一瞬自分のことかと思った。昔は土曜日に大学院生を集めて論文紹介をやっていたが、今では完全に自主性にまかせている。それでもうちの大学院生らは言われなくてもちゃんと出て来てやっている。やっぱり研究は『何よりも面白い』と思えることが大事なんだろう。
それにしてもそもそもうちのラボには大学院生が入って来ない。来年も来そうもないのでそろそろ店じまいかと真剣に思っている。
会期途中でラボから来ている5名と山田先生、関谷君の秋山研の後輩らでレストランに行った。せっかくオーストラリアにきたのでオージー・ビーフのステーキを食べたい!ということで会場近くのステーキハウスに行った。もちろんカンガルーの肉も注文。カンガルーの肉は『ルーミート』と言ってスーパーでも売っているとネットには出ていたのだが残念ながら何軒か行ったがお目にかかることはできなかった。宿の人に聞いても『カンガルー?』と嫌な顔をされたので現地のひとはそれほど食べないのかもしれない。この店のカンガルー肉はクンセイにしてあって臭みがなく美味しかった。トマホークステーキ1.2kg85$とあったので何かと思って注文したら骨付きリブロースステーキだった。骨が重さの半分を占めていたかもしれない。それと普通のステーキ。ワインも美味しかった。
少しは勉強の話もしないといけない。がん免疫のセッションを主に聞いていたのだが途中でびっくりする発表があった。『CIS is a potent checkpoint in NK cell-mediated tumor immunity』地元のWEHIからの発表だ。CISがCD8T細胞のTCRシグナルを抑制するのでCIS欠損マウスは抗腫瘍能が高くなる、という報告は米国NIHから昨年JEMに出されていた。同じくCIS欠損マウスは腫瘍抵抗性なのだが、CD8とは全く異なる話で何故かCISの発現はNK細胞で異常に高く、JAK1に結合してこれを分解するのでNK細胞の抗腫瘍能が増強されるのだと言う。Nature Immunology6月号にすでに掲載されていた。途中でCISはYoshimuraによって発見されSTAT5の抑制因子とされてきた、と発言があったので自分の不勉強をさらすようで恥ずかしかったが、セッション終了後に発表者のHuntingtonに挨拶に行っていくつか質問して来た。初対面で『お前がCISのYoshimuraか!』と喜んでくれた。
8/20-26 オーストラリアのメルボルンで開催された国際免疫学会に行って来た。学生らも4名一緒に参加した。成田からシドニーを経由して飛行機に乗っている時間は計10時間くらいだろうか。何より時差がないのでだいぶ楽だ。当然ながらかの地は冬。事前の予報では15度くらいということでコートは持って行かなかったが、雨も降って結構寒かった。会場は巨大で最新式の機材が揃っていた。しかし驚いたのはポスターだった。写真のようにQRコードがただ並んでいるだけ。現代芸術の展示かと見まがう。このQRコードをスマホやタブレットで読みこむとデータなどの図が呼び出せるのだが、あらかじめ検索しておかないとどれが自分が見たいものかを把握することは困難だ。解説者がいないブースはほぼ素通りだ。これはいかん。後半に入って小さくてもプリントアウトした紙を張り出したブースが多かった。うちの大学院生らもそうしていた。口演のほうも最新の機器が導入されていた。私はミニシンポの座長をしたのだがこの機器の使用方法がわからない。部屋が真っ暗になったり明るすぎたり。ハイテクも使いこなせなければかえって迷惑なものだ。
8/19 久々の防災訓練である。今回は火災警報、避難訓練、そして消化器を使った模擬演習だった。避難訓練では”火事だ!”と叫んで皆に知らせる役がある。大学院生の酒井君は声が大きくそれなりに臨場感があったがスタッフの声は小さくて『聞こえまえせん!』。役者さんてすごいなと思う。照れとかあったらできない仕事だろう。
消火ホースを使った放水訓練では実際にホースをもって発射するところを体験できた。つい童心に帰って遠くまで飛ばしてやろうと上に向けたらと怒られた。『道を超えて通行人にかかったらどうすんだ!』
