学生さんから質問

投稿日時 2021-07-04 15:45:19 | カテゴリ: TOP

職場接種が始まって以降ワクチン接種がぐんぐん進んで8月末には希望者全員に打ち終えるのではないか?という期待を持たせたが、ここにきてワクチンが足りないことが明らかになって各地で大きなブレーキとなっているそうだ。また東京都の感染者数は再び上昇しており(大半は20台、30台の若い人なので重症者は劇的に増えているわけではない)五輪無観客などとリンクさせて報道されるので全く気分が晴れない。熱海では土砂崩れが発生している。この時期豪雨は毎年恒例になってしまった。なんとかならないものか。

こういう時は明るい希望的な話題が欲しい。週末和歌山までがん免疫学会に出席するために出張してきた。現地開催をメインにした大会本部の英断には拍手を送りたい。参加者はいつもの1/3くらいだろうか。それでも以前の学会らしく挨拶をしたり討論したり久しぶりにいい刺激を受けた。やはり学会は現地集合がいい。学生のひとりが若手奨励賞をもらったのも嬉しいニュースだ。今の日本で明るい話題といえば大谷翔平の活躍くらいか。オリンピックは何のためにやるのか明確にしろとどなたか愚問を投げかけていたが「この何もかも暗い世の中に希望の光を」だけで十分ではないのか?


ワクチンがちょっと怖いという医学部の学生さんからmRNAワクチンについて質問がきた。
まず伊藤塾長と北川病院長の動画を見るように進めた。
https://www.youtube.com/watch?v=gG5a1X0tXkk

 

(1) ワクチン接種による遺伝に対する影響がないという根拠はあるのか?
ジェンナーが牛痘を始めた時も「打つと牛になる」というデマが流されたが、未知のモノに対するヒトの意識は科学が進んでもなかなか変わらないものらしい。

分子生物学でセントラルドグマを習ったはずです。それを知っていればmRNAワクチンが遺伝情報に影響を与える可能性は皆無であるとわかるでしょう。
例外はありますね。HIVのような逆転写酵素をもったレトロウイルスです。人の細胞でHIVが感染していなければ逆転写の可能性はほぼありません。
しかしもし君が勉強熱心なら内在性レトロウイルスのことを言いだすかもしれません(知らなければ調べてください)。我々の細胞も逆転写酵素が発現している可能性はゼロではないが、遺伝情報に影響を与えては困る生殖細胞や幹細胞にmRNAワクチンのmRNAが届いて逆転写されて染色体に組み込まれる可能性はゼロと言ってよい。しかも内在性レトロウイルスの影響はこれは何もmRNAワクチンだけではなく毎日我々の細胞が作成しているmRNAでも他のRNAウイルスでも同じ危険性があるので、これまでにそのような例はないのだから特にmRNAワクチンのmRNAを危険視する必要はないと思います。

 


(2) コロナワクチンに胎盤形成に関わるタンパク質が含まれていて妊娠及び胎児に影響しないか?

mRNAコロナワクチンにはタンパク質は一切含まれていません。デマです。「ワクチンでできた抗体が胎盤形成に重要なシンシチン-1を認識して胎盤を攻撃する」可能性があるとも言われていますがそれもこれまでの妊婦さんへの接種からありえないことが証明されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6011bd2fd3c53db2bcc67f6f8f7fd0531aa447e4?page=3
ただし、ワクチンを打つと熱が出ることからわかるように自然免疫が活性されるので、胎児の脳に影響を与えないとは言えない(まだ長期に調べられていない)。コロナに感染するリスクが十分低い妊婦さんは念のために出産してからのほうがよいかもしれない。ただ現在のところ、他のワクチンでは妊娠時に打ったから将来子供に影響が出たということはなくちゃんと調査されて否定されています。また当然、妊娠していない女性が打って将来子供に影響が出るということはない。それはこれまでの子宮頸がんワクチンなどで世界で大規模に調べられています。なぜかデマを流すひとがいるのは理解しがたいことですが。

