投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-20 00:03:41 (792 ヒット)

 自慢したいわけではない。不思議な経験だったので書き残しておきたい。インキュベータをコントロールしている機械の緑色ランプが切れたのか消えている(写真は回復後)。出入りの業者さんが修理見積もりを持って来た。2000円のランプに出張修理費が3万円だという。たかがランプの交換に3万円?「技術的に難しいらしいので 、、」。ふざけるんじゃない。私はすぐにネジを外してフタを開けてみた。案の定、ハンダ付けはしてあるものの、簡単に交換できそう。フタを戻してランプのみ注文した。ところが翌日なぜかランプが点いて正常に動いている。接触でも悪かっただけなのか?でもそれなら昨日その場で回復したはず。治った理由は不明だがともかくほぼ触れずに修理できたわけだ。『わずかの時間で32000円分稼いだ』『来てます、来てます』(多くの方には古くてわからんだろうが)とすこぶる得意だった。
ちょうど今朝さる研究所の発表会に参加。DNAX関係者が多い研究所で所長が私の紹介の時に『DNAXにふらっと来てあっという間にOSMとCISをクローニングしていった伝説の人物』と紹介してくれた。30年も前の話だが、その時はやっぱり何か「来ていた」?もう実験にハンドパワーを使うことがない(国家的損失か?)ので修理屋として使うくらい。これまでもプロジェクター椅子かばんトイレMacの電源などの修理を紹介して来た。鍵なしで施錠されたドアを開けたこともある。やっぱり定年後は便利屋として我ハンドパワーを世の中の役に立つことに使いたい。

初夏の爽やかな気候の中本日はラボで科研費の報告書を書く。集中して事務仕事をやり終えると達成感がありよく働いた気分になる。しかし実際は研究は何も進んでいない。
鬼門である某〇〇委員会から先日頑張って書いた報告書の内容にケチをつけるメールが。。用語が全く理解できない。この人たちは日本語を書いているんだろうか?たぶん私の頭が神経変性しているのだろう。もうヒト細胞を使った研究はやめたい。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-16 20:14:00 (1204 ヒット)

JSTに「多細胞」というAMED「適応修復」に似た領域が立ち上がり、Prime、さきがけを目指す若手には間口が増えた。制度的には両方出すことに問題はない。

この背景には一細胞RNAseqなどの最先端解析技術の応用が日本では大きく立ち遅れているという危機感があるのではないか。それでも費用的にも設備的にも本格的に一細胞RNA解析、一細胞エピゲノム 解析を行えるところはかなり限られるはず。すでにアメリカや中国には大きく水をあけられているように思う。このままではジリ貧だろう。やはり国がそれ用の施設を設けて研究課題を公募して、よいものを支援すようにすべきではなかろうか。

生命科学は常に新しい技術を取り入れて発展して来た。私の頃の『最先端技術』はtwo-hybrid法などでさほどお金はかからなかったが最近は機械もランニングコストも高額でひとつの仕事を完成するのにかかる金も時間も大幅に伸びた。
なので、ついでに言うと、そろそろ「戦力の逐次投入」という愚策はやめるべきだ。今年科研費は若手に配るために『若手』や『基盤C』の採択率を大幅に引き上げたとみられる。それは諸手を挙げて大いに結構とはいいがたい。限りある資源を浅く広くばらまくだけでは成果の出そうな芽を伸ばすには足りず、育つ見込みのない種にも水をやることになりかねない。直接経費では若手でも年間150万円X2年程度。これでは一細胞解析が4、5サンプル分にしかならない。本当に有望な若手を厳選して年間3000万円X5年、投資すべきだ。昔、思いついたように内閣府が「最先端次世代支援プロジェクト」と銘打って若手と女性支援を行ったことがあった。おそらく3000万円X4年はあったろう。これは有望な若手PIをかなりの数伸ばしたのではないかと思う。しかし継続されなければ効果は薄い。テニュアトラック制度とか卓越研究員とか人材育成なんたらとかPrimeとか「さきがけ」とか細かく分けて小出しにせずに、ひとつにして給与、身分と十分な研究の場と研究費を保証する。このような制度があれば将来に向けて少なくとも5年間じっくり研究に専念でき若手を勇気付ける効果もあるだろう。今こそ思い切った投資をしないともうアメリカ中国に追いつけなくなるのではないか。関心ある方は関連する中野徹先生のご意見『日本の科学研究ー地盤沈下はとめられるのか』『博士に未来はあるか?〜若手研究者が育たない理由』もぜひ読まれると良い。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-14 09:20:15 (654 ヒット)