Yahooニュースのトップで<がん光治療>転移に効果、免疫機能を活性化、という記事が目を引いた。米国NIHの日本人グループの仕事だ。体外から光をあてると多くの癌が一日で消えたと言う。早速原著をみてみると抗CD25抗体に光感受性の色素IRDye700DXを結合してから投与し、近赤外線で色素を活性化してCD25陽性の制御性T細胞(Treg)を除去するものらしい。Treg除去が移植腫瘍モデルを改善することはよく知られているが、光をあてた部分(つまり腫瘍局所)だけに集まっているTregだけを除くことができ、かつそれによって活性化された腫瘍攻撃性のCD8やNK細胞が全身をまわって転移した癌もやっつけてくれる、ということがミソのようだ。Photobomb(光爆弾)と絶妙な解説タイトルがつけられていた。
光を使うだけに、”がん撲滅に光明がみえたか!”。
(じつはこれが言いたかったのです)
しかし実はまだマウスの実験なのでヒトにすぐにあてはめられるかどうかはさらに検討が必要だろう。CD25は活性化したT細胞にも発現しているのでうまく量を加減しないと味方もなくしてしまうかもしれない。
Tregを利用した治療という点では中国(とオーストラリア)からのTregを増やすことでヒトSLEを治療した、という報告はすごい。マウスではなく実際の患者の治療に使っている。これはごく少量のIL-2が受容体であるCD25を発現しているTregを選択的に増やすことができることを利用している。最近の中国の研究レベルの向上は著しい。特に患者を使ったヒト研究は日本は太刀打ち出来ないんじゃないかと思えてくる。
教育統轄センターから書類が届いた。何かと思ったら学生の講義の評価。コメントも結構あったがどれもここまで言うか?という酷評。途中で読むのを止めた。しばらく立ち直れそうにない。うつ病になるかもしれない。いつものことだがアンケートをとると学生は「自分の不勉強は棚に上げて」ここぞとばかり不満を書くので、声を聞くのはあまり意味がないような気もするのだが。もちろん反省する点は確かにある。声が小さいとか階段教室での試験はやめたほうがいいというのもあったので来年改善したい。出席をとることにはおおむね否定的だった。無理に出てこなくてもいいように数枚のレポートにしているのだがそれも不評らしい。他所の医科大学では生きていけないで。スライド一枚に情報量が多すぎるというもあったのでこれは直したい。でも先生が学生の評価でぶれてはいけない。自分のやり方がbestとは思わないがbetterと信じてやるしかない。でもやっぱり酷評は堪えるな。
いよいよ医学領域にもAIが活用される時代がやって来た。東大医科研はIBMと協力して人工知能Watsonに医学文献2千万件を学習させて白血病の診断に役立てたと言う。診断に10分とかからなかったと言う。さらに患者カルテなどの情報も取り込むようになればAIがもっと広く診断する時代がやってくるだろう。これを恩恵と感じるか脅威と感じるかはそれぞれだろうが、時代の流れはそう簡単に戻せない。大学の先生も研究者も心しておかないと失業しそうだ。しかし、Siriはどうしたんだ?Watsonなんかに負けないで欲しい。
5,6月の連続海外出張からずっと午前中眠たくて身体がだるく朦朧としていることが多い。『まだ時差ぼけが続いてるのかな?』大学院生『それはただの「ぼけ」じゃないですか?』。うぐぅ。。。確かに昨日南北線で四ッ谷から東大本郷に向かうのに反対の医科研方向に乗ってしまって会議に遅刻。「もうろう」ではなく「もうろく」か。
7/28 多くの大学でそうなように当大学でも担任制度があり私は5名の3年生を担当している。年1回は集まってお昼なんかを食べつつ雑談、いやもとい学習指導をする。3年生なので前期試験が終わったばかりだ。免疫学の感想を聞くと『特には、、、』そんなに印象なかったか。ひとり『声が聞き取りにくい』すんません、私の声はこもりがちで滑舌も悪いので。聞くと5名ともに再試が全くないという。2年生からも持ち越しもゼロ。免疫学の試験の成績も優秀。それぞれ部活をやったり研究室に出入りしたりして充実した学生生活を送っているようだ。皆素直でいい子だ。『もし何かあったら相談に来い』とは言ったがおそらくこういう人たちは何の心配も要らないだろう。再試再試で進級してきた誰かと比べてめちゃめちゃ羨ましくなった。
