投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-24 00:28:46 (2537 ヒット)

 K君は4年前に獣医学部を卒業して大学院に入って来た。当時『免疫リプログラミング』に取り憑かれていた私が彼に与えたテーマは『一旦活性化されたT細胞を若返らせて自己免疫疾患や癌の治療に役立つT細胞を創出しよう』というものだった。炎症部位に集まっているT細胞は抗原特異的に活性化されているはずである。このT細胞の分化をリセットしてナイーブ(未感作)状態に戻して制御性T細胞(Treg)に再分化させれば自己免疫疾患や炎症が関与するあらゆる疾患の究極的な治療法になるはずである。また腫瘍に集まっているT細胞は疲弊しているのでこれを若返らせてもう一度活性化できれば強い抗腫瘍効果が得られるだろう。この『若返り』(=リプログラミング)の方法として有名なのはiPS細胞である。iPSは「若返り」というよりも「生まれ変わり」というべきかもしれない。実際にiPSにしてTregにしようという試みもやったことがあったがCD4は上手くいかない。CD8であればすでに河本先生や中内先生がiPSからT細胞に分化させて抗腫瘍免疫に使う方法を発表されている。しかしiPSからT細胞を作るのは効率が悪く時間もかかる。やはり部分的な『若返り』が可能になれば大きな利点であるに違いない。ではどうやって若返りさせるのか?
K君はいろいろ試したがなかなかうまくいかない。3年前のあの日に私はメールでいくつか試みてみるべき方法を示した。その中には『酸処理してみろ!』というのもあったがやっぱり死んだだけだった。なぜかそのときに『ストローマ細胞と共培養してみろ』というのがあったらしい。iPSからT細胞を作るのに使うのと同じ方法である。K君はこの共培養で活性化T細胞の中に『ナイーブ』(未感作)の性質を示す細胞集団が現れることに気がついた。このナイーブ様のT細胞は当時少しずつ提唱されていた『幹細胞様メモリーT細胞』(Tscm)に近いものだったのだ。そこで試験管の中で誘導できるTscmということでinduced Tscm(iTscm)と名付けた。これまで試験管内で誘導するTscmはナイーブT細胞から作られたものでリプログラミングではない。K君の方法は一旦活性化されたT細胞から「分化を巻き戻して」作くれるところが大きな違いだ。iTscmはどの種類のT細胞よりも抗原によく応答して増殖し長寿命である。さっそく抗腫瘍効果を調べたところ他のどの細胞よりも抗腫瘍活性が強いことを確認した。ヒトでも作成可能だった。
あまりに衝撃的だったせいか論文はなかなか通してもらえなかった。投稿を始めたのは1年以上前からだった。メカニズムはまだわからないがヒトでいうと60歳の老兵を少なくとも30歳くらいは若返らせることに成功したのではないか?と言うとどこかで聞いた話か?と疑われるので詳細は論文を待ってほしい(ただ一応メモリー細胞なので、何にでもなれる15歳くらいまで若返らせているわけではない)。K君は地道に実験を繰り返しひとつずつTscmの条件を検定し見事に大発見を成し遂げた。ヒト腫瘍免疫への応用も十分期待できる。大学院生の仕事としては立派すぎる出来だと思う。私にとっても8年以上前からお題目のように吹き続けた『免疫リプログラミング』がひとつ完成したので感無量である。
 

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-23 23:12:20 (1496 ヒット)

 24日金曜日はプレミアムフライデーである。そういえば『大学ももちろんそうですよね』と言っていた学生がいたが本当だろうか。4限目は休講?
それに合わせたのか本日0時に村上春樹の新作が発売されるとかでニュースで書店が映し出されていた。2人の店員がカーテンのような布を手を上げて支えて書棚を隠していた(しかもつま先立ちしないと届かない高さだ)。その前には2時間前から待っているというファンが座っている。いま(23日)10時だからあと2時間ああしてカーテンを支え続けるのかと思うとハルキ現象に感動すら覚える。私はアンチではなく無関心派なのだが、村上春樹の偉大さはアンチも気なって仕方がないところなのだそうだ。私が村上春樹を読んだのはまだ全然売れていない頃で、当時のちょと文化人を気取った青臭い大学生たちには全くうってつけの作品だった。『羊』までは20代の「僕たち」は確かに知られざるハルキストだったのだ。しかし人気が出るのと反比例して『ノルウェイの森』から皆アンチか無関心になった(ふりをしているのかも)。

今朝七田君から論文が正式にNMにacceptになったと連絡があった。喜ばしく嬉しいことだが私はあまりの待ち時間の長さに素直に喜べない。再reviseなのでresponseはたった一人のreviewerに対してのみである。その中身も大したことではない。どう考えても2週間で返事が来るものと思っていた。しかしなぜか1ヶ月してreviewerに送り返され2ヶ月後の12/29日に"in principle accept"の返事が来た。reviewerは一言OKと返事しただけなのに。それからeditorが手を入れた原稿が戻って来たのは1ヶ月後、図にも注文をつけられたりしたが正式なacceptはさらにその一月後ということになった。舐めるのもいい加減にせい、と言いたいが粘り強く待った七田君の忍耐力は相当なものだと思う。私なら途中で『もう取り下げてやる!』と言っていたことだろう(別の雑誌だがあまりにreviewが遅いので実際にそうしたこともある)。内容については後日紹介したい。

もう一つ嬉しいニュースは大学院生のK君の論文がNCにこちらは”in principle accept"をもらえたこと。こちらもreviseを送って一月放置プレイ。メールが来たときに”acceptか!”と期待して見たら"reviewerに送った”という知らせ。これでブチ切れて10日ごとに『まだreviewerから返事は来ないのか?』と催促し続けた。おそらくNグループは最近拡張路線なので人手が足りないのだろう。こちらがせっつかなければ放置されるだけ。こんな雑誌をありがたがるのはもう止めるべきなんだが。
 


 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-21 12:00:02 (1391 ヒット)

