2021年

8月25日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2021-08-25 08:37:51 (3491 ヒット)

 mRNAワクチンはこれまでにない画期的なワクチンであり、RNAに関するこれまでの長い研究成果を取り入れており、ワクチンに限らない「RNA医薬」の分野を切り開くものと期待されている。その立役者のひとりカリコー・カリタン博士はRNAのウリジンを置換する方法を開発し、近い将来ノーベル賞を受賞するだろうと言われている。この発明はRNAを安定化させ、同時に自然免疫系による認識を回避し強い免疫応答を抑制するものだ。
しかし実際にはRNAを直接投与しても薬にはならない。細胞に取り込まれてタンパク質に翻訳されないといけない。これを可能にしたのが脂質ナノ粒子(LNP)だ。RNAが爆弾ならLNPはそれを運ぶロケットのようなもの。LNPがなければファイザー・ビオンテックやモデルナのワクチンも誕生しなかっただろう。そのLNPの作成方法(マイクロ流路デバイス。この論文か?)を最初に開発したのがカナダの生化学者、イアン・マクラクラン博士だ。最近のForbesに記事が出ていた。”Covid’s Forgotten Hero: The Untold Story Of The Scientist Whose Breakthrough Made The Vaccines Possible”。ビオンテックとモデルナはなぜほぼ同じmRNAワクチンを同時期に開発できたのか?実はこの2つは元は同じで特許をめぐるゴタゴタからカリコー博士がモデルナの前身からビオンテックに移ったらしい。こちらも相当な確執があったと思うがLNPのほうも負けてはいない。記事はこの手の映画以上に登場人物も多く時系列も関係性も複雑すぎるのでなかなか頭に入らない。日本語に訳したページもあったがそれでもよくわからない。簡単に言えば以下のようになるのか。マクラクランは自身の開発したLNP技術でベンチャー企業を立ち上げたが、他社に技術を模倣されたりとゴタゴタが続き、別のベンチャーに技術を二束三文で売り払ってしまった。カリコーは早くからこの技術に目をつけていたものマクラクランは技術を売り払った後だった。カリコーは諦めず別の企業と組んでmRNAデリバリーシステムを完成させたのだが、まだ当時はパンデミック前(たぶん)。これもモデルナに安く譲渡され、結局モデルナもビオンテックもLNP技術に関しては自社開発としてマクラクランにもベンチャー企業にも全くロヤリティを払っていない。新型コロナウイルスmRNAワクチンの売り上げは450億ドル(4.5兆円)を超えるらしいのでその10%でもロイヤリティが入っていれば4500億円が入ったはず。ベンチャー企業の訴訟は続いているらしいが、しかしどう転んでも、LNP技術を開発したマクラクラン博士には(すでに権利を放棄しているので)一銭も入ることはない。

本人は「自分が貢献したことは間違いなく実感しています」と言う。「貢献したと思っていますが、この技術の起源を知っているだけに、複雑な気持ちです」。しかしこの技術は改良されて核酸医薬にとってなくてはならない基盤技術になるだろう。タイトルは『忘れさられた英雄』とあるがもしRNAワクチンがノーベル賞を受賞するならマクラクランも同時受賞するだろうとも言われている。

8/25 今日の東京は先週水曜日よりも1000人も減って4228人。8/31は3000人を切った。いよいよピークアウトか。相変わらず収束しては困る人たちは「検査が少ないせい」「重症者は増えている」と不思議と減ることを素直に喜ばない。信用ならない(自称)専門家(私)の予言は当たったといえる。いや医療側が危機感を持ち、今の体制を変えるチャンスならしばらくは感染者数は維持されたほうがよいのかも?減ってきた今だから「野戦病院をつくる」とか声だけ出しているのだはないかとも疑われているが。イギリスは1日3-4万人程度で落ち着いているこの程度なら医療崩壊は起きない仕組みらしい。うがった見方をすればイギリスはワクチン接種が人口の80%くらい、またこれまでに感染したひとが13%くらい。残り7% 350万人は感染して免疫つけてね、ということならあと3ヶ月くらいで全国民がワクチンか感染かで一応免疫がつき、重症者はほぼいなくなるはず。一気に感染者が増えると医療危機になるので、「冬になる前までに」というのはある程度感染者を出しつつも完全終息をめざす戦略なのではないだろうか?1日10万人が感染し医療崩壊が起きるとした専門家の予言は今の所まだはずれたままだ。マスコミも専門家も感染が減ると機嫌が悪いのはもうどうしようもないという気がする。一方の元祖デルタ株のインドは感染者が激減し落ち着いてきているがこちらは多くの国民がワクチンではなく実際の感染で免疫を得たと思われる(国民全体の実に7割が抗体を持つという)。その犠牲は死者40万人(実際にはその10倍の可能性があるそう)と極めて大きかったそうだが。

モデルナのワクチンに異物が混入していたそう。捨てるくらいなら動物実験用に大学や研究施設に分けてくれないものか?少なくともうちはぜひ欲しい。

某新聞社から最近のコロナ抗体に関する某先生の研究成果にコメントをしてくれと電話。ワクチンが全く効かない変異を見つけたというような話だが。「この研究は変異をあらかじめ想定してより優れたワクチンを開発するための基礎研究。」ゆめゆめ「ワクチンは無駄」「最凶ウイルス出現」のような偏向した報道にしないようにと釘を刺しておいたが。それは論文を書かれた先生の意図するところでもないだろう。ワクチンの本当の力はこちらの記事に詳しい。案の定私のコメントは完全に無視された。マスコミというのはもうどうしようもない業を背負った商売なんだろう。人々を怖がらせてなんぼ。科学も事実も関係ない。これを生業にしなければならない新聞の記者には同情すら覚える。

菅総理、総裁選挙に出ないとのこと。前々から述べているように私は菅総理はワクチンに関しては極めてよくやったと思う。アメリカまで行ってファイザーの社長とも直談判した。第4波の死亡率は1−2%だったのが第5波は0.2%以下で、海外と比較しても十分低い。不幸だったのはマスコミに自宅療養で死亡したとか入院先がなく死亡とか少数の個々の例を大々的に取り上げられて、全体的な数字(感染者数や死亡率)は無視されたことではないか。読み飛ばしとか説明不足とか言動をあげつらわれたが、昨日のこともよく思い出せない同類の老人(私)にはむしろ親近感が持てた。良いことをしても全く褒められず、少しでもしくじると女房子供に極悪非道人のように責められるのも世のお父さんたちと同じで、我が身を顧みると同情を禁じ得ない。菅首相も忘れ去られた英雄となるか。ご苦労様でした。

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