2022年

7月14日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2022-07-14 21:16:29 (6746 ヒット)

 巷では第7波襲来と大騒ぎになっており「戸外ではマクスを外そう」運動も蹴散らかされそうな状況だ。第7波は6波を超えると脅されているが海外の状況をみるとそこまではならないだろうという冷静な判断もある。数はどうあれ重傷者数は少ないだろう。いずれにしても感染者数だけに一喜一憂している日本と中国は永遠に終わらない。重症化率は着実に減っているのだが日本の対応は変わらない。今年の冬の学会では懇親会を断念したが来年もできない可能性が高いな。
この7波はBA5というさらに変異したオミクロン亜株によるものだそうだが、朗報がある。今週号のNatureに2報もでた。簡単にいうとワクチンを打っていない人がオミクロンに感染するとオミクロンにしか反応しない抗体が少しできるだけだが、ワクチン打ってから感染した人はオミクロンや他の株に対しても強い抗体や免疫ができるという話。つまりワクチンを打ったひと(今はほとんどの人がそうだろう)がオミクロンに感染したら、次に別の新しい株が出て来て感染したとしてもたいしたことはない可能性が高い、という話だ。実は前々から言われていたことの再検証ではある。こうやってコロナはどんどん人類に馴染んでいくのだろう。一通り皆が経験しないと終わらない。なので感染を極端に抑えている中国は決して終わることはない。

BA5が動物では毒性が高いかもしれないという報告があるが、それはワクチンを打っていないマウスやラット、あるいは培養細胞での話。現実にはヒトでは致死率は下がっている(高橋先生のグラフ参照)。

切り札は4回目の接種」だという。いつから接触制限から宗旨替えされたのかわからないが、高齢者や基礎疾患のある人など免疫がなかなか上がらない人は大いに接種していいと思う。そういう人たちは副作用も低い。一方若い人たちは、上記の研究結果から推論すれば、ワクチンをすでに打った人は何度も打つ必要はなくむしろ軽く感染したほうがよい、ということになる。これで新しい株が現れてもひどくなることはなくコロナは終息する。第7波は20代の若い人たちが多いそうなので、自然の摂理でコロナは勢いを失っていくはずだ。

ワクチンは重症化防止効果は高いが感染予防効果は極めて低いことがすでにわかっている。何度打っても新しい株には対応できず感染はする。しかしPCRで検査していれば数は出る。それなのでいつまでも終わることはない。彼らは次の波でも5回目を打てと言うはずだ。

 いつも感染者数を追っていたロイターがついにコロナ感染者数の更新を終了した。もはや世界ではニュースとしての価値もなくなったということだろうか。イギリスでは5/19を最後に政府の公式の感染者数の報告をやめている。アメリカではもうほとんど誰も気にしていないという記事もあった(NIAIDトップのファウチ博士ですら感染したのだ。行動制限など言えるわけがない)。世界は夏までに終息(ただし日本と中国を除く)という予言は当たったか。


丁度学生さんから質問が来た。ワクチンはオミクロン株に対しては感染防止効果は低いが重症化は抑制できるのはどうしてか?という質問。
答え
ワクチンは武漢株で作られており、当然ワクチンでできた抗体は武漢株の感染をほぼ完全に防止できます。しかしその抗体はオミクロンの中和能力は1/10以下です(論文では1/100も)。なので感染を防止できない。
一方でT細胞はスパイクのぺプチドを広く、ゆるく認識するので変異が入っていないところは問題なく認識するし、変異が入っていても同程度に認識できる場合がある。よって武漢とオミクロンと同程度に重症化を抑制できる。
(講義で言ったように抗体は感染の初期段階を防止し、T細胞は重症化を抑制する、という原則を思い出してください)