 20-Feb-2017
Dear Dr.Yoshimura:
I am pleased to inform you that your manuscript INTIMM-16-0126.R1 is accepted for publication in International Immunology.
acceptのメールをもらったのは本当に久しぶりのような気がする。Kさんは大学院に入学したものの出産育児で一時離脱し、3年生として入り直して研究を行っていた。今も昔も子育てと研究の両立は難しいものだがなんとかやりくりして最後までやり遂げたところは立派だ。
タイトルは"Role of scavenger receptors as damage-associated molecular pattern receptors in Toll-like receptor activation"
本論文ではDAMPsとして有名なHMGB1をとりあげている。昔からHMGB1のようなDAMPsはTLR4を活性化することは知られていたがDAMPsとTLR4の結合力は非常に弱い。何か別の副受容体(co-receptor)の存在が示唆されていた。七田君がDAMPsの受容体としてスカベンジャー受容体を発見していたのでこれがco-receptorとして働くという仮説を考えた。材料は揃っているので1年もかからずにすぐにまとまるだろうと考えていた。しかしそう簡単に絵に描いたようにはいかなかった。まず培養マクロファージ細胞でHMGB1がスカベンジャー受容体のMsr1で取り込まれること、Msr1がないとHMGB1によるサイトカイン産生が低下することからMsr1がHMGB1とTLR4を結ぶco-receptorの役割を果たしていることが示唆された。極めてきれいな話ですぐに終わると思ったのだが苦難はここから始まった。Msr1欠損マウス由来のマクロファージでは取り込みは変らずにサイトカインはむしろ上がったのだ。スカベンジャー受容体はたくさんあるので個体では本当に重要な受容体は別にあるか、あるいは他のスカベンジャー受容体群に補償されるのだろう。結局その個体で重要な受容体は同定出来ず、M-BSAという普遍的な阻害剤を用いるしか方法が無かった。昔からスカベンジャー受容体と炎症については正反対の論文が出されたりして議論が分かれていた。Kさんは個体での応答を丁寧にみることで炎症性のM1マクロファージではスカベンジャー受容体はHMGB1を取り込むときにTLRのco-receptorとして働くが、M2マクロファージではもっぱらHMGB1を取り込み分解する本来の掃除役としてのみ働くことを見つけたのだった。しかしM1とM2で、どのような仕組みで機能的な差が出るのかまでは明らかにできなかった。次の目標になるだろう。しかし不運だったのはHMGB1の受容体がSCARA5というスカベンジャー受容体であることがJ.Immunol.に昨年出されてしまったこと。これでJIクラスは無理かと思ってIIにしたのだが、雑誌のIFで内容は測れない。M1/M2でスカベンジャー受容体の機能が異なるというのは極めて新しくて面白い発見で胸をはってよいと思う。

Reviewerのコメントが返ってきから2ヶ月あまり。コメントは的確で、ウエスタンブロッテイングでscavenger受容体のあるなしでシグナルの差をみろというものだった。このため彼女は毎日ウエスタンばかりすることになったが、まだまだ基本が出来てないから簡単な実験でもつまずいてばかり。『一芸は百芸に通ず』あるいは『一芸は道に通ず』と言われる。ウエスタンの奥義を極めれば必ずどんな新しい技術も科学も苦労無く身につけられることだろう。そういって励ましたのだがプロフェッショナルになるのはもう少し先かな。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-17 15:46:38 (1399 ヒット)

 実は密かに『カンブリア宮殿』をよく見ている。成功した経営者のありがたい話を聞いてすこしでもあやかりたい。通勤の合間に動画で見ることが多い。昨日はひふみ投信のカリスマファンドマネージャー藤野英人氏が出て来た。自分の足と眼で投資する企業を見極めるのだそうだ。そのなかで、あなたにも見分けられる「こんな会社は成長しない!」というのがあった。①晴れなのに傘立てがかさだらけ。②社内では靴を脱いでスリッパに履き替える。③社長が自伝を手渡しする。うッ、なんとうちは①②はそのまんまではないか。もしかしたら③も自伝は無いがついつい昔の自慢話ばかりしているかもしれない。これはいかん。せめて傘立てくらい整理しないと。。。②は実験室なので仕方ない面はある。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-08 09:31:18 (1438 ヒット)

 ニュースで『脳動脈瘤、薬の治療に道 京大、炎症の仕組み解明』と大々的に宣伝されていた。原著はこちら。ラットやマウスを使った脳動脈瘤のモデルで、プロスタグランジンE2(PGE2)の受容体のうちEP2を阻害すると炎症が収まり発症や症状が改善されるというもの。京都大学の成宮先生、青木先生らのお仕事。マクロファージにおいてPGE2とTNFαが相乗的に働きCCL2というケモカインを分泌させてマクロファージをさらに集積させるらしい。一旦膨らんだ動脈瘤は薬では縮む可能性はないと言われていたらしいが、マクロファージのコントロールで少なくともさらに大きくなるのを防ぐことはできるのかもしれない。でも破裂する前の炎症を引き起こす最初のトリガーは何だろうか?少し前に岡山大学の西堀先生らから、くも膜下出血の場合は組織からのHMGB1がマクロファージの活性化に重要で、HMGB1の中和抗体が有効と言う報告もあった。この場合は破裂した後でHMGB1が大量に放出されてマクロファージが活性化されるのは理解しやすい。感染以外で動脈瘤で炎症が起きる最初の原因はまだはっきりしないようだ。
どうやってマウスやラットに脳動脈瘤をつくるのか調べてみたらいくつか方法はあるらしいが総頸動脈を結紮して高塩分食にして高血圧にするなどかなり緻密な作業が必要らしい。脳梗塞モデルもかなり難しいがこちらも難度が高そうだ。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-02-03 22:51:07 (1432 ヒット)

 助教講師の募集をはじめて1週間。はじめはゼロかと思ったが意外と多くのかたから応募があった。ちょっと型破りだったのがよかったか。ショウジョウバエのかたやゼブラフィッシュのかたもいる。どれも面白そうで資金が許せばぜひ一緒にやりたいテーマばかりだ。しかし6月の実習には間に合うように選ばないといけない。これは極めて難しい判断だ。

