2019年
5月4日
先月に続いて今回は国立台湾大学医学院の共同研究者に呼ばれてセミナーを行う。10連休の真っ只中で成田へ行く電車も満席、台北のホテルでも周りは日本人ばかりだった。国立台湾大学病院はさすがに台湾一らしく巨大で立派だった。台湾の人は一時日本に占領されたにも関わらず親日家が多いという。台湾大学も日本統治時代に設立され初代教授陣の多くは日本から派遣されたのだそうだ。呼んでくれた若い先生からも下にも置かない歓迎を受けた。セミナーは午前10時とやや変則。免疫には馴染みがない学生や先生も多いということでかなり基礎的な内容も加えた。そのせいかある先生から「自分の専門は免疫でも神経でもないがとてもわかりやすく面白かった」とお褒めの言葉をいただいたので儀礼半分としても嬉しかった。質問も多く予定の1時間を20分はオーバーしただろう。セミナーが終わってさっそく昼食に行こうということになった。訪問する前に「何が食べたいか」と聞かれていた。やはり
台湾といえば「小籠包」。なんと台北で最も有名でミシュランにも載っているという小籠包専門店に連れて行くという。ところがどのガイドブックにも出ているせいか待ち時間3時間は普通だそうだ(写真は200分待ち時間の表示)。それで彼は『朝の9時半に技術員を派遣して順番待ちの番号札を取りに行かせた』という。札を取って帰ったのかと思っていたのだが行ってみると2時間半ずっと待っていたというではないか。これには感激するやら申し訳ないやらで小籠包の味もただただ美味いという記憶しかない。日本ではさすがに自分が雇っていても技官や秘書を順番待ちに派遣することは難しい。やはり中国、台湾の人は客人に対する「もてなし」の気合が違う。三国志演義の逸話を思い出した。劉安という人物が劉備玄徳らをもてなすために己の妻を殺してその肉を使って料理を提供した話(真偽は不明らしいが)で少なくとも当時は美談とされている。古来より中国のおもてなし精神は筋金入りと言うべきか。しかし相手が喜ぶ姿を見るのが嬉しいようなので素直にこちらも感謝しつつ受け入れるべきなんだろう。