ウイルスによる発がんの講義を担当している。当然子宮頸がんワクチンのことは講義に入れざるを得ない。世界的にはWHOが推奨しているし、講義的にはコンポーネントワクチンの代表例として欠かせない。講師としては『確かに子宮頸がんワクチンには他のワクチンと同様に副作用の可能性はあるだろう』しかし『疫学的にはそれを上回る子宮頸がん予防効果があるとされている』という実際の結果を示すしかない。もちろん注射のせいで『学校にいけない』『寝たきり』といった副作用に悩む女性の存在は間違いなくあるだろう。今回63人の女性が提訴したそうだ。一方で子宮頸がんによる死亡は年3000人程度(国内)であるという。全世界的にはWHOは日本の『定期接種の中断』にきわめて批判的である。講義では断定的なことは避けつつ、『現状の実数に基いて科学的な判断を各自で行って欲しい』ということになる。この問題に深入りすると炎上するらしいが、副作用の問題とワクチンの効果の問題は分けて考えて『無理が通れば道理が引っ込む』ということのないように願いたい。なおHPVワクチンは生ワクチンではないので試験の時に間違った学生は注意して欲しい。
NHKの『総合診療医ドクターG 』をよく見ている。いや録画している。ポリクリ中の実子に見せようと思って録画しているのだが、見ろと言っても必ず拒否される。まあそれが正常なreactionで気持ちはわかるが親はそれでもきっといつか役に立つと信じて録画を続けている。最近、数年前に学生だった子が研修医役で当番組に出ていたのには驚いた。
それはともかく、今日のドクターGは微生物学免疫学の講義で学生に録画を見せたいものだった。今回の患者は検査中に突然ショック症状に襲われた女性。ドクター-Gは患者の腹部の傷から脾臓摘出を疑い(脾摘は国内で年間1500件あるという)、それによる感染症を疑った。脾摘によって増えやすい菌は大きく3つある。あえて答えは言わない。XXX染色で区別できる。ドクターGが、出演していた研修医に『やったことがあるか』と聞くと『ありません』。おいおい君は実習をサボっていたことを告白したのだぞ。どの大学もXXX染色は必ずやるぞ(と思うのだが)。結局肺炎球菌と確定し、適切な抗生物質を投与することでことなきを得た。もし担当医が脾摘に気がつかなかったら、もし脾摘で増える可能性のある菌を知らなかったら(免疫学のなかでは免疫不全のところでとりあげた)、もしXXX染色を知らなかったら、もしその菌に適切な抗生物質を知らなかったら、どうなっていたかわからない。まさに微生物学免疫学の知識面目躍如というところだろう。来年ぜひ学生に見せたい(ちゃんとNHKに許可もらって)。いや少数ながら再試があったな。免疫学の再試の学生は再放送を見ておくように、と思ったら再放送は9/3。再試の後だった。
世の中ポケモンGoの話題でもちきりである。ゲームには関心ない自分としてはネットのスピードが気になる。皆が昼夜問わずネットに接続したら親もたまらないだろうが、格安ユーザーもたまらない。遅いのがさらに遅くなるにちがいない。
今日7/23は新宿で自己免疫疾患研究会。特別講演もだが、一般演題もどれも素晴らしくレベルが高く、これを21演題も聞いていたらかなり疲れた。そのなかで気になったのが関節リウマチ患者さんの腸内細菌では特徴的な『Prevotella』属菌殖えているという報告。この菌をSKGマウスという関節リウマチ様の症状を呈するマウス(無菌化しておく)に移植すると早期に関節炎が発症するという。指導の先生に『すばらしい仕事ですね、メカニズムの解明が楽しみですね』。というと『いや本人はもうやりたくない言っています。』『なんでですか?』『患者さんに便を下さいとお願いするのは(患者さんにも本人にも)気持的にかなり難しいようです』
昨日からソフトバンクが英ARM社を3兆円で買収するというニュースが盛んに流れている。3兆円といえば小さな国の国家予算に匹敵するらしい。なんでもIoT(Internet of Things)という新しい世界を切り開くためだという。IoTというのはあらゆる機械がインターネットで結ばれて人間が考えなくても万事うまくやってくれる世界だそうだ。痛ましい追突事故の話を聞く度に車の自動運転、せめて自動ブレーキくらいはすぐに実用化して欲しいものだと思う。2018年にはAIの能力が人間を超えるだろうと20数年前に予想されていたそうだが、ほぼ現実になっている。30年後にはAIのIQが10000になるという。IoTになるとロボットとも連動するので研究者も技術者も必要なくなるに違いない。Inferno of Technologists にならなければいいが。しかしインターネットで結ぶなら昼間の回線のスピード低下はなんとかしないと大事故になりそうだが。格安では結ばんか。