研究員の実験が複雑なことになってどう収束させてよいかわからなくなっている。今日も研究員とdiscussionして途方にくれる。自然は複雑で簡単な仮説で説明することが難しいことは多い。しかし簡単な説明ほど美しい(正しい)。これを『オッカムのカミソリ』という。実際には『ある事象を説明するのに必要以上に多くを仮定すべきではない』という格言だそうだ。そう言って彼にひとつの仮説を推すと、『その仮説では説明できない』とにべもなく否定された。

なぜ『オッカムのカミソリ』が思い浮かんだかというと、最近Gaoで無料でやっている『コンタクト』を観たから。1997年の作だから20年ぶりにみたことになる。そのなかで『オッカムのカミソリ』が数回出てくるのだ。20年前には全く気に留めなかったことが何故か心に残った。
ジョディー・フォスターの相手の神学者を務めているのがマシュー・マコノヒーという俳優(当時はイケメン)でやはり宇宙をテーマにしたSF大作『インターステラー』で主役(今はオジサン)を演じている。「インターステラー」は海外出張の飛行機の中で必ず観るのでもう何度みたかわからない。なぜそんなに引きつけられるのか?「コンタクト」をみて理由がわかった。結局どちらも父と娘の物語なんだ。「コンタクト」は娘が『インターステラー』は父親が主人公になっている。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-26 01:04:43 (1818 ヒット)

 鼻水が止まらない。風邪をひいたんだと思っていた。今日技術員さんに『今年はだるいの目が痒くて涙が出るのと言いませんね』と言われて、そうか花粉症かと気がついた。言われてみると倦怠感もある。今日は会議2つとも遅刻で呼び出しをくらった。日中ぼーっとしているのは時差ぼけか、ただのボケだろうと思っていたらやっぱり来ているんだろう。もうそんな季節なんだ。
助教もしくは講師の募集を掲示した。海外にもメール回してもらった。が、反響なし。話題提供で終わるか。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-24 17:37:30 (2639 ヒット)

教室では正規の助教もしくは講師(ただし肩書きは講師と同じですが、学部内講師という身分で給与は助教よりも若干よい程度。)を募集しています。

これからPIを目ざす若手を歓迎します。実習のdutyが年に7日ほどあり、また教室の共通の仕事が若干ありますが、ほとんどの時間は自分のテーマとアイデアで研究を進めていただいて結構です。免疫学領域が望ましいが分野はそれほど問いません。ただ当教室のリソースを活用出来る方が望ましいので応募の際にやりたいテーマを明記してください。私はアドバイスはしますが(残念ながらたいしたアドバイスは期待出来ない)強制はしません。もちろん一緒にやれそうなことがあれば非常に嬉しい。今ある限り研究費のサポートはします(研究費がなくなったら自分で稼いで下さい)。講師には技術員をつけます。

任期制で5年任期で再任可ですが、私が定年のH36年頃までと認識しておいてください。それまでには独立か昇進してください。
赴任時期は6月前が望ましいが考慮します。良い候補者が決まるまで募集を続けます。
現在の教室のテーマ
(1)免疫細胞のエピジェネテック制御とリプログラミング
(2)制御性T細胞(Treg)の発生機構の解明と免疫疾患、癌治療への応用
(3)神経炎症とその制御 (現在は脳梗塞モデルやアルツハイマーモデルなど)
(4)人工的メモリーT細胞もしくはSOCS阻害による抗腫瘍免疫
興味をもたれましたら遠慮なくメールください。また心当たりのかたに知らせていただければありがたい。
yoshimura@a6.keio.jp


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-22 12:23:24 (1298 ヒット)

 1/20,21と武田科学振興財団の生命科学シンポジウム『慢性炎症』(Chronic Inflammation, initiation, progression and resolution)に参加する。大阪吹田の武田薬品工業の研修所で2日間にわたって行なわれた。さすが武田薬品の研修所である。中にレストランもバーもあり、泊めていただいた部屋は高級ホテル並みだった。内外から演者は私以外は一流どころばかりで内容が濃かった。ポスターも100近くありとても全部詳しく見きれない。実は応募が始まったころ事務局からポスター、参加者ともに集まりが悪いという報告があったのでうちからは5つも出したのだった。しかし結果的には集まりすぎだったかも。七田君のがポスター賞をもらったのがうれしかった。本当は5件授賞のはずだったがよい発表が多かったので7件が選ばれた(写真は授賞式で)。一件の賞金は普通の学会では考えられないくらい大きいのだが武田財団はさすがに懐が深い(暖かい)。しかし本体の湘南の研究所は縮小という話でその話になると財団関係者の方の顔も曇ってしまう。卒業生も研究所にいる。ぜひもう一度日本の研究所からブロックバスターの薬を出して欲しいものだ。
私の発表は土曜日の朝一番。やはり先週のkeystoneの疲れが抜けきれない。しかもまだスライドが完成していない。伊藤さんにデータをもらったのだが細かいところは疑問だらけで発表の直前まで本人に確認している始末。やっぱり発表するとなると細かいところが気になるし、『え、そうだったの?』と思っていたのと随分違うことも多い。あれもこれも足りないし、不完全なところがよくわかる。胃が痛くなってきた。朝3時までかかって準備、練習したのだが結局70点くらいか。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-16 14:05:57 (1522 ヒット)

