やっぱりKIRはpseudosubstrateだった!

投稿日時 2014-05-07 18:20:49 | カテゴリ: TOP

 2012年2月末にImmunityにNMRを用いたSOCS3によるJAK2の抑制メカニズムの報告が出された。Baconらは私たちが過去に出したSOCSのKIR領域は疑基質(pseudosubstrate)として働いてJAKのキナーゼ活性を抑制するという説を完全に打ち砕いて、SOCS3はJAKの構造変化を誘導してATPの加水分解を促進するのだ、という説を提唱した。NMRのような高度技術を駆使されたのでは反論の余地もなさそうだった。15年に渡って宣伝して来た自説を放棄しなければならないのは大変な苦痛と言うか屈辱的であった。私はその上News&Viewにコメントまで書かされた。自分の見識のなさを嘆き、どうせ俺の言った事の半分は後で否定されると自嘲的になっていた。ところが今日、当のBaconからメールが届いた。昨年3月に(つまりもう1年以上前に)X線結晶解析の結果を報告したのは知っていると思うが、とある。そんなの見た事がない。すぐにNature Structural & Molecualr Bilogy の論文を読む。なんと結晶構造解析ではSOCS3-KIRはやっぱり疑基質として働くと言っているではないか!

The kinase-inhibitory region of SOCS3 occludes the substrate-binding groove on JAK2, and biochemical studies show that it blocks substrate association.

おいおい、散々KIRはpseudosubstarteではないと言ったくせに。ImmunityのNMRのデータとは何が違うんだ?残念ながら私には構造の事はよくわからない。実はNMRではKIRの位置は何故か困難で特定されていなかったのでkineticsをとってATP分解説を
証明しようとしていたのだった。構造解析や純化したタンパクでの解析なら間違いないのだろうと思っていたが、こんなこともあるんだ。でも逆転サヨナラ(これで決着であって欲しいが)の気分。50以上の変異体を作製し綿密な実験を行った安川君の解析は完璧だったのだ。






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