留学のご利益

投稿日時 2020-08-06 08:39:27 | カテゴリ: TOP

 数日前にMITでポスドクをしているというがん研究者からメールをもらった。自分が開発した新しい腫瘍モデルでT細胞を解析したらNR4aが非常に高く発現しているので共同研究をしたいという申し出だった。こちらとしても人手は足りていないのでぜひに進めたいが、ポスドクが勝手にやってあとでボスが「聞いてない」と言われても困る。それにMITの教授ならNR4aに興味を持ってくれたら阻害剤の開発にも乗り気になってくれるかもしれない。Zoomを使ったビデオ会議をセッテイングしてもらった。ボストンは朝9時でもこちらは夜中の10時だがラボで待つ。始まるとこちらの現状と向こうのシステムを確認して計画を聞く。残念ながら薬剤のスクリーニングはやっていないらしい。
一通り話が終わって、実は私は30年前にボストンにいたんだと打ち明けた。何処にいたのかと聞かれて、ホワイトヘッド研究所のLodish先生のところだというとボスがいつ頃か?と聞いてきた。1989−91年というと、なんと自分は同じ頃3Fのワインバーグ研でポスドクをしていたのだと言う(私は4F)。N先生やH先生など当時ホワイトヘッドにいた日本人やポスドクの名前が出てきてとたんに和やかな雰囲気になった。たぶんビジネスでもそうなんだろうが、研究でも何かしらつながりがあると信頼関係を築きやすく話はスムーズにいく。留学のメリットのひとつはやはり人脈形成なのだろう。久しぶりに昔を思い出したが、このボスTyler Jacksの顔は覚えていない。おそらく金曜日のハッピーアワーでビールを一緒に飲んだことはあるはずだ。HPをみると自分と同年輩とは思えないくらいいかにもインテリっぽくカッコいいではないか。さすがにMITの教授だけあってラボも大きく勢いがあるのだろう。

萩生田文科相が「大学だけキャンパスを閉じて易きに流れていないか」と暗にオンライン授業のみの大学を批判、との記事が出ていた。「ディズニーはいいのになんで大学だけ?」という大学生の苦悩を理解してくれているのかちょっと見直した。もっと強く言ってもいいのでは。
「言うならば授業の中身も非常に薄っぺらくなってしまうようなオンライン授業ではいけない」えっ?自分のことを言われているようで冷や汗が出る。






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