 2年ぶりのkeystoneシンポジウム。今回のkeystoneは高山病と時差ぼけ(ただの痴呆という話もあるが)に悩まされた。会議中の昼間は眠くて頭も痛くて何も頭に入らない。逆に夜は眠れない。初日の座長と2日目の朝の自分の発表で主要な仕事が終わるとあとは朦朧として過ごした。ただ最初のキーノートレクチャーでTGFβの世界では重鎮のRik Derynckが瀧本君や若林君の仕事を紹介してくれたのが大変誇らしかった。また日本から某○外製薬の研究所から派遣されたY君と知り合いになれたのも収穫だった。実はY君は私の先輩のK先生のところで学位を取ったので、私とK先生が兄弟弟子とすれば甥っ子弟子にあたる。まだ入社2年目ということで初々しい。ぜひTGFβ関連で薬を作ってもらいたいものだ。
ただ今回の発表でも癌細胞と免疫細胞ではTGFβの働きは真逆であることが明確になってきた。癌細胞自身はTGFβやそのシグナル分子には変異が入ったり発現が下がっていて癌抑制に働く。なのでTGFβやそのシグナルを阻害すれば腫瘍免疫は増強出来るかもしれないが、癌細胞にとっては増殖を促進してしまう。そんなこともあってか実はTGFβ阻害剤の臨床試験はうまくいかなかったらしい。癌の種類を選ばないといけないのだろう。それよりSOCS阻害剤のほうが有効だと思うが。。

往きの便の遅延があって、帰りの乗り継ぎ便のことが気になってしかたなかった。某アメリカン航空のHPでは運行状況を逐一チェックできる。アルバカーキーフェニックスは順調に飛んでいるが、フェニックスーサンフランシスコのA433便はとんでもないことになっている。月曜日から欠航、3時間遅延、欠航、3時間遅延と続いていた。これは絶対に駄目だと思って元日本のナショナルフラッグのJ○Lにメールで相談したら、お前の格安チケットでは変更出来ないから遅延や欠航はアメリカン航空にまかせるしかない、という返事。では自分でアルバカーキからサンフランシスコまでの便を購入するからサンフランシスコから乗せてくれ、と泣いて頼むとそれも出来ないと突っぱねられた。規則はそうかもしれないがただでさえ海外で不安な旅行者にあまりに非情ではないか。『担当者とご相談ください』くらいの希望をかろうじて捨てられないくらいの言葉があっていい(多分担当者も人の子なので接続のAAに乗ってなくても泣いて頼めば日本行きには乗せてくれるだろう。もしそれで拒否されたら今時SNSでJ○Lの評価は地に落ちているはずだ)。いつかもヨーロッパで遅延にあったときにわざわざ国際電話したのにJ○Lの対応は現地の会社の言う通りにしろと言うばかり。そのときは何故かA○Aさんが懇切親切に対応してくれて無事日本に戻れたのだった。J○Lの血も涙もない対応とは雲泥の差だ。アメリカ国内線でもJ○Lは接続が悪いことが多い。国際線でもA○AはすでにJ○Lを抜いて世界でも有数の航空会社になっている。溜まったマイルさえなければいつでもA○Aに乗り換えたいと思っている。私だけではない。A○Aの方がJ○Lよりずっと旅行者に親身になってくれるという話はいくらでもある。J○Lにへばり付いていたのは京セラの稲盛さんが会長をしていたからというただそれだけ。稲盛さんは長く自分が奉職した鹿児島大学の出身だから。残念ながら稲盛イズムは末端までは浸透しなかったらしい。なので今はJ○Lに何の義理も思い入れもない。やはり文字通り(親方)日の丸の旧ナショナルフラッグはどうしても顧客目線になれないらしい。

完全に諦めていたフェニックスーサンフランシスコ便だが何故か金曜日は30分の遅延になっている。これなら間に合う。実際に本番の土曜日は完全に時刻通りに飛び10分ほど早くサンフランシスコに到着した。初詣のおみくじで『吉』を引いたご利益かもしれない。

なぜその問題のA433便はそんなに遅延や欠航を繰り返したのか?このAA433はワシントンDC-フェニックスと飛んでからフェニックス-サンフランシスコと繋いでいる。想像でしかないのだがワシントンは常に定時に出発しフェニックスで遅延か欠航している。ワシントンからフェニックスへの5時間近いフライトの後でフェニックスで検査に引っかかったのだろう。とすれば定時に飛んだとしても極めて危険な便ということになる。私はそれが一番不安だったのだ。実際に土曜日に乗ってみるとAA433便は最新鋭のピカピカの機材だった。木曜日と金曜日の間に何かあったに違いない。私が乗った次の日曜日の便も定時運行だ。さすがにAAも放置できなかったのだろう、と想像する。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-14 17:58:07 (1151 ヒット)

ニューメキシコ州タオスで開催されるTGFβ関連のkeystone meetingに参加するために 8日の夜に日本を出発した。3年ほど前にアルバカーキ空港から車で1時間程度のサンタフェでも似た会議があったがタオスはそこからさらに2時間ほどかかる。とても一気に行けないのでアルバカーキで一泊して、翌日午前中に卒業生のいるニューメキシコ州立大学を訪れて午後からタオスをめざすことにした。
まずアルバカーキまでが遠かった。サンフランシスコから直行便がなくフェニックスを経由するのだが、なぜか8日のサンフランシスコのダイヤ(飛行機はダイヤとは言わないか)が乱れていて遅延や欠航が多かった。私が乗る予定だった便も4時間以上遅れている。カウンターには長蛇の列ができている。辛抱強く待って『どうしてくれる?』と言うと、遅れた便でもそのまま乗れば深夜23時発のフェニックスーアルバカーキ便に間に合うと言う。今日中に着けばいいし、待合室で寝てればよいかと思って承諾した。待合室に行ってしばらくすると予定の便がさらに遅れている。それなのに呼び出しもない。あわててカウンターに行くと定時運行しているひとつ前の便(実際には予定していた便のひとつ後の便)に変えてくれた。フェニックスで2時間待つことになったがフェニックス空港で一晩明かすよりはましだ。それにしても某アメリ○○航空の対応のいい加減さには腹がたつ。便のさらなる遅延に気づくのが遅かったら絶対に間に合わなかった。それにしても深夜便があってよかった。これが最終便だろうと思っていたら24時にアルバカーキに着いたら今からダラスまで飛ぶと言う便のアナウンスがされていた。さすがに航空機が足代わりのアメリカだと感心した。
 翌日朝8時に卒業生のKさんが迎えに来てくれた。セミナーは9時からで人が来るのか不安だったが結構集まってくれた。keystoneで発表する内容(25分)に少しデータを足して50分くらいで収まると思っていたのだが、それでも詰め込み過ぎた。高地のせいか最後のほうは文字通り息切れしてはしょった。免疫関係ではないひとも多かったそうなので全く理解されなかったかもしれない。
アルバカーキの街自体が広大だがニューメキシコ州立大学も広大なキャンパスを持っていてどの建物も低層だ。この州らしく『色も形もキャラメルのような建物』が多い。どちらかと言うとITなどの工学部系が強いらしく、生物学系は弱くて免疫関係も3つくらいしかラボがないそうだ。イメージングと数理解析に力を入れているらしく学部長がいろいろと説明してくれたがよくわからない。同じkeystoneに参加するChen Dongと彼の弟子だったCIS欠損マウスを解析したXuexian Yangと昼食をとる予定だったが案の定彼の便も遅れて結局Chen Dongと会ったのはタオスでだった。アメリカでは定時に運行されることのほうが奇跡的なのかもしれない。帰りの乗り継ぎが気になり始めた。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-08 19:24:12 (1646 ヒット)

