ヒドロキシクロロキンは何故効くのか?

投稿日時 2020-05-25 08:31:05 | カテゴリ: TOP

 トランプ大統領は予防的にヒドロキシクロロキンを服用しているという。主治医は効果はないだろうと言っているそうだが。クロロキンは私にとっては縁のある薬剤である。もう40年くらい前の大学院生の頃にインフルエンザウイルスの細胞内侵入機構を研究していた。インフルエンザをはじめ多くのウイルスは細胞膜から直接入るのではなく細胞に取り込まれてエンドゾームに移行する。ウイルス表面のスパイクタンパク質はこのエンドゾーム内の酸性pHを利用して構造変化を起こして、膜融合活性を惹起させてウイルス核酸を細胞質に注入するコロナウイルス の場合は酸性pHで活性化されるプロテアーゼで切断されることも必要だが融合活性にも酸性pHが必要らしい。このエンドゾーム内の酸性pHを中和するのが塩基性化合物で様々な薬剤がその能力を持っている。クロロキンもその一つで私も40年前に実験室で使っていた。試験管内ではインフルエンザやコロナだけでなくエンドゾームから侵入するウイルスに広く効果がある。クロロキンはエンドゾーム内で蓄積するので比較的低濃度で効果があったが、服用される量で同じ効果があるとは思えない。

クロロキンのもうひとつの効果は免疫抑制である。ヒドロキシクロロキンは自己免疫疾患SLEの治療薬として使われており、その効果のひとつは制御性T細胞Tregを増やすことにある。なのでサイトカインストームには効果があるあだろうが、予防的に飲んでいると免疫抑制に働くのでウイルス感染を増悪化させる可能性がある。実際致死率は増加するとの報道もある。なぜクロロキンがTregを増やすのか?それはクロロキンの標的が我らがNR4aだからである。まだ確たる証拠はないが私はクロロキンはNR4aの活性を上げることでTregを増やすのではないかと考えている。残り時間はもう少ないが定年までにこれを証明したい。と思ったら論文出てた。考えることは皆同じか。






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