2019年

11月24日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-11-24 20:04:48 (2350 ヒット)

24日(日曜日)。今日は東京藝術大学のArts Meet Science(AMS)というイベントに参加する。科学や技術の最先端のことを「states of the art」ということからも科学と芸術は実は結構近いのだろう。芸術と科学との融合、相互作用ということをテーマに著名な遺伝学者であるPeter Gruss と免疫学では一家を成したRoger Permutter (現在巨大製薬会社副社長)の基調講演と藝大の学長と学生らによる演奏が主な内容だった。知り合いの先生のお誘いで行ったのだが、元来観たり聞いたりするのはそこそこ好きだが、自分では何もできないし藝術性も創造性もない私には遠い世界のように感じていたが十分楽しめた。Peter Gruss はノーベル賞学者のいかに多くが秀れた演奏家であったかを紹介した。また声楽者や楽器奏者の口腔のリアルタイムMRI画像を示して科学的手法が「芸術の理解」を推進する様子を示した。Roger Permutterは自分でもピアノを演奏するらしく登場はピアノで降壇もピアノ演奏で、と凝ったものだったが、何がいいたいかイマイチわからなかった。ノーベル賞学者が 楽器の演奏が上手いからといって楽器ができる人が全員ノーベル賞もらえるわけではない。その関係性が重要なのだろうが、functional MRIで脳の似た部分が活性化されるという話はあったが、そこまではまだ解明されていないということかもしれない。ましてや芸術とはあまり縁のない普通の研究者はどうしたらよいのだろうか?あまり深く考えないで楽しめばよいのかも。全く別のことをしている時に新しい発想が生まれることはよくある話だ。情報交換会では学生をつかまえてNHKのダビンチミステリーで仕入れたばかりの「にわかうんちく」を披露して少し偉そうに解説して楽しかった(東大や藝大の学生さんはテレビなんぞ見ないのだろう)。
そもそもダビンチにとっては芸術(主に美術か)と科学は不可分のものだったようだ。彼の絵画が人体の解剖学に基づいていることはよく知られている。ミケランジェロを「解剖学と地質学を知らない」とこき下ろしたとか。しかし驚くのは(全くNHKの受け売りだが)皮膚をなめらかに描くのに何層も薄い絵の具の液を重ね塗りしたのだそうだ。それは人間の皮膚の構造に近い。顕微鏡がない時代にダビンチは人間の皮膚の構造を模倣していたのだ。やっぱり天才はすごい。でも逆に現代なら科学的知識を芸術に取り入れることで凡人でも天才がやったことに匹敵することができるのかもしれない。といっても実はすでにそれはもう普段やられていることなのかもしれない。例えば音楽のシンセサイザーとか、動画のCGとか。逆に芸術が科学に具体的にどう影響するのか、どうすれば同じ効果が得られるのか?がわかれば私のようなボンクラでも少しは優れた科学者に近づけるかも?

藝大の隣の国立博物館で「正倉院展」をやっていた。前売りを買っていたのだが行く機会がなくて最終日で混んでいたがAMSの前に寄ってさくっと見てきた。今日は芸術の秋にふさわしい一日だった。。。

 

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