Lewis Cantley教授はPI3キナーゼの発見者でいつもノーベル賞の候補にあげられる有名な人だ。本日北里講堂で公開セミナーが行われた。いつものラウンジやセミナー室とは格が違う。私のラボの卒業生の佐々木君は彼のところで5年くらいポスドクをしていた。PI3Kをやっていなかったのでどうかと思ったがちゃんと覚えていた。PI3キナーゼ阻害剤はいくつかのがんの治療薬として期待されている。しかし効きが悪い場合がある。彼らはそれは血中グルコース(糖)やインスリンレベルが高い場合であることを昨年のNatureに報告している。また糖をたくさん摂ると腸でのポリープも増加するらしい。Cantley教授は盛んに『砂糖の入った飲み物は飲むな!』と繰り返していた。もちろん糖尿病の予防にもいいだろう。どうしても聞きたいが公衆の場では恥ずかしくて聞けなかった質問があった。講演終了後直接聞いた。『糖はダメでもアルコールはどうでしょう?』彼は即座に『酒は糖を含んでいないから大丈夫。自分もワインは好きだ。』と答えた。この講演で一番の収穫だったかもしれない。