2013年

5月4日

投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2013-05-04 11:53:00 (6477 ヒット)

 吉田秀行君は昨年春に卒業してすでに某化成メーカーの研究所で研究員として働いている。在学中に彼はTh17とそれをモジュレートする化合物、天然物のスクリーニングを行い、2つの論文を発表している(Biochem Biophys Res Commun. 2012 May 25;422(1):174-80.とBiochem Biophys Res Commun. 2012 Feb 10;418(2):234-40.。一方でたくさんの未発表データを残していた。今回スクリーニングで見いだしたTh17阻害物質のなかでCDK阻害剤が個体レベルでもEAEを抑制することを見いだし、論文としてまとめることができた。ただCDK阻害剤がどのようにTh17を抑制するのか、その肝心な点が未解明なままである。本研究では卒研生として1年間この研究に従事してくれた谷いとさん、revise実験を行ってくれた小谷君の協力なしには完成できなかっただろう。それにしても阻害剤の仕事は難しい。相当の時間と労力と研究費を費やしたが、新規のメカニズムに迫ることがなかなかできないからだ。もちろん治療効果があれば十分という考えもあるだろうが、それはヒトまでいかないと評価が定まらない。

Yoshida H et al. CDK inhibitors suppress Th17 and promote iTreg differentiation, and ameliorate experimental autoimmune encephalomyelitis in mice BBRC in press 

実は慶應に行くことが決まってから実際に医療に貢献できるような仕事をしようと誓った。私立大学の医学部ということで臨床や製薬企業との連携も可能ではないかと考えた。しかしJAK阻害剤など我々が少ないライブラリーからスクリーニングして得られた化合物などたかが知れていることを思い知らされた。標的が決まってしまえば企業の潜在能力はすごい。今やJAKやRORはベンチャーも含めどこもかしもやっている。だから大学人は新しいコンセプトを出すことが重要なのだと再認識した。そのコンセプトを企業が受け入れてくれるかどうかはわからない。15年前に私がJAK阻害剤の有用性を説いても誰も見向きもしてくれなかった。それでも昨今のJAK阻害剤の興隆をみるとあきらめずに自分の信念に基づいて訴え続けることが大事なのだと思う。CDK阻害剤は関節リウマチで医科歯科の上阪先生が長年その有用性を訴えておられる。今回の仕事ではリウマチ以外の自己免疫疾患でも応用可能かもしれないことを示している。



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