2019年

7月23日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-07-23 11:23:25 (1424 ヒット)

猫も杓子も「single cell RNA sequence」ばやりである。今日の雑誌会で紹介された論文はNatureに掲載された「Single-cell analysis reveals T cell infiltration in old neurogenic niches.」(Nature. 2019 Jul;571(7764):205-210. )だった。老齢マウスの脳の1細胞RNAシークエンス(scRNAseq)の解析の結果、脳室下帯(SVZ)領域にCD8+T細胞が浸潤し神経幹細胞でIFNγの下流遺伝子発現が上がっていることを発見。T細胞と神経幹細胞を試験管内で共培養するとIFNγ依存性に増殖が抑えられることから、「加齢によって脳内でT細胞が増えて神経再生を減らす」という話だ。なんということか個体を用いたT細胞除去の実験もIFNγ中和の実験もない。これらが認知機能にどう影響するのかもわからない。T細胞が認識している(だろうと想像される)抗原の話もない。何でこれがNatureかと思うが紹介してくれた講師の言葉を借りると「いい雑誌に載るにはscRNAseqやるしかない」というのが結論。
少し前に出たCRISPRスクリーニング法による機能的クローニングのほうがずっと馴染みやすいし精緻な気がする(Nature. 2019 Apr;568(7751):187-192)。こちらは加齢によってミクログリアで発現するCD22(普通はB細胞で出るべき分子)が貪食作用を抑制しアルツハイマーモデルを悪化させる話。ちゃんと個体でCD22を阻害して加齢による認知機能の低下を抑制できることを示している。納得のNatureだと思う。

ともかくも脳に限らず加齢による「個体の機能低下」には免疫系が大きく関わっていることは間違いないだろう。しかし一方で健康長寿の地域では免疫は強い(曖昧な、、)らしい(NHKスペシャルでやっていた)。免疫は感染防御や発がん抑制に重要なので理にかなっていると思う。免疫は諸刃の剣。いい方を伸ばし悪い方を抑えられるといいのだろがそう単純にはいかないところが難しい。

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