サイエンスZERO  登場!がん治療を変える新薬〜免疫のブレーキを外せ〜

投稿日時 2015-05-18 00:05:10 | カテゴリ: TOP

 家に戻ったらEテレで『ニボルマブ』の話が放送されていた。以前紹介した免疫チェックポイント阻害剤である。九大の講義でも免疫の力の偉大さ、免疫研究の必要性を強調するためにPD1のことは少し紹介したがこの放送を見せればもっと興味を持ってくれたかもしれない。コメンテーターの山口大学の玉田先生はかなり慎重に紹介されていたが期待は大きい。これまで免疫療法は眉唾ものだ思われていたと本庶先生も言われていたが不肖にも私もそう思っていた。再生医療も大事だろうが実際に治療に近いのはまずは免疫だろう。それにしては『新学術領域』などでは応用的な学問と思われているのか冷遇されている。ぜひ若い人が参入して盛り上げてもらいたいものだ。

再掲載 
2/14 『がん免疫療法の最前線』と題するシンポジウムが慶應校内で開かれていたので聞きに行った。河上先生と中島先生が司会をされ、5人の演者が『免疫チェックポイント療法』『CART療法、TCR導入T細胞療法』『ウイルス療法』など実際の臨床治験の話を交えてわかりやすく説明して下さった。実は講演の先生も言われたように『免疫療法は効かない』という印象がつい最近まで強かった。免疫学者だってそう思っていた(少なくとも私は)。しかしCTLA4抗体やPD1抗体が実際に効果があることを目の当たりにして、我々も考えを改めることになった。今や製薬企業も多数参入し競争が激化しているそうだ。PD1やCTLA4を『チェックポイント』というのは免疫屋には違和感があるが、要するにこれらはブレーキだ。我々が発見したSOCS1もそのひとつと言える。T細胞のアクセルは3つあってTCRシグナル,CD28(副刺激)、そしてサイトカインシグナルである。PD1,CTLA4, SOCS1はそれぞれのアクセルに対してブレーキの役割を果たしている。当然ブレーキがないと免疫が強くなり抗腫瘍効果増強が期待できるが暴走すると自己免疫疾患になる。逆に言えばノックアウトすると自己免疫を起こすような遺伝子は新しいがん治療の標的になるかもしれない。おそらくNR4aもそのひとつだろう。SOCS1やNR4aは細胞内の分子なので抗体では阻害できない。siRNAの導入は遺伝子治療になってしまうので敷居が高いと思ていたら、がんの分野ではT細胞を培養しCARやTCRを遺伝子導入して体内に戻すことが今後ますます盛んになるらしい。なので同時にsiRNAやCRISPREも遺伝子導入して使える時代が来るかもしれない。免疫学は終わった学問などと言われたこともあったが最近治療に使える技術が増えて再び活気づいているように思える。それもかなり。これまで免疫リプログラミングは主に自己免疫やアレルギーを対象に考えていたのだが抗腫瘍免疫もかなり有力な研究領域のように思えて来た。SOCS1のshRNA導入はすでに論文になっていた。。。( 2013 Apr 18;38(4):742-53. doi: 10.1016/j.immuni.2012.12.006.)






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