2019年

4月30日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-30 08:53:36 (2201 ヒット)

世の中は10連休である。テレビでは平成最後のxxxのオンパレードである。お祭り騒ぎのようで今朝のテレビでは芸人が「夏休み最後の」といい間違えていた。明日になれば令和最初のxxxに変わるのだろう。平成の30年間を振り返る番組も多くつい見入ってしまう。自分史と重ね合わせると平成元年にアメリカに留学、その後鹿児島大学に戻って、DNAX、久留米大学、九州大学、現在の慶應と駆け抜けて来たような気がする。クローニング以外はたいして能力もないのにここまで仕事ができたのはいい学生や仲間に巡り会えたからだろう。この30年で最も変わったのはやはりコンピュータ、ITだろう。アメリカ留学から帰る時に当時のMac(SEと言われた頃か)を大枚をはたいて購入し持って帰った。昔のPCはよくフリーズした。論文書いている時にワープロが止まって泣きそうになった経験のあるかたは多いだろう。それがいつの間にかインターネットの時代になってSNSにはついていけなくなった。生物学では遺伝子クローニングの時代からES細胞を使ったノックアウトマウスの時代になり現在では遺伝子情報、発現情報を駆使したインフォマティクスの時代に変わりつつあるような気がする。令和の時代ではこれがさらに加速して職人技の実験はすたれ、机についてモニターを見ながら実験はロボットがやる時代になるかもしれない。生物医学研究の概念そのものが変わるかもしれない。いやもう変わっているか。もう平成時代の老兵の出る幕ではない。しかし公共のデータベースは充実しきっと誰もが簡単に操作できるようにソフトウエアは進化すると思う。『ジャバジャバなカレー』で検索できる時代なのだ。多少の入力間違いはAIが修正してくれるだろう。なので自分でもお金をかけず家で何か発見できるようになるかもしれない。

また生物学のロジックそのものが変わるかもしれない。これまではある現象に遺伝子Aが関与するかどうか示すのにAを欠失させてその現象が無くなることを示すことが要求された。インフォマテックスの時代は複数どころか多数の遺伝子の関係性が重視される。ひとつの遺伝子の「あるなし」など気にされなくなるかもしれない。遺伝学から情報学へ。生命現象を『理解できた』という感覚そのものが変わるのかもしれない。
奇しくも池上彰の番組で『平成元年は世界の時価総額top10企業に日本の企業が7つも入っていたが平成30年はひとつもない。今やGAFAと言われる情報産業企業の時代。モノ造りにこだわりすぎて情報の時代に乗り遅れた』と言っていた。確かに生命科学も同じなのかもしれない。

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