初めて台湾を訪れた。羽田から3時間ほど。時差もないので楽だ。知り合いの台湾出身のPIがオーガナイザーのひとりで、来ないかと誘われた。「人の集まりが悪いので動員をかけているのでは?」と同情した。彼はこちらが金沢で国際学会をやったとき、声をかけたら快く来てくれた。あの時の恩義は返さねば、と登録しようとするとすでにclose。1時間で300席分が埋まったのだそうな。変な心配は要らなかったのだ。しかしよく見るとspeaker は一流ばかりだ。主催者枠のなかに入れてもらって無理しても行くことにした。
今回は空港と会場をタクシーで往復しただけなので台北市内の事は全くわからない。台北の郊外の医科大学で行われたのだが、行って驚いたのは病院がでかいこと。慶應の新病院が5つくらい入るのでは。また隣接する研究所もできたてのピカピカだった(写真)。その中の講演会場は広く席と席の間は人がゆったり歩いて通れるくらいの間隔。台湾の国土は九州くらいと思うが人々の感覚は大陸のほうと変わらなく気宇壮大なのだろう。一方で主催者らの気配りは日本に近いかそれ以上だ。呼んでくれた友人は横に座って何くれとなく声をかけてくれる。「口に出さなくても察する、あるいは気にしてあげる」というのはアジア人に共通した気質なんだろうか。私は単なる聴衆の一人に過ぎないのだが、speakerらに混ぜてくれて毎晩豪華dinnerに招待してくれた。中華料理はとにかく量が多い。少し残すくらいが礼儀なのだそうが、生来の食い意地と「もったいない」という日本人の美徳から全部平らげてしまう。たった2日なのに1週間分くらい食べたような気がする。あるspeakerが「こんな手厚いhospitalityははじめて。次回も必ず呼んで欲しい。」と言っていたのもうなずける。日本では様々な規制で過剰な接待はできなくなっている。「おもてなし」の気持ちは台湾や中国のほうが勝っているような気がする。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-11 17:49:36 (1137 ヒット)

本年度のAMEDのCREST、PRIMEの公募が始まった「適応・修復」領域は2年目でCREST3~5件程度、PRIME8~12件程度の採択をめざしている。ぜひ多くのかたに応募していただきたい。全くもって個人的な見解であるが本年度は「修復、再生」の本質をつくような「細胞間相互作用」に注目したいと思っていた。例えば哺乳類では組織損傷の後には必ず「炎症」が起き、炎症なくしては修復もない。一方で過剰あるいは慢性的な炎症は修復を妨げることが多い。組織修復に炎症は避けて通れないのだが、常々炎症細胞のそのものの研究というよりは炎症細胞と組織細胞、組織幹細胞との相互作用に注目したいと思っていた(全く一例で個人の見解です)。もちろん炎症を伴わないような組織応答もあっていい。もう一点最近認識を改めたのが、組織の破壊に伴う線維化や瘢痕形成は不可逆ではなく可逆的で正常に戻せる可能性があるということ。そんな夢のある研究が出てくるといい。手法としては複雑な組織の4次元解析なので一細胞RNA解析などがバンバンできるといいが、これは相当の設備とお金がかかる。国として支援を考えるべきだろう。
と思っていたらなんと今年から始まるJSTのほうのCREST、さきがけのテーマそれぞれ「多細胞での時空間的相互作用の理解をめざした定量的解析基盤の創出」(松田先生)「多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス」(高橋先生)ではないか。京大チームか。『もろかぶり』とも言えなくはないが互いに切磋琢磨ができるといい。公募説明会(4/25)(登録が必要。こちらから)までに当領域のアピール点を考えておきたい。大きな声では言えないが「さきがけ」とPRIMEは全く別制度なので両方出すことも可能。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-11 16:03:05 (817 ヒット)