7/18 三連休は毎日仕事だった。溜まりに溜まった仕事を片付けた。尾籠な例えで申し訳ないが便秘が解消した時の気分に似ている。すっきりついでに夕方外苑をひとまわり走ってビールを飲んだ。
12-14日と函館での免疫サマースクールに参加した。北海道新幹線が開通したので函館が選ばれたのだろうか。会場は大沼のセミナーハウスで森の中の心地よい場所だった。が、居並ぶ講師は皆功なり名を遂げたかたばかりである。おそらくそれだけでは面白くないので『功も名もない』者の話も聞かせたいというので私が呼ばれたのだろう。成功したひとの話は感動を呼ぶかもしれないが破れた者の話は共感を呼ぶ、と信じたい。でももうこれでサマースクールは卒業かもしれない。実は前の晩『フリーディスカッション』の時間に河本先生の部屋で飲んでいたら前後不覚に陥ったのだった。私の発表は13日の朝一番8時からだった。7時30分にセミナーハウス行きのバスが出るという。気がついたら7時で、自分の部屋だったが学生さんが電話で起こしてくれたのだった。バスでは松島先生が隣だった。気分が悪いんです、というと『下を向くな、常に上を向け』と人生訓のようなアドバイスをいただいた。青白い顔で講演はなんとかこなしたのだったが、もう飲んだくれは今後お断りだろう。
12/10 2日間の札幌出張を終え土曜日は三上君の凱旋講演会とClinical Immunology Seminarが開かれた。特別講演は某T大藤尾先生のリウマチやSLE患者さん由来末梢血のRNA-seq解析の話。ただの末梢血ではない。20種類以上の細胞に分画してからRNA-seqにかけるので、もし50検体を調べようと思うと1000サンプルはRNA-seqをやることになる。聞いていてため息しかでない。もっと大変だろうと思ったのは得られたデータの解析だ。バイオイフォマティックスを縦横に使えないとデータから意味ある結論を導き出すのは容易ではないはずだ。どうしているのかと聞くと大学院生自からがやっているという。自分でもプログラムを書くこともあるという。さすがはT大医学部。ITに強い連中も多いのだろうから当然なのかもしれない。北海道で存分に食べ、昼間も三上君と食ったので懇親会は遠慮しようと思っていたが料理の誘惑に負けてたらふく食ってしまった。
翌日、日曜日、アイルランド、ダブリンの大学から共同研究者がやってきて接待。それが日本に来るから寄りたいと言ってきたのが1週間くらい前。もう平日のスケジュールは埋まっているのでいきおい日曜日しか空き時間がない。最初はdiscussionしたあと二人なので居酒屋に行こうと話していたのだが、前日、グループ(いろいろな大学をまわって協定を結ぶ仕事らしい)全員7名くらい来てよいか?とメールを受け取る。大学のお偉いさんもいるはずだ。堅苦しくて嫌だなと思ったがすぐに店に連絡して席を確保した。居酒屋でいいんだろうかと気をもんだが共同研究者の彼は問題ないという。ところがホテルに行ってみるとやっぱり3名しか参加しないという。うぐぐ、、これまたすぐに連絡を入れてOKをもらったが店にしてみたら猫の目の変更でいい迷惑だったろう。全くこの国には『計画性』という言葉がないらしい。幸いあとの2人は気さくなひとだった。料理はどれが気に入るかわからなかったので、ともかくいろんな種類を頼んだ。鳥料理中心の田舎風料理だ。はじめはおしい!と言って食べてくれていたが味が濃いせいかだんだん箸が止まって、最後は私が処理することになった。まあ『協定締結』のような堅い仕事のために日本に来て、居酒屋で食べる(飲む)経験はなかなかないだろうから珍体験と思ってくれたようでよしとしよう。それにしてもこの3日で3キロは太った。
7/1 講義実習の打ち上げ。新宿三丁目のトルコ料理の店に繰り出す。久しぶりに相当飲んだ。だいぶ陽気にはしゃいでご機嫌だったそうだ。何かを自慢げに見せている。帰りに何故か『私は自由だ!』と叫んでいたらしいが、、、何事もなく家に帰れたのだろうか?