ワクチン2回接種後にブレークスルー感染した方がワクチン3回接種した時より、オミクロン株に対する感染防御効果が高いのはなぜか?
答え
Natureの論文を引用して説明しました。武漢ワクチンではスパイクに対する抗体ができますが、武漢株には強く結合するがオミクロン株には親和性が低い。オミクロン株に対するメモリーB細胞がないわけではなく親和性が低い。よってオミクロンに感染すると武漢もオミクロンも中和できるより共通性の高いメモリーB細胞が選別されるか親和性成熟を起こすのでしょう。なので同じ武漢に対するワクチンを打ち続けても「どんなコロナ変異株がきても大丈夫」とはならないわけです。一方で重症化を抑制するT細胞は武漢でもオミクロンでも同程度に応答できる(多くの施設で証明済)。さらにメモリーT細胞は1年以上長生きするので(若い人にとっては)そう何度もワクチン打つ必要はなくむしろ副作用の方が怖い、というのが私の見解です。加えて、現在のワクチンには感染防止効果はほとんどないこと、またメモリーによる重症化阻止効果は1年くらいは十分あることを考えれば若い人は3回打てば十分(渡航のために必要)というのが私の見解です。そのうちウイルスの弱毒化が進んでワクチンは不要になるかもしれません。

神奈川県の黒岩知事は「コロナは死ぬ病気じゃなくなった」という。現象的にはもちろんそうだが、科学的にもこういう理由で死ぬことはない、と説明してくれると納得する人も増えて来るのではないか。

現状の重症化率や死亡率、およびなぜ日本だけ「変わらないのか?」という疑問はいつもの高橋先生が答えてくれている。

大阪府の吉村知事は「高齢者に限って行動を制限する 」と言っているらしい。何を今更。私はコロナ禍が始まったことからそう主張している。実に2020年4月のことだ。当時は感染力は低かったが高齢者のみ重症化するのは変わっていない。ようやく時代が預言者に追いついてきた。というか何でこんな当たり前のことが偉い先生たちや為政者には思い浮かばないのだろうか。。そうか高齢者の票が、、、。コロナビジネスもあるそうな

コロナを5類にすると公費負担がなくなり、皆自費になるよ、と脅されている。ではその公費負担は誰が払うのか?無料の検査キットや大量の賞味期限切れとなったワクチン購入費や重症者のベッド代は誰が払うのか?飲食やらワクチンやら利権団体に払った77兆円のツケは誰が払うのか?結局は、コロナで運動会もなくなり、マクスのせいでクラスメートの素顔を見ないで卒業する高校生やリモート授業でろくな学生生活も送れなかった大学生や働く場所を追われた弱い立場の人たちへツケとして回される。これだけの支出を回収するとなると増税は避けられないだろう。彼らはなぜ自分たちの世代だけがこれほど辛い思いをさせられることに怒らないのだろうか。。重症化リスクのほとんどは高齢者。日本の若者は心優しすぎる。
現在、日本が世界で一番感染者数が多い国だそうだ。世界の多くはBA2くらいまでをすでに感染しておりBA5の山は低い。日本は変にBA2やそれ以前の株を抑えたのでそれよりも感染力の強いBA5にやられているのだろう。ある医師はもう行動制限で抑えられるレベルではないという。ならば医療体制を維持し重症者をより重点的にケアするにはどうすべきか、わかりそうなものだが何もしない政府は今回もただ嵐が過ぎるのを待つだけだろう。世界はBA5の山はBA2よりずっと低いのに日本だけBA5のほうが高い。これは疫学の先生たちはぜひ原因を明らかにして今後に生かしてほしいものだ。。

大阪の65歳以上行動自粛要請に「実効性が疑問」とか「学校とかで検査を頻繁にやれ」とかどんでもなくアホなことをいう人がまだいることに驚く。彼らは「致死率0.1%の高齢者の命を守るためには休校など若者の行動制限が必要」と言っているのと同じ。2年前とかわらない。ではそれで犠牲になる若者を救う手段を言ってみせよ、それによって経済的に困窮する人たちを救済する方法を同時に述べよと言いたい。彼らには77兆円のツケを解消するのか妙案があるのだろうか?それよりなぜ海外でできていることが日本でできないのか、合理的な説明をしてみせよ。
 

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