 理研では古きよき時代の終身雇用制を復活させると言う。若い人からではなくシニアからというのが解せないが、よいことだと思う。審査があるので全員ではなく業績や能力が見定められるのだろう。しかし、国からの支援が大きい理研と違って一般の大学はどうなるだろうか。このような動きが一般の大学にも広がるのか?それとも研究所と大学の格差が広がるのだろうか?私が若い頃は、大学では教授が変るとき助教や講師が残っていると新任の教授がその人たちの行く先を世話しなければならず随分苦労したという話をよく聞いたが、最近はあまり聞かないような気がする。逆に助教のなり手がないという話も聞く。任期制が流動性を高くした面も否定できないのかもしれない。一方で不安定な身分ではアカデミアでの研究職をめざす若い人が減るのもよくわかる。理研の提案は審査制度を導入して折り合いをつけようというのだろう。ひとつの解決方法かもしれない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-05 14:50:44 (1259 ヒット)

 いつものYahooニュースより今回はちゃんと原著を読んだ。たまには原著にあたることもある(自慢にもならないが)。脳梗塞を起こした脳では血管周辺のペリサイトと呼ばれる細胞が多分化能を獲得し神経細胞にも分化出来るようになるという。なんか何処かで聞いたことがあるような話だが、論文をみるとiNSPC(ischemia-induced neural stem/progenitor cell ) 別の論文ではiPCともあった。新聞ではiSCとなっていた)は山中4因子のうちOct3/4以外は発現するらしい。これはすごい発見のように思える。しかもこの細胞はマウスの脳内に戻すと神経細胞として機能するという。脳内のどんな因子がペリサイトのリプログラムを促進するかは明らかではないが、脳梗塞という過酷な環境を生き延びようという生体の知恵なのか。ただ患者さんの脳から直接細胞を取り出すのは困難も多そうだ。もしこの過程を試験管内で再現し、普通の細胞からでもiNSPCが作れるようになれば治療法としては有望なのだろう。

写真は新年会のときに病院11階から見えた富士山と国立競技場の工事現場。ここから富士が見えることを初めて知った。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2017-01-04 10:18:37 (1292 ヒット)

新年おめでとうございます。今年が皆さんにとって健康ですばらしい年であることを祈ります。

初詣に行った中野の北野天神では「大吉」。幸先よさそうな気がする。
当ラボにとって今年は大きな節目の年になりそう。研究費も人も減っていくが少数精鋭でいきたい。またTregやSOCSなど集大成となるべきテーマもある。
1月初旬よりUCSDから特任准教授で谷口君が赴任する。彼は『きしもと』希望プロジェクトの研究員として独立してやってもらうことになるが、また一緒に仕事ができることが楽しみ。
10月末には金沢で国際インターフェロンサイトカイン学会が開かれる。プログラム委員長として関係しているので少しでも盛会になるよう努力したい。なるべく多く来ていただけることを祈るばかり。
毎年毎年1年が短くなる。うかうかしているとまたすぐ年末になりそう。頑張らないと。今年の目標:断酒は無理でも節酒をする。運動して薬がなくても血圧と中性脂肪を下げる。今年終了する科研費の後継となる研究費を獲得する。論文を10報くらい出す。
写真は年賀状の図柄。昨年3時間以上並んで得た成果(若冲展)。努力は報われる年であって欲しい。
 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-30 21:22:28 (1881 ヒット)

 今年もあと一日で終わり。2016年は研究教育以外の仕事で(雑用とは言わないが)極めて忙しくて論文もあまり出せずに終わりそうだ。しかしひとついいニュースが最後に舞い込んだ。七田君のrevise論文が長いこと待たされてほぼacceptという返事が来た。詳細は改めて報告したいが、じつは2度目のreviseでひとりだけ文句を言ったreviewerへの返答だった。3週間で返事がくると思っていたら、なんと以下のごく簡単な返事をもらうのに2ヶ月待たされた。

Their conclusions are now considered to be adequately supported by the data presented. No further comments.

