2021年

10月20日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2021-10-20 10:00:32 (2696 ヒット)

 大学院生の安藤君が長年取り組んでくれたフィーダー細胞を使わないCAR-iTscm作成に関する論文が10/19付のCancer Reserch Communicationsに掲載された。タイトルは「Rejuvenating effector/exhausted CAR-T cells to stem cell memory-like CAR-T cells by resting them in the presence of CXCL12 and the NOTCH ligandプレスリリースはこちら
腫瘍免疫の効果をあげるために、T細胞疲弊の解除し、若い幹細胞メモリーTscmを誘導する方法の確立は激しい研究開発競争が繰り広げられている。つい最近もIL-2を改変したpartical agonistがTscm誘導に効くという論文がNatureに発表された。おなじみ西川先生の解説はこちらチロシンキナーゼ阻害剤がよいという論文もScienceに出されている。そんななかで我々は一旦活性化されて疲弊関連遺伝子の発現が上がったT細胞からCXCL12, Notch-L, IL-7, IGF-1という4つの因子でTscmが誘導できることを示した。決してこれらの論文に遅れをとっているとは思えないが実績の少ないラボからトップジャーナルに論文を通すことはやはり難しい。この雑誌はアメリカ癌学会の機関紙のひとつで今月号が記念すべき第一号である。どのくらいのインパクトある雑誌になるかは2年くらい待たないとわからない。それでもできるだけ早く世界に成果を示してさらに発展させたいという思いをこめてこの雑誌に発表することにした。安藤君は固形がんでも効果が出るようにさらに改良を進めており次はもっとインパクトある雑誌を狙いたい。一方でTscm化のメカニズムの解明も重要だろう。T細胞の疲弊はNR4aが重要なのだがTscmのマスター因子は何か、まだ不明な点は多い。

印刷用ページ このニュースを友達に送る

投稿された内容の著作権はコメントの投稿者に帰属します。