翌土曜日は皮膚科関係の講演会。悪い酒でなかったのか寝起きはすっきりしていた。講演はいつもの常在菌とヘルパーT細胞分化の話で恐縮だったが『以前SOCSの話を聞いたこととがある』という先生から、今日の話はよく分かりました。と褒められた。つまり前回は全く理解出来なかったということか?やっぱり細胞内のシグナルの話は難しいらしい。
座長の先生に『先生の皮膚は皮膚科医からみても歳の割に若い。何か秘訣でも?』と言われてまんざら悪い気はしない。『当大学の皮膚科の教授に伝授されたノー石けん、ノーシャンプーを実践しています』と答えたら『うーん、それは臭うかもしれませんよ』。今のところ苦情はないと信じているのだが。。。
夜8時半頃だったろうか、ラボから四谷三丁目の駅のほうへ歩いていると若い外国人から声をかけられた。大学生で今日フランスから着いたのだがホテルを探していると言う。初めて聞くホテル名だったが住所はこの近くのようだ。スマホは持っているがネットにも電話にもつながっていないという。そこで自分のスマホを取りだしてgoogle-MAPを開いたのだが遅くて使い物にならない。住所を入れても移動しない。結局ホテルに電話して道を教えてもらった。しかしホテルとは名ばかりで普通の家を仕切って宿にしたような感じだ。しかも彼の泊まる部屋はどうもベッドが複数あって3人以上寝ているようだ。これが今はやりの民泊か。カプセルホテルのほうがましではないか。ドアには暗証番号の鍵があるものの非常にわかりずらい。メールで知らせたというが彼には伝わっていなかった。オーナーは電話には出るが管理者は全くいない。もし自分がパリで電話もスマホもなしで同じ状況におかれたら絶対にたどり着けないだろう。ドアのことは一応説明したが一度外に出たら二度と入れないかもしれない。朝まで出ないほうがいいと忠告してそのシェアハウス?を後にした。
それにしてもやっぱり格安スマホだ。いままでMAPが読み込めないなんて考えられなかった。翌朝使ってみたが普通に使えた。時間帯と場所によってはLTEの激遅現象は起こりうるらしい。やっぱり格安は格安たる理由があるのだ。
しかし解決策を見つけた。LTEを切って3Gで使うとよいのだ。もちろん遅いがLTEで使いものにならない時でもMAPで住所検索など可能だった。面倒くさいことこのうえないが動かないよりマシ。
講義などで紹介するのを忘れていた。消化器内科から留学した筋野君と三上君の論文がすでupされていた。
Tissue adaptation of regulatory and intraepithelial CD4+ T cells controls gut inflammation.
(Science. 2016 Jun 2. pii: aaf3892. )
Developmental Acquisition of Regulomes Underlies Innate Lymphoid Cell Functionality.
(Cell. 2016 May 19;165(5):1120-33. doi: 10.1016/j.cell.2016.04.029. )
三上君は7月上旬に一時帰国するそうなので、その報告会を7/9(土曜日)11時から東校舎1Fセミナー室で行なう予定。
現在までの出席日数と中間試験の成績表をまとめてもらった。16回の講義中6回以下しか出ていない者が10名いるが30点(60点満点)以下の成績不振者は2名(20%)、50点以上の優良者も2名(20%)。平均41点。一方で16回全回出席者55名中30点以下は3名(5%)、50点以上は7名(13%)で平均は44点であった。微妙な結果だが、出席しなかったからといって成績が悪いとはいえないが、やはり出席したほうがある程度の成績は維持できると言えるのではないか。少しほっとする。出席してなくても成績がよい者がいることは『レポートを課しているから』と自画自賛に解釈したい。それにしても10点台の二人が14回出席なのはちょっと心配だ。
どうもオースチンといえば『こうもり』らしい。ホテルすぐそばのコングレスアベニュー橋のコンクリートのすき間に150万匹のコウモリが住んでいるらしい。いくらなんでも150万はもり過ぎだろうと思うが運が良ければ日没時に空を覆い尽くすくらいの大群が見れるらしい。コウモリウォッチツアーや舩からコウモリを観察するクルーズもある。というわけで夜の8時半頃(まだ薄暗い程度)橋のたもとまで出かけた。時差解消のためにすでに寝ていたのだが、目覚ましをかけて起きた。これを見ずにオースチンに来たと言えない。すでにすごい混雑だ。残念ながら一斉に飛び立つところは見れなかったが、多数の小さな物体がものすごいスピードで飛びかっているところだけは観察できた。あまりに速いので写真にも全然写っていない。うーん、証拠がなくて残念。コウモリは優雅に飛ぶわけではないことを初めて知った。