(3) 
コロナワクチンに依る危険性・不都合な点やメリットについて

現在のところ若い人には軽いアレルギー反応がでやすいですが、それで死亡することはないと言っていい。多くは2、3日で回復します。「危険性・不都合な点はない」と言えます。ただこれまでにアナフィラキシーを起こしたことのあるひとは 念のためにやめた方がいいでしょうね。「普通の健康な人にとって、重大な危険性・極めて不都合な点は全くない」と私は思います。
一方でメリットはかり知れません。自分にとっては感染の危険性、重篤化の危険性がほぼゼロになりますし、人にうつすこともなくなります。また社会が正常化すれば困窮してい人たちや孤立している若者にも手を差し伸べることができます。
アメリカでは現在、死亡者の実に99.5%はワクチンを打っていない人だそうです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e0bee38ebd65eac8e66ec62834c0272da0bea6f

メリーランド州では6月の死者の全ては未接種だったそうです。
このことをみてもいかにワクチンが重要かがわかると思います。
さらに重要なのは多くのひとが打つことで、ウイルスの感染者が減り、打ってない人や、いろいろな理由で打てない人も助かります。これが「ワクチンは自分のためだけではなくみんなのため」と言われる所以です。伊藤先生も動画でそう言われていますね。さらにもしワクチンを打たない人が一定数いるとウイルスが増えて変異を誘発する危険性が高まります。インド株やブラジル株など感染性の強いウイルスは対策を十分やっていないところから発生しています。なので1日も早くこのコロナ禍を終わらせたいのでしたらワクチンを打つべきなのです。どうかそのことも十分考えてほしいものです。
mRNAワクチンが大規模に接種されてまだ1年くらいです。長期的な影響は検証されていないがそのことを今心配して、現在の状況を打破できず感染者が多く出て死亡したり若者が失業で苦しんだりしていることを長引かせる必要はないと私は思います。もし10年後に副作用がでてもそれを解決する医学や科学技術が現れて必ず修復してくれます。10年後には君たちが優れた治療法を見つけているでしょう。今回のmRNAワクチンもコロナ禍があったらからこそ、ここまで大規模に広がり有効性が証明され収束の切り札になったのだと思います。私は次に来る困難も人間の英知による医学、科学の進歩で克服されると信じています。

このかたのご意見は私と完全に一致。科学的にはこれでまっとう。専門家でも事実や論理に基づかず、自分の感情や感覚で判断している人が多い。「ワクチン打ってもマスク着用、集会会食禁止」などど言う自称「専門家」は専門家かもしれないが科学者ではないと言える。彼らの言う通りならワクチン打つ前と何が違うのだろうか?ワクチンを打っていれば重症化しないことは多くの国での実例が示している。ヨーロッパの感染者数と死者数の推移をみれば明らか。
若者の感染ばかり煽っていては決して収束することない。

今日は感染900人を超えたとかで政府はまた緊急事態宣言を出すらしい。多くは若者の感染なのでおそらく
緊急事態宣言を出しても減らないだろう。政府は腹を据えて「ワクチン接種を少しでも早く進めて重症者を増やさない対策に絞る」ような方針を宣言すればいいような気がするのだが。菅政権はそれを目指しているはず。イギリスやアメリカと基本は同じ。「日本もワクチンで欧米に追いつく。感染者が出ても重症者がでなければいい」と強く宣言したらいい。オリンピックと同じく半数近くは反対するだろうが半数は支持する。収束しては飯の種に困るらしいマスコミや野党や医師会は反対するだろうし、ヒステリックな反対の声に比べて政府への支持の声は聞こえにくいだろう。でも感情ではなく理屈で判断する半数はきっと支持してくれると思う。
こんなグタグタでは藤井先生のように現政権に愛想をつかす意見も出るだろう。信念を持ってブレない肝の座ったリーダーが必要なのではないか。イギリスではワクチンが進んで
他の死因や感染症と比較してコロナを特別視する必要が無くなった、ということで間もなくての規制を撤廃し正常化するという。様々な批判があるようだがジョンソン首相は決断力があるということだろう。感染者は一日3万人に迫るが死者は30人程度だという。一か八かの賭けではなく合理的な判断であり、この試みが成功して多くの国が追従することを祈りたい。

またこういう目標があるから頑張れるのではないか。日本では禁酒令など単に人々を締め付けるだけで明確な目標が示されていない。これではオリンピックも経済も盛り下がるのも仕方ない。


 

 






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