを使った遺伝子クローニングやペプチドライブラリーはあったので正直「そんなに斬新か?」と言われると「うーん」。ジョージ・スミス博士の方がファージディスプレイ法の最初の提唱者でウインター博士が抗体のスクリーニングに応用したのだという。アダリムマブ(商品名ヒュムラ;抗TNFα抗体)がファージディスプレイで取られた最初のヒト型モノクローナル抗体だ。2017年における全ての医薬品の中でもっとも売れた商品がヒュムラ(2.5兆円)である。そいういう意味では確かにすごい方法なんだろうが、TNFα阻害が関節リウマチなどの炎症性疾患で治療に使われているほうはまだ医学生理学賞もらっていないからややモヤモヤ感が残る。しかしファージなら高価な機器など必要としない。アイデア次第では元手もほとんどかからずにノーベル賞をもらえるかもしれないと思うと勇気づけられるではないか。

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