2019年

10月1日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-10-01 11:57:40 (1057 ヒット)

 9/30のMCBでは名古屋大学の山中宏二先生が登壇。山中先生は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症機構で著名な先生だ。話し方が非常にマイルドで京都大学医学部を卒業されているので「お公家さん」かと思っていたら三重県のご出身だそうだ。家族性ALSでよく見つかるSOD1遺伝子変異のトランスジェニックマウスの研究からSOD遺伝子の変異は酵素活性を失わせることではなく異常たんぱく質として蓄積することで神経症状をもたらすことが知られていた。山中先生は変異SOD遺伝子を各種の細胞で消すことで病状の変化を追跡し、なんと変異SODは神経細胞ではなくミクログリアやアストロサイトなどのグリア細胞に働いて神経を障害することを明らかにされた。文章で書くと簡単だが1年以上観察しないといけない実験で相当に根気が必要だ。気の短い私にはほとんど不可能。おそらく同様の機構が同じく異常たんぱく質が蓄積するアルツハイマー病やパーキンソン病でも起こっているのではと推測されている。神経変性疾患は単純な神経の病気ではなく思った以上に複雑なのだ。ではなぜALSでは運動神経が、アルツハイマーでは記憶などに関与する神経が特異的にやられるのか?それはまだ大きな謎なのだそうだ。アルツハイマーではアミロイドβに対する抗体が期待を集めていたが思った効果が得られずに臨床試験は中止に追いやられた。でもミクログリアは免疫細胞なので何か免疫系が関わっていることは間違いないだろう。すでに凝集してしまった変性たんぱく質は毒性は少なく途中の過程が重要なのかもしれないらしい。

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