今日は口演のセッションでは半分夢の中だったが。ポスターセッションではちゃんとdiscussionできた。
6/19 テキサス州の州都オースチンに来ている。テキサス州はケネディ大統領暗殺事件で有名なダラスがてっきり州都だと思っていたが、オースチンなのだ。つい先日NHKのニュースでオースチンはベンチャー企業がたくさんあって好景気に湧いているという報道があった。テキサス州の真ん中に位置する。当然ものすごく暑い。昼間は37度を超えるそうだ。
NF1の国際的なコンファレンスに呼ばれたのだった。講義の合間を縫っての出張なので2日間しか居れない。片道11時間+1時間(ダラスーオースチン)のフライトなので疲れることは覚悟の上。なんと着いたその日の午後に発表だ。それでもSpredを宣伝するまたとない機会だ。無理を押して行くことにした。勇んで飛行機に乗り込んだものの、昼間発で全く眠れない。アルコールを飲んだら眠れるかと思ったら単に酔っぱらっただけだった。CAに『このまま寝ないほうがいいでしょうかね?』と尋ねたら『寝たほうがいいですよ。仕事中に寝ることになりますよ』と忠告された。がその通りになってしまった。自分の発表はなんとかこなしたが、どうにも眠たくてホテルのベッドで仮眠をとる。気がついたらポスターセッションも懇親会すら終わっていた。Youは何しに来たの?と言われそうだ。明日はちゃんと出ようと思う。
夜、今更会場まで行ってもしかたないと、ホテルの周りを散歩する。コロラド川の橋の欄干に人だかりができている。何か川でやっているのかと思って見に行ったが別に何もない。観光船が数隻いるくらい。土曜日の夜なので皆思い思いに涼んでいるのだろう(あとで調べたらコウモリの名所だそうだ。150万匹もいて運が良ければ黒いコウモリの大群が空を埋め尽くすらしい)。それにしても暑い。汗が吹き出る。早々にホテルに引き上げることにした。途中で大音響で何か演奏している。さすがに『ライブミュージックの聖地』と言われることはある。
今日は講義を少し早めに切り上げて30分間の中間試験。基本問題で5択なのですんなり出来るだろうと思ったら、60点満点で10点代が数名いる。彼らは呼び出しだな。レポートを課すことになるだろう。
試験問題を作成するといつも必ずミスをする。根がザルに出来ているからしかたない。今回も問題番号31が2つあって学生の指摘で気がつく。また採点をしていると必ず模範解答と違う問題がある。情けない話だが、そいういうのはまず自分の解答の間違いを心配しなければならない。Webに解答をupしたら早速優秀な学生がやってきて2カ所間違いを指摘された。ともに全く私の単純なミスだ。学生諸君はなぜ自分の答えと先生の答が違うのか、よく見て欲しい。存外先生が間違っていることがあるもんだ。開き直りか?といわれるとその通りです。
教科書の間違いというか『あやふやさ』も多い。ペニシリンによる過敏応答は何型か?免疫生物学ではIgEを想定してかI型のアナフィラキシーのところで出てくる。エッセンシャル免疫学では赤血球溶血のところで出て来てII型である。イラストレイテッドでは何故か臨床問題でIII型としている(誤訳かもしれない)。確かにハプテンとして免疫複合体による疾患もあるらしいのでIII型も間違いではない。どれもありなので、そもそもこれは問題として不適切といえる。そんなの出すほうが悪いと言われればその通りです。スンマセン。
ともかく試験は落とすためにあるのではなく理解を確かめ、勉強のきっかけをつくるためにある。役立ててくれるとうれしい。
私が最も気にしている『出席と試験の成績の関係』の解明にはもう少し時間がかかる。
6/15 大阪住吉区のコスモスクエアにある研修施設にてAmed関連の若手発表会にアドバイザーとして参加する。いつもの千里中央あたりでの会議と違って実に遠い。そのうえ大阪の地下は複雑で乗り換えがよくわからない。道案内の表示も懇切丁寧とは言いがたい。というわけで朝7時に家を出てコスモスクエアについたのは12時過ぎだった。翌日講義があるので私は日帰り。帰りの阪急ではプラットホームがわからない。駅員も見当たらない。旅行者か、『XXに行くにはどのホームに行けばいいのでしょうか?』と聞かれたが『私もそれを探しているんです』。毒ついてもしかたない。思い切ってここだろうとホームに上がったら乗るべき電車が出て行くところだった。
コスモスクエアは確か前橋下府知事が庁舎移転を検討したところ。瀟洒なビルが並んでいて緑の街路樹も美しいのに、人口密度は驚くほど低そうで人を見かけることがほとんどない。これが『バブルの夢の後』なのか。。。
どうもこのごろ面白いことがない。締め切りに追われるのは相変わらずだが、講義も停滞気味。いつもの『免疫学のパブロフの犬効果』に関する真説も、今年の学生は真面目なのかほとんど寝てないので講釈できない。少し残念な気がする。