これはreviewerのせいではなく某journal officeの怠慢もしくは人手不足のせいだ。呆れてものも言えない。しかしそれでも気持ちよく新年を迎えられるのでよしとしたい。今回は七田君がcorresponding authorで私は何もしていないので彼の方が気を揉んだことだろう。

その七田君も4月からは東京都総合医学研究所で独立だ。希望に胸ふくらませているところだろうが、本当に真価が問われるのはこれからだ。卒業生の稲葉さんもアメリカ、コネチカット大学で独立することになった(左下Department Newsに出ている)。何事もスタートダッシュが肝心。自分が久留米で独立した時のことを思い出した。当時は遺伝子をクローニングしさえすればなんとかなった時代だっが、今はそうはいかない。でもいつの時代にも最先端の技術はある。それを自分の研究にうまく取り込むことだろう。ぜひ頑張って欲しい。

准教授の森田君も春には国際医療福祉大学の教授として異動する。一気にスタッフ3名が抜けることになった。今来年のシラバス作成に頭を悩ませている。2017年も今年以上に忙しい年になりそうな予感がする。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-30 11:32:20 (1051 ヒット)

 大学院生がビタミンCが効かないと言って来た。どうやって保存しているのかと聞くと溶かして小分けしていると言う。ビタミンCは抗酸化作用が強いだけに空気酸化されやすい。溶液の状態で保存してはいけないことに気がついて欲しい。抗リン酸化抗体のWesternがうまく出ないと言う。まさかリン酸バッファー使ってないよね、と聞くと「いけないんですか?」うーん、確かに聞かないとわからんのかもしれないが想像力を働かせて欲しい。人生と研究に必要なのは『勇気と想像力とほんのすこしのお金』(チャップリンの名言)


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-26 11:32:45 (1020 ヒット)

 秘書さんがイスのキャスター(小さな車輪)が壊れたといって泣きついて来た。私は慌てず破損したキャスターを取り外して教授室から持ち出した交換用のキャスターを察し込んだ。これで修理完了。便利屋の面目躍如といったところだ。実は自分のイスのキャスターもよく壊れる。ほとんど一日中座っているので壊れるのも当然だろう。なので交換用のキャスターを常備しているのだ。ネットで5個で2000円くらいなものである。これを知らないと高価でまだ使える椅子を捨ててしまうことになりかねない。ラボや会社に常備しておくべき消耗品なのだ。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-23 11:04:10 (1066 ヒット)

 昨日は大掃除。朝8時から始めて午後4時くらいまでかかった。before-afterの写真をとっておかなかったのが残念だ。今年は例年になくよく片付いたと秘書さんらの評価も高い。よく動いたが五十肩(いやもう六十肩か)が悪化したか腕が上がらなくなった。
通常年末に行いそのあと忘年会というパターンなのだが今回はワックスがけの都合もあって早めにやったのだ。しかしやはり大掃除が終わった後はビールを飲みたい。6時くらいからピザをとって酒盛りを始めた。すると卒業生で現在は某大手製薬で働いているK君が一升瓶を抱えてやってきた。彼は学術のような仕事(リエゾンというらしい)をしていて色々な大学を回っているのだが、これまで本ブログでも度々登場してきたので『あなたがあのK君ですか』と名前をすぐに覚えてもらえていいらしい。『仕事はどうだ?』『むっちゃ楽です。このラボに比べたら何処で働いても絶対楽やと思うでしょう』?うちはそんなにブラックか?そもそも君そんなに働いてたっけ?そんな話で盛り上がったが、そうやって宣伝しているから日本中で『吉村研は厳しいらしい』という噂が広まって誰も来なくなったのかもしれない。

昔はともかく今は全然ブラックじゃないことを強調したい(やっぱブラックだった?)。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-20 22:58:11 (1249 ヒット)

 多くの先生が経験していることと思うが、大学院生の論文の添削は命を削る作業である。これには集中力が必要なのだが年をとったせいか集中力が続かない。以前より時間がかかるようになったし、より苦痛を感じる。さらに最近肩が凝るようになった。体に力が入っているのか五十肩になってしまったようだ。そういう時に限って当の学生は何処かに行っている。毎年くり返されることだがだんだん怒りが湧いてくる。自分の英語で書かないこと。暗号解読にすこぶる神経をすり減らすことになる。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-20 00:11:55 (985 ヒット)

 文科省はH29年度から始める給付型奨学金の制度案を発表した。無いより随分いいが額が少なくもらえる人も限られている。NHKのクローズアップ現代やニュースでは奨学金破産や奨学金中退の問題が報道されている。苦学生というのは死語だと思っていたが、そんな学生が十数万人もいるという。子供の貧困とともに、若者の経済的な危機は日本の将来を左右する重要な問題と思う。少なくとも本当に学びたいという気持ちがあるのに経済的に苦しくて学校に行けない若者には何とか手を差しのべたいものだ。私も奨学金で学業を支えてもらった口だから余計に人ごととは思えない。一方で学生の大半が講義にも出ず何をしているかわからない大学もある。何不自由なく学べるということは有難いことなんだと気がついて欲しいが。
難波のエリカ様、上西議員は給付型奨学金に反対でその理由は 『大学に行けば何とかなる、なんて甘い考えだ』という。この人たまにはまともなことを言うんだ。一方でテレビ番組で著名な某私大の教育評論家が『借金してまで大学に行くのだから将来を保障してあげなきゃ』と言っていた。先生の気持ちとしてはわかるが、今の時代に「大学に行けば将来が保障される」と言う考えは最早通用しないだろう。大学時代に世の中に通用する技能や知識を身につける必要はあるだろう。でもそういう気持ちのある人にはせめて学ぶ機会は与えてあげたいものだ。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-14 20:25:58 (1183 ヒット)

 お歳暮のシーズンである。卒業生や関係する医局から研究室にいろいろなものをいただく。大変ありがたいことだ。皆様本当にありがとうございます。しかし中にひとつだけ地味な小包があった。やけに重い。あけてみると写真のような分厚い冊子体である。何であるとはいえないが、この季節によく来る「不幸の小包」と私が呼んでいるものである。その厚さにため息しかでない。正月はこれとにらめっこか。。。
 

今日外出したら目の周りがかゆくてたまらない。もしや花粉症? 例年1月の中頃からムズムズ(ムラムラではない)するのだが、ちょっと早すぎないか。。今年の冬は暖かいからかもしれない。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-13 15:27:52 (925 ヒット)

