2021年
11月3日
11/2秋の褒章が発表された。紫綬褒章はオリンピック金メダル関係者がこぞって受賞したので90名と過去最多だった。そのなかで思いがけず私も紫綬褒章を頂けることになった。オリンピックに出た記憶はないので学術枠だろう。免疫分野の長年の功績らしいが、もとより自分自身のやったことはほんの最初のひとかけらで、それを発展させて形にしてくれたのは一緒に研究してくれた大学院生、スタッフ、研究補助員らのおかげ。またさらにこの分野を拡充してくれた共同研究者や競争相手たちのおかげである。感謝してもしきれない。上原賞のときと同様にこれまでの30年にわたる地道な努力が認められたことを皆と喜びたい。オリンピックの金メダルくらいの価値があると思えば誇らしくもある。
紹介のビデオはこちら。3分程度。10分の長いversionはこちら。
お祝いのメールもたくさんいただいた。昨日は返事書きに一日費やしたが久しぶりに連絡する人もいてそれはそれで楽しんだ。祝電も多数いただいた。この場を借りて御礼申し上げたい。特にノーベル賞の山中先生からの祝電は皆に見せびらかして自慢した。
ただ非常に残念なことにコロナが怖いという理由で伝達式(授賞式のようなもの)もそのあとの皇居での拝謁も中止。11/29に塾長から手渡していただいた。それだけでも十分感激ものだったが、金メダリストに直接あってサインをもらえることを心の底から楽しみにしていただけにその点は残念きわまりない。都民の努力で感染者数1日30人を切っているというのに。。。これではいつになったら日常が戻ってくるのかわからない。感染者ゼロになってもリバウンドが怖ければ決してもとにもどることはないかもしれない。
というわけでまたまた世界の感染状況をみてみる。遺伝研の先生がコロナウイルス の自壊説を支持する結果を学会発表したそうだが、アジア系は変異を促進する遺伝子APOBECの発現が高いので変異が蓄積やすいという(こちらの記事はやや詳しい)。確かにアジアと欧米を比べてみると日本、インド、インドネシア、イスラエルと落ち方は急激で今の所リバウンドはない。特にインドネシアは島国なのに日本と同じような状況なのが不思議だ(離れた都市でもシンクロして減っているように見える)。一方でイギリスは相変わらず高値安定、ドイツは急激に増加、フランス、イタリアもリバウンドの兆候が見られる。アメリカは下がり続けているが減少スピードが緩まっている。初期に山中先生が唱えられたファクターXはやはり存在するのか。それが急速な減少のみならずリバウンドの抑制に働いてくれたら、こんないいことはない。第6波はないと大ミエを切ったので祈るような気持ちでいつもチャートを見ている。
ロンドンの小野先生は「自壊説は自己矛盾しており有害」と言われる。小野先生は自壊説の矛盾を突き、第5波の急激な収束の主な原因は「ワクチン接種が急速に広まったことと人々の行動自粛」と言われる。もっともだと思う。今週号のNatureにはイギリスの現状について解説があった。イギリスは毎日3−4万人の感染者で増減を繰り返している。そろそろ全国民がワクチンか感染で行き渡りそうなものだが何故か下がらない。「ワクチン+ソフトな公衆衛生対策」が鍵だという。こちらももっともだと思われる。イギリスでも相変わらず人と人との接触回数(人流説?)を重視する学者もいるのは「専門家」に国の違いはないのだと思わせる。私は日本においては小野先生の説をおおむね支持するのだが、「ワクチン+自粛」ではインドネシアは説明できないのではないか。インドネシアの接種率は30%程度。やはりそう単純ではないような気もする。(ただし首都ジャカルタはほぼ100%とのことでインドネシアの統計は首都近辺だけの可能性もあるが。。)