2012年

2月24日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2012-02-24 09:50:14 (5137 ヒット)

 


JAK's SOCS: A Mechanism of Inhibition

Immunity, Volume 36, Issue 2, 157-159, 24 February 2012

1999年に安川君が膨大なSOCS1変異体を作製して解析を行った結果、我々はSOCS1のKIRはpsudesubstrateだろうと予想した。それを今日まで延々と流布させてきたが、今日修正を迫られることとなった。KIRはJAKの活性中心に潜り込むのではなく何処か別の場所でJAKと結合し、その結果活性中心の構造を変化させて酵素活性を抑制するのであった。Bacon,Nicolaらは大量の組替え体タンパクを使ってNMRと古典的な酵素反応のkineticsを追うことで新しいモデルを提唱している(
Immunity, Volume 36, Issue 2, 239-250, 16 February 2012)。おそらくこれが正しいだろう。生化学の見事な成果だと思う。JAKの阻害剤はがんやリウマチの治療薬として多くの会社が開発にしのぎを削っている。この成果は全く新しい作用機序のJAK阻害剤の開発に役に立つことだろう。それにしても我々の予想が裏切られたことは口惜しい。当時はあらゆるデータと他の阻害分子の報告から最も可能性の高い機構であると信じて仮説を発表したわけだ。それが技術の進歩によって修正された(もちろん全部間違っていたわけではない)。これが科学の進歩の一例だろうと思う。修正を受けより正しい、しかも革新的なモデルが提唱されたことは科学の進歩という意味では大いに喜ぶべきことでもあるのだ。



 

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