柳沢正史教授登場

投稿日時 2019-09-02 17:26:10 | カテゴリ: TOP

3年生のMCB講義のトップバッターは筑波大学の柳沢教授である。私が前座でオリエンテーションと免疫学のトピックスの講義を行った。柳沢教授は「睡眠研究」の第一人者で国際統合睡眠医科学研究機構の機構長ある。大学を挙げて睡眠研究を寝ても覚めても推進されているに違いない。
大学院生時代にエンドセリンを発見し単身(かどうか不明だが)アメリカに渡りオレキシンを発見。それ以降睡眠研究にのめり込まれた。昨年の慶應医学賞の受賞者である。講義は「なぜ神経を持つ生物は眠るのか?(クラゲだって眠るらしい)」「なぜ睡眠研究が難しいか」というかなり哲学的な内容から始まった。その後オレキシンからナルコレプシーの話になる。睡眠だけに「目が覚める」ような印象的な話だった。何が難しいかって「何らかの睡眠誘発物質が溜まってある閾値を超えると眠るのではないか」と言われているが通常の状況でその物質的基盤がわかっていないらしい。以前プロスタグランジンD2(PGD2) がそれではないかと言われ私もそう信じていたのたが、柳沢先生の話ではそれは炎症などが起きた病的状態で眠くなる場合の睡眠誘導物質なのだろうという。柳沢先生らはその「睡眠物質」の候補としてマウス遺伝学を駆使してリン酸化酵素SIK3を同定された神経のリン酸化の状態によって睡眠が制御されているとしたらすごい。SIK3の最も重要な標的分子が長らく求められた睡眠物質なのだろうか。
ところでナルコレプシーではオレキシンがないために睡眠と覚醒のバランス制御がうまくいかないらしい。ヒトのナルコレプシーの場合は「笑う」ことがトリガーになって情動脱力発作を起こすのだそうだ。柳沢先生「ところがマウスではそうではない。何故ならマウスは笑わないから。」学生は無反応。柳沢先生「ここは笑うところなんだけど。。」実はマウスは笑わないがラットは笑うらしい。お腹をこすってやると人間みたいに「笑う」。なんとラットが笑うという話はScienceに報告されている。しかしマウスのお腹をこすると「怒る」のだそうだ。マウスの場合のトリガーはチョコレートなんだそうだ。チーズかと思った。それにしても先生の「持ちネタ」をこんなところで披露していいんだろうか?苦情が来ないうちに期間限定としたい。

睡眠はまだまだ分からないことが多いらしい。やはり「夢見る」分野なのだと再確認した。

 






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