 脳梗塞の総説を書いていて、死んだ細胞から出るマクロファージ活性化分子、いわゆるDAMPsについて最近フォローしていないことに気が付いた。DAMPsについては完全精製したタンパク質ではTLRを活性化できないとか言われて混入物質を疑う先生もいる。七田君が新しいDAMPsとしてペルオキシレドキシンを報告してからすでに6年が過ぎている。論文はこちら。TLR2/4の欠損マウスの実験からTLR2/4を活性化することは間違いないものの、ペルオキシレドキシン(PRX)とTLRの直接の会合は示すことができていなかった。LPSとTLR4の結合ですら生化学的に示すことは難しいので致しかたないことではある。また当時は大腸菌の組み替えタンパク質を使っており菌体成分の混入を危惧する先生もおられた。その後PRXがマクロファージやミクログリアを活性化することは多くの続報が続いていたが分子機構の詳細は不明のままであった。最近発表された論文では「一分子原子間力顕微鏡」という文明の利器を使って実際にPRXがTLRに会合してサイトカイン産生を促すことを証明している。また中和抗体を使って刺激が解除されることも確かめており「大腸菌成分混入説」は否定されている。こちらの報告では脳梗塞だけではなく脳出血でもDAMPsとして働いているらしい。
ということで、七田君は間違っていなかった。我々が他のことに目を向けている間に別の人たちが発展させてくれていた。不精を恥じるものの、実はそうでないと一つの発見はなかなか浸透し発展していかない。いい研究ほどそうなんだろう。ただ、PRXがDAMPsとしてTLRを活性化することはだいぶ証明されてきたと言っていいが分子メカニズムはまだまだわからない。先輩格のHMGB1は3つあるシステインのうち2つがジスフィルド結合をしていてかつ残りの1個がフリーでないとTLRを活性化出来ないという何とも複雑なことになっているらしい。PRXもシステイン残基が酵素活性中心として他の基質に修飾されやすい。DAMPsとしての活性には何らかの修飾が必要なのではないか。最近はホスフォリパーゼ活性も見つかっておりこれもDAMPs活性に関係するのかもしれない。まだまだ目が離せない。岡山大学の西堀先生が秋にDAMPsの国際会議をされるので最近の動向を仕入れてきたい。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-07 11:42:45 (812 ヒット)

 春の陽気に誘われて(花粉症のために)鼻水を垂らしながら中野から新宿御苑付近まで歩く。途中、桜もまだ残っている公園や神社が結構ある。通りがかりの名も知らぬ神社では恒例の神頼みを行う。おみくじは「大吉」。すこし気分も良くなる。御苑の前までくると、先週の新宿御苑は長蛇の列でとても入る気がしなかったが今日あたりはだいぶ少なくなっている。しかしよく見るとぬあんと入園料が500円(従来は200円)になっているではないか!実は3/19から値上げされていたらしい。いろいろ理由はあるんだろうけど、庶民は行かんでよろしいということか。もっと都民は怒るべきだ。いや環境省の管轄らしいので「国民は」怒るべきか。桜をみるなら近くの公園や皇居で十分だろう。もうお昼に花見に出かけてラボ写真を撮れないのが残念だが。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-04-01 16:50:00 (1212 ヒット)

 新元号は『令和』に決まったそうだ。万葉集からの出典らしい。
初春の令月にして気淑く風和らぎ〜
から来ているそうで春を迎えて、しかも新しい1年が始まる今の季節にぴったりではないか。もっとも使用は来月から。
新人も増えて研究に弾みをつけたい。幸い科研費も更新時期の人たちは順当に獲得できた様だ。しかし定年まであと5年。一昨日に新井賢一先生を偲ぶ会があった。先生がなくなってもう1年が過ぎたのかと思うと月日の経つのは速いどころか一瞬の様だ。頑張って今いる連中を順当に送り出したい。もちろんそれには相応の成果が必要であることは言うまでもない。新元号を眺めつつ気持ちを新たにしたい。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-03-24 15:58:14 (1092 ヒット)