6/9 雑誌Cellと言えば当業界では最高峰に位置する雑誌のひとつである。そのEditorial Officeから直々に『投稿してくれ』とメールが来た。おお、自分もここまで認知されたのかと喜んでよくみたら『Cell』ではなく『Cells』。やっぱりね。そんなこだろうとは思ったが、新手の詐欺商法のようなものだ。最近も『メールアドレス一文字違いで830万円詐欺被害」というニュースがあった。皆様ご用心。でももしかしたらこの雑誌に論文を載せて業績欄に記載したら審査員も『Cell』と見誤ってくれるかもしれない、、、と某知事のようなセコイ思いが一瞬脳裏をかすめた。
早朝2コマの講義。かなり気力を消耗して午後の実習はスタッフにまかせた。
今日の午前中のシンポジウムの最初の講演はYale大学の先生で大変面白かった。不明を恥じるべきだろうが実は昨年にNature Medcineと以前Cell Metablismに論文が出ている。NLRP3インフラマゾームによる炎症が加齢によるボケを促進するらしい。高齢のNLRP3欠損マウスは野生型マウスよりも記憶学習能力が高いという。ところでカロリー制限をすると寿命が延びることはよく知られている。この先生たちはカロリー制限で増えるBHB(3ヒドロキシ酢酸)がなんとNLRP3インフラマゾームの活性化を抑制することをつきとめた。BHBは尿酸結晶による痛風発作を抑える。BHBがどうやってインフラマゾームを抑えるのか不思議だがK+レベルを調節することで抑えるらしい。BHBは不安定だがケトン食で増やすことができるそうだ。私もつい2,3日前に痛風発作で苦しんだ。しかも頭のインフラマゾームの活性化は痴ほう症を促進するというではないか。確かに最近物忘れは激しいし、時々意識もなくなる(別の理由か?)。あわてて先生に『ヒトでもケトン食出来るのか?』と聞きに行った。何かごちゃごちゃ副作用もあるとか言っていたが、糖質を抑えた食事でもいいという。そうか今はやりの『糖質ダイエット』か。これで痛風とボケを抑えられるなら早速取り組もう。といいつつランチョンで出されたご飯を完食してしまう自分が情けない。
(なお論文では正確には『 slows age-related degenerative changes』と言っておりボケない、とかは言っていない)
本日と明日はお茶の水で国際マクロファージ研究会。松島先生が25年会長を務められて来た由緒ある会で今回で会長の任を退くというので私も参加。会場はソラシティというニコライ聖堂のすぐ前のビルで景色も中もすばらしい。当教室からは七田君と駒井さんお参加する。しかし私はすでに自転車が倒れており、締め切りを過ぎた原稿をいくつもかかえ、講義の準備も十分できていない。なので午後から参加することにしていた。といいつつ昨晩学生らとビアガーデンに行ってしまってそのあとも飲んで午前中はソファーで寝ていたのだった。我ながら意思の弱さにあきれる。今晩から本気を出すしかない。
研究会のシンポジウムでは最初のBogunovicという女性研究者が腸管マクロファージをCX3CR1の発現レベルで非常に明快に分類してくれてかなりすっきりした。我々のTGFβ産生DCと思っていたのはCX3CR1強陽性のIgA産生を誘導するマクロファージなのかもしれない。IgAのクラススイッチに関与するならTGFβが高いことも納得出来る。それでは田中先生のCD169+マクロファージはどれに相当するのだろうか。この分野はまだまだいろんなひとがいろんな分類をしていて混乱させられる。ぜひ早く統一して欲しいものだ。七田君の話は皆に好印象を持ってもらったようで質問も相次いだ。こんなに完成度の高い仕事なのになんで論文にするとなかなか通らないのか?やっぱり教授の筆力の差なんだろうか。
皆さんにこっそり教えます。私はいわゆる大手3社キャリアから格安スマホ某社に替えて6500/月-->1500/月を実現。これまで大手3社は要するにぼったくりに近い状態だったわけだ。しかし一般のかたが格安スマホに乗りかえるのはまだまだハードルが高いらしい。そもそもSIMという言葉も知らない。そこで代行業である。特に零細な『便利屋』的なひとは目をつけるべきところだ。一般的には格安に移行することで普通年間6万円は安く上げられる。ならばその2割を報酬としてもらってもありがたがられこそすれ恨まれることはあるまい。『SIMXX』も自分は一度成功したが、さすがに長期の運用は未知数なので一般のかたには安全第一をおすすめする。定年後に『便利屋』になろうと思っている私は『鍵開け』とか『冷蔵庫の修理』くらいではやっていけないので、この事業を始めようかとも思ったのだが(吉本じゃなかったのか?)、おそらく遅いだろう。そのころは大手も必ず対策を打っているはず。なので今が『格安スマホ移行代行業』、ビジネスチャンスである。私と同業の『理系便利屋』家業のひとはぜひトライしてもらいたい。まだこれを掲げている業者はいませんよ。
