2020年

7月18日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2020-07-18 17:32:51 (3332 ヒット)

 5月のCellの論文はアメリカ人のT細胞免疫記憶の話だったが 7/15のNatureにシンガポールから感染者、非感染者のT細胞免疫記憶の論文が発表された。例によって西川先生の解説がある。シンガポールは5万人近くが感染して死者はわずか27人の優等生国である。最も関心がある非感染者(抗体陰性もしくは2019年7月以前に採取された血液)の応答だが約半数(19/37)で反応が検出されたという。しかも反応するのは普通風邪の近縁のβコロナウイルス に保存されたペプチドで特にORF1遺伝子にコードされるNSP(非構造タンパク)に対するT細胞応答がみられる。感染者は広く多くのペプチドに対して反応にするのに非感染者はNSPへの応答に集中している。この理由としてNSPを含むORF1遺伝子がコードするタンパク質が感染最初期に合成されるからではないか?すなわち非感染者は感染していないのではなく記憶T細胞がごく初期に感染細胞を殺してしまうのでウイルスの構造タンパクができてから造られる抗体のような時間のかかる獲得免疫応答までいかないのではないか?という推測がなりたつ(論文が難しくて自分の推測かもしれない)。さらに興味深いことに非感染者から得られた新型コロナのNSPに応答するT細胞は普通風邪のβコロナウイルスの同じ場所のペプチドには応答しない。このことから筆者らは非感染者といっても"presently unknown coronaviruses, possibly of animal origin"に感染していたのではないかと書いているが、どういうことかイマイチよくわからない(動物ってなんだろうか?ペットなのか?)。いずれにしても新型コロナといっても我々にはすでにT細胞の免疫記憶が存在する可能性が高い。そういうひとは感染しても無症状か軽症の可能性が高い。交差免疫を応用したペプチドワクチンが簡便で極めて有効である可能性も出てきた。


といっても約半数である。この数字はアメリカでの非感染者のT細胞記憶の割合(40−60%)に近い。これではアメリカとシンガポールの致死率の違いは説明できないではないか!うーん、ファクターXはT細胞ではない?
この点、思いきって著者にメールして聞いてみた。なんとすぐに返事が来て”自分たちが使ったペプチドはウイルス抗原の10%をカバーしているにすぎない。反応の程度も比較できない”との返事だった。まだ結論は言えないとのこと。

ともかくT細胞の論文は読みづらい(T細胞の専門家と言っておきながら。。)。少なくとも私には難解で、同様にこれで免疫が嫌いになる人は多いのではないかと思う。

ほとんどの人が既にあるウイルスに感染している、という事実はなかなか受け入れがたいかもしれない。しかし例えばEBウイルスは日本人なら3歳までに6〜7割、成人でも8〜9割が感染しているがほとんどは症状はない。むしろ思春期以降に感染すると伝染性単核球症というやや厄介な病気になる。アフリカではバーキットリンパ腫という腫瘍の原因となる。子供には症状がないとか地域によって悪性度が異なるとか新型コロナに似ている。新型コロナもいずれはこのような人と共存するウイルスになるのだろう。感染力と毒性はむしろ逆相関することが多い。死者からは拡散しないので致死率が高いウイルスはやがて低致死率で感染力の高いウイルスにとってかわられるから。ぜひ「東京型」の毒性を調べていただきたいものだ。こちらの先生の解析は説得力あるが「重症者は2週間遅れて現れる」には全く同意する。重症者はじりじり増えているので予断は許されない。しかし軽症者の免疫系の解析も重症を回避するためにも必要だと思う。

重傷者数はじりじり増えているが感染者数1000人を超えているのにまだ4月のレベルには遠いし死者数の増加ははっきりとはみれていない。第一波の時にいかにPCR検査をやっていなかったかということかもしれない。

全くの暴論だが、このコロナ騒動を一気に解決できるかもしれない。40歳以下の人全員に現在流行中の東京株を生ワクチンとして投与する。ウイルスが弱毒化しているのか人間の身体が対応しているのかはわからないが、今の時期には新型コロナ東京株はなぜか重症化は少ない。少なくとも40歳以下で死ぬことはない。まずは若い人たちに積極的に接種して免疫をつける。もちろん一方で高リスクの人たちは厳重に注意して隔離する。まあ若い人でもリスクはゼロではないので難しいだろう。無謀な賭けとお叱りを受けるだろう。こんなことを考えたのは、ニュースではまずトップで今日は感染何人と報道されるのに重症者や死者の数は報道されないから。あまりに少なくニュースの価値がないのだろう。その後同じアナウンサーが様々な業種の苦境を伝える。アナウンサーは高給取りでコロナで影響は受けない。そんな人たちが同情するような口調で街の苦境を紹介している。その前に御本人がしゃべっている感染者数のみの危機感満載の報道がいたずらに不安を煽って苦しむ人を増やしているような気がするのだが。

東大河岡先生は弱毒生ワクチンを開発中とのこと。投与する年齢層を限定的にすることでより迅速に安全な生ワクチンができるのではないか?

ぼちぼち「新型コロナは2類感染症から外すべき」という意見も出始めた(なおうちの先生の指摘では新型コロナは「指定感染症」であってまだ2類感染症ではないらしい。いつのかわからないが厚生省の資料もそうなっている)。また現実に即した政策の提言も出てきた。こちらも同じご意見こちらも。こういう意見が増えてくれば潮目も変わるかもしれない。

日本の報道や政策の混乱をみると、来年、再来年もどうなっているか暗澹たる気持ちになる。やはりスウェーデンが最も成功したのかもしれない。失敗と報道されることが多いスウェーデンのやり方だが、報道内容と実際は異なる。また軽症では抗体陽性にならなくても強いT細胞免疫が獲得されているらしい。
 

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