脳梗塞(正確には脳卒中や外傷性脳損傷か)の治療にエイズ治療薬の一種、マラビロクが有効かもしれないという論文が2月号のCellに出ていた。『Cell』といえば我々の業界では基礎生物学の最高峰の雑誌のひとつである。こんな疾患治療系も最近は載せるのだ。マウスだけではなくヒトでも有効性が示唆されたので価値が高いと判断されたのだろうか。。。Scienceにも紹介記事が出ていた
簡単にいうと、脳梗塞や脳損傷によって神経細胞にケモカイン受容体CCR5が発現誘導される。マウスの実験では神経細胞でCCR5を阻害すると脳傷害からの神経回復が早まる。CCR5は通常は白血球などが炎症部位に集まる時に使われる受容体であるが、エイズウイルスHIVが細胞内に侵入する時に使う副受容体でもあり、その阻害剤マラビロクはエイズ治療薬として使われている。マウスモデルではマラビロクが神経症状の回復を促進した。この薬をヒト脳卒中患者で使ったわけではないが、ヒトではCCR5に変異を持った人がある一定数いてHIVに耐性を持つことが知られている。だから中国の世界初のゲノム編集ベビーでも標的に使われた。この変異を持った脳卒中患者(N=68)は通常の患者(N=328)と比べて神経症状の回復が早かったのでおそらくヒトでもCCR5の阻害は治療として有効なのでは?という話だ。Phase2/3の臨床試験も始まっているらしい
ではなぜCCR5が神経損傷の回復を遅らせるのか?最新の高価そうな技術で詳細に調べられており(私は専門外でよくわからないのだが)イメージングなどによって、CCR5の阻害によってCREBやDLKシグナル経路が活性化し、運動野の神経の樹状突起スパインの消失が抑制されたり、新たな投射が形成されてりするのだそうだ。しかし最後にやっぱりCCR5が阻害されるとマクロファージの浸潤が少なく、アストロサイトの活性化は抑えられることも示されている。この論文にケチをつけるつもりは毛頭ないのだが、神経細胞の機能回復は炎症抑制の結果ではないのか?という疑問は残る。。。

本論文は何がすごいのか?実はマウスではCCR5欠損のほうが脳梗塞モデルに抵抗性を示すことやヒトでも虚血性脳血管傷害に関連する病気にかかりにくそうなことは過去に報告されている。なので本当は神経細胞に、これまで免疫細胞で機能すると考えられていたCCR5が脳損傷によって発現誘導されて(誘導の仕組みは不明)神経機能の障害を促進していることを強調したかったのだろうと思う。そこが一番新規性が高いのだろう。繰り返すがケチをつけたいわけではない。ただ免疫細胞のCCR5の阻害と完全に分けて実験できているわけではなさそうなのでやや不満が残る。なぜ神経特異的CCR5欠損マウスを使わないのか?mRNAのみでCCR5の細胞局在を示しているが、免疫学者としてはanti-CCR5抗体を使ってFACSや免疫染色でタンパクレベルでの存在を示してほしい(やっぱりケチをつけている?)。そもそもなんで神経は損傷時に回復を遅らせる分子を発現せなあかんの?その理由が説明されていない(確かにケチをつけている)。ともかくも初期の炎症を抑えることは治療価値がありそうな話だが、我々の論文は完全に無視されているのが最も癪にさわる。彼らはCCR5が炎症ではなく神経細胞そのものに作用するという立場なので当然か。


興味本位のついでに言うと、マウスではCCR5欠損は学習能力や記憶力が向上するらしい。ならばマラビロクは「頭が良くなる薬」かもしれない、ということで私など明日からでも飲みたいと思ってしまう。しかしCCR5に変異がある人は頭が良いと言う報告はなさそうなのでマウスほどは効果がないかもしれない。

なお伊藤さんに確認してもらったところ、脳梗塞慢性期で脳全体で確かにCCR5の発現は増え、Tregを除去すると発現はさらに上がる。よって神経症状の悪化とCCR5の上昇は関連はありそうだ。でもCCR5は当然TregにもエフェクターT細胞にも発現している。これを阻害したらどうなるかは研究してみないとわからない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-03-21 12:44:01 (864 ヒット)

