吉田亮子さんは昨年4月に卒業して現在は佐賀大学でポスドクをしていますが、彼女が当教室でやっていた(やり残した)仕事を論文にすることができました。以前cFosがIKKによってリン酸化され安定化しNF-kBを抑制することで樹状細胞やマクロファージで炎症性サイトカイン産生を抑制することを報告しました (Koga et al. Immunity 2009)。吉田さんは安定化c-Fosのトランスジェニックを作成し解析を行いました。cFosを強制発現させた樹状細胞はLPS刺激によってサイトカイン産生が減少し、マウスはEAEに抵抗性を示しました。以前のimmunityの報告通りの結果となったのですが、それだと新規性がないということでハイランクの雑誌は無理でした。本当は個体内では面白いTregを作るのではないか?と期待していたのですがそのような現象はとらえられませんでした。樹状細胞の改変によるT細胞のリプログラミングは結構ハードルが高いことを思い知らされました。