 先週の福岡での失敗を踏まえて、前半のサイトカイン全般の教科書的講義では一コマで終わろうとせずにヘルパーT細胞の細かい話は2コマ目の冒頭に行った。後半の研究の話はアレルギーを治療予防する試みとしてまず一般的な治療法、それから石けんを使わない自身の体験を踏まえた『バリア機能強化』の話をして、腸内細菌とThバランスを利用した治療法、経口減感作療法、Tregの話をする。学生さんのレポート(感想文)を担任の佐藤先生が送ってくださった。「わかり易すかった」と概ね好評だったのが嬉しい。前回福岡では後半はボロボロだったが今回は『アレルギーを治す』というテーマで整理したのがよかったと思う。かなり時間をかけて準備したかいがあった。写真は宮崎名物の冷や飯、ではなくて冷や汁。みそ汁をご飯にかけた「ねこまんま」みたいなもの。でもかなりうまい。

佐藤先生の話だと宮崎県ではアレルギーは他の県よりかなり少ないらしい。山に囲まれているので杉花粉は多いはず。空気がきれいなせいか?あるいは衛生仮説に従うと畜産県なのでエンドトキシンの浮遊量が多いのか?ちゃんと調べると新しい予防法が見つかるかもしれない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-10 12:35:49 (1090 ヒット)

 またyahooのニュースから(原著は読まんのか!)。初耳学なので(林先生は知っていたかも)。若い女性に起こる不安定な精神状態や不随意運動で昔なら「悪魔払い」の対象にされていた病気だ。実はこれは抗NMDA受容体抗体による脳炎、つまり自己免疫疾患(抗体による自己組織(この場合は神経系)への攻撃なのでII型アレルギー)なのだそうだ。卵巣腫瘍が関係していることが多く、腫瘍組織に対する抗体が抗NMDA抗体を含んでいるため、腫瘍を摘出することで治癒することが多いそうだ。Wikiには「すべての医師(特に精神科医)は思春期における急性精神病の原因として抗NMDA受容体抗体脳炎を検討することが重要である」と書かれていた。講義でも取り上げたい。これまで原因不明とされてきた他の精神疾患でも実は免疫が関係しているのかもしれない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-09 11:13:43 (948 ヒット)

 アレルギー体質の乳児が生後6ヶ月から卵を食べると1歳での卵アレルギーを8割減らせるという。国立成育医療センターの研究成果だそうだ。通常食物には免疫は働かないように制御されている。これを経口免疫寛容という。経口減感作療法もこれを応用したものだが、早く始めるぼど効果的ということかもしれない。とすれば将来の花粉症の予防に乳幼児期から花粉を接収しておいたほうがいいのかもしれん。一方で成人はどうなんだろう?なかなか治らないのは経口免疫寛容の仕組みがだいぶくたびれているからかもしれない。

大阪府の知らない方から葉書をいただいた。年齢はわからないがアトピー性皮膚炎で悩まれているという。便移植でアトピーは治るか?という質問だ。うーん、マウスレベルの話ならある種の細菌はTh17やTregを増やしてTh2型のアレルギー(主に食物アレルギーモデル)を抑制することは報告されている。またヒトでも乳酸菌の一種がアトピーや花粉症に効くと宣伝されている。しかし成人の場合は期待薄のような気がする。ある程度効果がありそうなのは皮膚科の教授が推奨するバリア機能強化法だろう。ステロイドなどでまず皮膚の炎症を抑え傷をなくして十分な保湿を行う。また石けんの使用を控え、皮膚をゴシゴシこするような洗浄もやめる。アレルゲンの侵入を極力抑えようというわけだ。少なくとも私には効果があった。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-09 00:12:11 (870 ヒット)

 初代「伊達直人」が名前と顔を公表したそうだ。タイガーマスク運動のさきがけを作ったかたで実際には施設等で長年ボランティア活動を続けられてきたのだという。『子供たちは抱きしめられるために、周りのひとを笑顔にするために生まれてきた』という言葉に胸を打たれた。子供の虐待や貧困が問題になっている今だから名乗り出ずにはおられなかったのだろう。私は何もできないが「便利屋」はできそうなので定年後は施設の設備の修理をしてまわってもいいかなと思う。

沖縄から戻った翌日は福岡の九大歯学部でサイトカインの講義。いつもは一こま目を自然免疫、2こま目を獲得免疫について話すのだが、今回は趣向を変えて一こま目に自然免疫、獲得免疫両方の教科書的な話をして2コマ目に腸内細菌とヘルパーT細胞の研究に近い話をした。しかし講義終了後学生に感想を聞くと『難しすぎてわからん』。2年生には複雑すぎた。12日は宮崎大学で講義なので早速修正することにした。やっぱり内容を絞ってじっくり話したほうがいいのだろう。

インフラマソームの話をするのにいつものように私のパンパンに腫れた足先の写真を見せる。私『これ私の足なんですけど、なんだかわかりますか?』学生『水虫ですか?』おいおい、例えそうでもさすがに自分の水虫を公開はしないだろう。。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-08 10:17:10 (1037 ヒット)

 12/5-7 沖縄宜野湾市で今年の免疫学会の学術集会が行われた。理事会に出席するために4日から沖縄入りする。とにかく暑い。蒸し暑い。30度を超えたという話もあった。理事会では会費の値上げが承認され年間11000円になった。日本の基礎系学会で最も会費の高い学会のひとつになった。私は値上げの前に経費削減努力が必要なように思うのだが。。翌日のシンポジウムではトップバッターだった。初めて英語で講演する内容でかなり緊張する。前日睡眠時間を削って滅多にしない『発表者ツール』に英語を書き込んだ。これだと自分のモニターに英語が出てくるのでそれを読めばいい。安心していたら発表の直前でスライド画面がスクリーンに映らない。裏方のひとが調整してスクリーンンは写ったのだがなんと『発表者ツール』が解除されて英語のアンチョコが写っていないではないか。焦って発表はぼろぼろだったろう。発表内容はすべて未発表のデータばかり。まさに背水の陣。自ら退路を断ったので一日も速く論文にしなければならない。

