2019年

9月3日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-09-03 17:13:34 (1227 ヒット)

MCBの2日目。3限目はシンガポールにラボを構えておられる須田年生先生。5年前まで慶應で研究をされていた造血幹細胞界の大御所である。コロニー形成ユニット(CFU)とコロニー刺激因子(CSF)といった造血幹細胞の古い(失礼!)歴史的な話から始まって先生が精力的に研究されているニッチの話まで広く話された。残念ながらいつものように淡々と話されるので、ここで紹介できるような笑いを取る所はない。でもレポート問題は「CellやNatureに最近発表された幹細胞関係の論文を読んで一番驚いたことを書け」というもので、これは学生にはかなりハードルが高く敬遠されるかもしれない。いや採点しないといけないのでレポート数を減らす深謀遠慮か(学生は30ある講義の中から12を選んでレポートを書かないといけないので選択は可能)。
4限目は昨年に続いて京都大学の斎藤通紀教授。30代で京大教授になられた新進気鋭の教授なのだが、なぜ研究の道を選んだのか、という問いへの回答は「研究なんて天才がやるもの、自分には関係ない職業と思っていたが、学生時代にラボ見学に行ったら普通のおもろいひとがやっていてこれなら自分でもできそうと思ったから。」昨年の講義での話を総合するとおそらく現、浪速大学教授のN先生のことを見てそう思われたのか。斎藤先生はN先生のもとにピカピカの先のとんがった靴を履いてやってきたらしい。N先生「なんでそんな靴を履いているのか」と聞くと斎藤先生「バーテンのアルバイトをやっています。混ぜるのは得意です。(実験では試薬を混ぜることが多い)」と言ったとか。しまった、またひとの持ちネタを披露してしもた。
それはさておき斎藤先生は試験管内でESやiPSから精子、卵子(正確には始源生殖細胞)を造る研究の大家である。講義の最後のほうで「人がセックスをやめるとき」(東京化学同人)という翻訳書の話をされて、いずれは体外で人が誕生するSFのような世界が普通になるかもしれない、という話を紹介された。米国在住の某先生のウワサの受け売りでは「アメリカではなんぼでもクローン人間がいる」らしい(フェイクニュースかもしれない)ので本当にそんなふうになるのかもしれない。しかし実はまだiPSからつくられた始原生殖細胞も完全にエピジェネテックスがリセットされているわけではなく、iPS由来の精子卵子から作られたマウスは異常が多いのだそうだ。まだまだ数十万個の卵子の元になる細胞から最良の500個あまりを選ぶ仕組みや、心臓一回鼓動する間(1秒くらい?)に1000個もの精子がつくられるのにゲノム情報に変異が極めて少ない仕組みもわかっていないそうだ。ちょっと怖いが非常に夢というか妄想が広がる研究に思えた。

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