昨日6/2より免疫学の講義が始まる。今年は出席率が悪く6割位か。しかし出席している子はほとんど寝ずにおとなしく聞いている。内職もせずネットで遊ぶ訳でもない。しっかり聞いているのかどうかは不明だが、講義の終わりに『難しいか?』と聞くと『分子名がたくさんあってややこしい』という。『大枠を理解して細かい名前は試験前に覚えればいい』というと『はい。頑張ります!』。むちゃくちゃ素直だ。真面目だ。これは近年にないパターンで、毎年途中で心折れるのだが今年はそれはなさそうだ。もっとも伝家宝刀の『ここぞ』というジョークや面白ネタにも全く反応がない。これには心折れそうだ。失笑は間違いなく買った。下品すぎるという批判があることも自覚している。しかし講義は本来は双方向でありたいものだが。。単に『ネタが面白くない』?うーん。すみません。まだ座布団もらえる立場にないようで。
5/31 大阪の千里ライフサイエンスセミナーで講演を行う。村上先生、片桐先生が世話人で「神経と免疫炎症のクロストーク」というタイトルの会で非常に勉強になった。参加者も熱心に質問していた。空港に向かうモノレールで7,8年前にアメリカ出張でお世話になった田村先生と偶然乗り合わせた。田村先生はアステラス(前身の藤沢薬品)でタクロリムスの開発に携わり、アステラスのアメリカ研究所の所長だったかた。十分功成り名を遂げられた方だ。それが現在ヘリオス(株)の神戸研究所の所長をされているという。ヘリオスというと何処かで聞いたことがあるなと思ったら、あのiPSを使った網膜治療のサポートをしている会社だった。しかも今度間葉系幹細胞を用いた脳梗塞治療の治験を始めるという。休むことのない情熱に感服した。さらにヘリオスのHPを見て驚いた。社長兼CEOがあの鍵本君ではないか。九州大学大学院生でありながらアキュメンというベンチャーを起こした伝説?の人物。私も少しだけ手伝ったことがあった。なんか縁があるのか。。。
明後日から講義が始まる。自転車が倒れそうだ。
6/1 昨晩から予兆はあったのだが普通に歩けるし油断していた。今朝起きたら右足首が猛烈に痛い。なんと左足膝も痛む。歩けるか?と思ったがなんとか這うようにしていつもの倍の時間をかけてラボにたどり着いた。最近『もしかしたらもう治ったのかも』と根拠もなくザイロリックを飲むのをサボっていた。疲労もあるのかもしれない。しかし発作が始まると嵐が過ぎるのを待つしかない。ついに自転車が倒れたか?
村上先生のゲートウエイ仮説では痛みによって脊髄の血管内皮細胞にケモカインが誘導され病原性のT細胞が侵入して行くそうだ。下肢に痛みを持ち続けるとそのうち脳脊髄炎になるのかもしれない。残念ながら痛みを抑える方法までは講演されなかった。
5/26 鹿児島から戻るとお昼にフランスから共同研究者のChristopheがやってきた。フランス語の堪能な秘書さんと和食の定食屋に行く。彼は日本人以上に日本を愛して止まないフランス人でもう何度も日本に来ている。『地震があったらどうする?』と聞くと『日本で死ねたら本望』という。うーん、私もパリは好きだがパリで死にたいとは思わないな。鹿児島から早朝戻ったせいか疲労感が抜けずしっかりDiscussionできなかった。
翌日5/27阪大微研での『シグナルネットワーク研究会』に向かう。PCの電源を忘れていることに気がついて空港に行く前にラボに寄った。雨の中を歩いてかなり濡れた。しかもラボに寄ったために時間的にラッシュにひっかかった。泣きっ面にハチ。ただ大韓航空機事故に巻き込まれることなく定刻に出発できたことは幸いだったか。傘はじゃまくさいが捨てるのももったいない。大阪まで持って行った。しかし案の定、帰りの何処かで忘れて行った。何処に置いて来たのか全く記憶にない。阪大微研は10年前は年季の入ったビルだったがリノベーションされて見違えるように立派な外観でなかも美しい。そもそも大阪大学自体広々として緑に囲まれてどのビルも新しい。こんな環境で学べたら幸せだろう。いやいや見かけで学問ができるわけではない。ボロは着てても、、、といつもの強がりをつぶやく。
来週から講義が始まる。この土日はその準備に追われそうだ。論文も報告書も溜まっている。依頼された査読もある。スルーしたメールもだいぶ溜まっている。さらに火曜日は再び大阪出張である。まさに自転車操業。自転車操業というのはその場しのぎで次々に借金をしていくことを言うのかと思ったら、『自転車のように走り続けないと倒れてしまう状況』を言うのだそうだ。どちらにしても今の状況は自転車操業状態であることに変わりない。