宜野湾市のコンベンションセンターはまことに交通の便が悪い。沖縄にはなぜ電車がないのだろうか?宜野湾市にあるのだが那覇から普通でも車で30分。朝ラッシュ時には1時間以上かかる。学会は那覇から会場までチャーターバスを用意した。しかし初日は雨でさらに渋滞がひどく、開始が20分遅れることになった。交通の便が改善されないと次はないような気がする。

学会では製薬会社のリエゾンのひとを捕まえてはSOCS1阻害剤をつくって抗腫瘍免疫増強に使うプロジェクトを持ちかけた。興味を持ってくれたところがあればいくらでも説明したい。
 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-12-08 10:06:02 (907 ヒット)

12/1は慶應医学賞。今年は人類進化学の権威でネアンデルタール人の全ゲノム解析で有名なペーボ博士と抗PD1抗体で有名な本庶佑先生。なんと私は司会進行役。もともと滑舌が悪いうえ上がり症、しかも本庶先生なのでかなりの重圧だった。式典はつつがなく終了したが、記念講演では両先生ともに予定より早く終了したので質問時間の調整に苦労した。一般のかたからの質問は何が飛び出すかわからないので気が気ではない。本庶先生の時は最後に数日前に私のところに見学に来た1年生が質問したのだがどうも免疫の理解が足りないようで話が噛み合ない。思わず『時間がなくなったのでまだ質問があるなら私のところに来るように』と言っってしまった。免疫に関する質問なら私のところに、というつもりだったのが、『本庶先生のところに』というべきところを『私のところに』と言い間違えたと思われたのか聴衆から笑いが漏れた。ドイツ大使館の来賓の名前も言い間違えたのだが皆さん気がつかなかったという。無事に終了してよかった。昨年の大隅先生は1年後にノーベル賞。来年が楽しみではある。
本庶先生は講演で『100万の種がまかれても芽を出すのはそのうちの1%、木になるのはっそのうちのさらに1%、実を付けるのはさらにその1%。ひとつの実を得るには100万の種が必要』と一見無駄そうでも継続的な基盤研究の重要性を強調されていた。全くその通りだと思う。私は死んで行く99万なにがしの種のほうだろうが、研究者になったからにはその覚悟は必要だろう。でも一方で研究は面白いから続けられるのだろう。
 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-11-27 15:37:09 (1206 ヒット)

どうでもよいことだが、 定年になったらやってみたい仕事のひとつは便利屋である。そもそも昔から機械の修理は得意で、電子部品は無理だが理解出来る範囲であれば出来る限り自分で修理してきた。例えばエアコンの水漏れ。排水チューブにゴミが詰まっていることが多いので掃除機で吸引してやると簡単に詰まりは解決する。鍵を失くしたドアを合鍵を使わずに開けた事もあった。今日はカバンのファスナーを修理した。閉じようとしても下から開いて行くので全く締まらない。もう数ヶ月もいろいろ試しても治らなかったものだ。別にジッパーの歯?が壊れているわけでもなさそうだ。そこでふと思いついてペンチで可動部をあちこち締めてみた。そうすると不思議なことにあっという間に治ってしまったではないか。おそらく可動部が緩んでジッパーが噛み合っていなかったのだろう。数ヶ月解決方法がなかったのだ。これはわれながらすごいと思って自慢したくなってupすることに。しかしそうはいっても最初でないと笑い者だ。ネットで調べてみると実は同じ方法はすでに投稿されていた。。うーんしまらない話になってしまった。
ついでにもうひとつしまらない話。昨日酒屋さんで店員さんが言っていたダジャレ。その店では小瓶のお酒二本をしばってセットで売っていた。客に『これこそニホン酒でしょ』。思わず客は買っていた。他人のネタを載せてどうする!


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-11-20 23:32:38 (1229 ヒット)

 11/18 和歌山県立医科大学の先生に大学院講義を頼まれた。和歌山に行くのは10年ぶりくらいだろう。関空からバスを使って和歌山駅に行くのが一番便利がいいようだ。講義は18時からとかなり遅い。これは大学院生の特に修士過程の学生に社会人学生が多く、夕方まで働いているからだそうだ。働きながら学ぶといのは大変だろうが偉い者だ。また臨床からも多く来るそうなので七田君や伊藤さんの脳梗塞の仕事を紹介した。大学院講義ということなので自然免疫の基本的なことから話していたら60分を超えてしまい最後の方はかなりバテてはしょってしまった。高尾山登山の後遺症が抜けない。講義の後に食事に連れて行っていただいたのだが、飲むのがほとんど私だけ。「紀土」という地酒の四合瓶をほぼ一人で開けてしまった。呆れられたに違いない。翌日和歌山城を見学。さすがは徳川御三家の一つ。かなり広い敷地を歩き回ってまた疲労困憊した。
 

 

 

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2016-11-15 11:59:30 (1567 ヒット)

 昨晩(11/14)のNHKの「プロフェッショナル、仕事の流儀」。天才発明家道脇裕の話「ゆるまないネジ」を発明。右回りと左回り両方同時に可能なねじ山を持つボルトを作ったのだそうだ。画面を何度見ても全く理解出来ない。どうやって実現できるのだろう。
『不可能は証明されたか?』『答えは常識の外にある』かっこいい。すごすぎる。いつも「答えを常識内にしか求められない」自分が情けなく恥ずかしくなった。今更やれと言われてもできるはずもないが。

いや違うだろう。天才を羨んでどうする。凡才でも「何か」できることがある。普通人でも一生懸命コツコツ努力すれば何か人の役に立つことができる。それを証明することが凡才の際たる自分の使命ではなかったか?論理を超えた天才人たちを相手もしても敵うわけがない。何のひらめきもない私のような研究者は『A-->B-->CならばA-->C』のような論理学の基本とひたすら幸運を信じて実験を繰り返す。そんな愚鈍な私でも続けていればきっと何か産み出せるはずだ。それができなくても新しい芽が生まれるのを支える「一粒の麦」でもいい。それでもなおこの仕事に殉じるのが私の仕事の流儀か。

 


  
« 1 (2) 3 4 5 ... 11 »