2020年

11月26日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2020-11-26 17:00:32 (1694 ヒット)

 

 SOCS1はJAKに結合してその活性を阻害する、天然のJAK阻害剤、つまりサイトカインシグナル調節因子である。もう四半世紀ほど前に我々や他のグループがまずマウスで発見したが、ヒトの疾患における解析は少し遅れている。ある種のリンパ腫でSOCS1の変異がよく見つかることから「ヒトがん抑制遺伝子」としては確立していたが、肝心の免疫系ではどうなのか?SNPは数多く報告されていたが機能欠失変異は知られていなかった。それがようやくフランスから5家系10人が見つかって10月号のNature Communicationsに報告されている。症状は早期の自己免疫疾患である。6割が10歳以下での発症で、突発性血小板減少性紫斑病(ITP)や乾癬、セリアック病、SLEなど。脾腫やホジキンリンパ腫を発症している人もいる。ホモ変異はなくすべてヘテロで優性遺伝する。つまりSOCS1の量が半分になるだけで発症する(ただし無症状のひともいる)。変異をもつ人のリンパ球は当然インターフェロンγなどのサイトカインに感受性が上がっている。Tregの機能低下も認められ、血中サイトカインレベルも高い。すべて我々や他のグループがマウスを使って報告してきた表現型と一致する。NatureでもNature Geneticsでも良さそうなものだが。あまりに予想された通りの表現型(病気)だったせいか?それでも発見者のひとりとしてこの分子に長年取り組んできた者としては、ようやくヒト免疫での重要性が確立されたことに感慨ひとしおである。それにしてももっと早く見つかってもよかったのではないか。。。


と思っていたら実は5月号のNautreに、イギリスの大規模な Primary Immunodficiencyの遺伝子調査によって遺伝性ではなく孤発の免疫不全症(不全というよりも免疫異常症と言うべきか)でSOCS1の変異が2例発見されたことが報告されていた。なるほどだからNatureに行かなかったのか。それにしても自分の勉強不足が恥ずかしい。

一度見つかるとこういうのは次々に見るかるものらしい。アメリカからも2例の孤発と家族性のフレームシフト変異が報告されている。


ともかくもSOCS1のヒトでの重要性ははっきりした。SOCS阻害剤はチェックポイント阻害剤になり得ることは明白だ。どうだろう?どこかの企業の方、一緒にやりませんか?

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