 外は5月並みの気温で東京では本日(21日)桜の開花宣言が出された。陽気に誘われてラボに行く道すがら御苑の近くを散歩した。これが大いなる間違いだった。飛散する花粉の量が半端ないのだ。通常私は1月下旬に超急性期花粉症でぐったりなる。3月,4月はもう慣れて特に大きな症状はないのだが、今春は外回りも多いせいかここ数日熱っぽく目がかゆい。特に昨日今日は仕事にならないほどきつい。半分夢うつつの状態だ。これはもう絶対になんとかしないといけない。舌下減感作療法を受けようか。いやいやもっと根本的に解決するアイデアはないか?もちろんデュピルマブ(IL-4受容体抗体)のような高価な治療法があるが価格的に現実的ではない。やっぱり『経口減感作療法』が最も手っ取り早いのでは?イネに花粉のタンパク質を作らせて花粉入りのコメにする『スギ花粉米』はどうなったのか?AERAによるとスギ花粉米の開発は2003年で実に15年も前のことだという。実用化に待ったをかけたのは案の定厚生労働省で「医薬品」扱いにされてしまったのだそうだ。しかし開発元は地道に臨床研究を続けており一定の効果は期待できそうとのこと。遺伝子組み換え食品になるし道は険しそうだが1日も早く市販してもらいたい。
しかし抗原である花粉は毎年大量に体に入ってきている。何もコメとして摂取しなくてもよさそうなものだ。たぶん普段の抗原侵入経路ではTh2を活性化してTregを増やすことが少ないのだろう。ならばTregを増やすような薬か食品を同時に摂取すればよいのではないか。免疫学者としてはそういうものを開発したい。我が身でよければいつでも実験に使っていいのだが。
 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-03-10 16:04:16 (1370 ヒット)

keystoneから戻って都内含めて外回りが多く何をするにもまとまった時間がとれない。一昨日は金沢医科大学で昔の卒業生に呼んでもらって講演。そのあと加賀料理と日本酒を堪能させてもらった。金沢と言えばおでん。居酒屋をひとりで切り盛りしていたお姉さんに「なんで金沢ではおでんが有名なの?」と聞くと「石川県はおでんの消費量が日本一なんですけど、何故か?は知りません。」「ぼーっと生きてんじゃないよ」(と小さい声で)。ネットで調べてもよくわからない。ぜひチコちゃんに聞いてみたい。
接待してくれた卒業生や医学部の先生は金沢出身ではない。冬は寒くて大変だろうと思ったが金沢を愛してやまないようだ。ちなみに金沢は金箔も有名で、なんでもかんでも金箔が施されている。こちらは加賀百万石の伝統の他に湿度が高いことも関係あるのだそうだ。若い先生は洗濯物が全然乾かないと嘆いていたが。
金沢から戻って翌日は麹町の都市センターホテルで講演。また京大のK先生と一緒だ。K先生の話はいつ聞いても面白い。スライドでも「ここで少し脱線」と前置きして自分のマンガや教科書の話をしたり、所属するロックバンドの話をしたりする。今回はパワーアップしてN○Kの「がってん」で紹介された「リンパ節ひとり旅」のメーキングビデオまで披露された。いや脱線はいいのだが、ここまで強烈だと記憶にあるのは脱線の話ばかりで、本業の話をほとんど覚えていない。ご本人にそれとなく言うと「いや学生からも言われてます」と気にされていない様子。これはこれで持ち味なんだと納得。私は冒頭「脱線はしません」と宣言して少し笑いをとった程度。一つだけ大いに記憶に残ったのは○大CiRAからの報告でHLAのほとんどをノックアウトしてほぼすべての患者さんに移植可能なiPSを作ったという論文を紹介したこと。「キラーT細胞には認識されないだろうがNK細胞にやられるんじゃないですかね。「移植」というからにはもっと免疫学を勉強してほしいですね」またケンカを売るような言わんでもいいことを。。。でもK先生は憎めない。愛されキャラだと思う。

 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-02-28 03:01:00 (3959 ヒット)

  27日付Natureのon line版にアメリカのラホヤ研究所のAnjana Rao教授らとの共同研究の成果が掲載されるプレスリリースも行なった。この仕事ではアメリカ側の貢献が大きい。膨大な遺伝子解析を行なってNr4aにたどり着いたのはRao博士だ。数年前に偶然国際会議で一緒になりRao博士から共同研究の話が舞い込んだのだ。私のグループはDNAやマウスを送ってほとんどの実験はアメリカで行われた。それでも敢えてうちからもプレスリリースを行なったのは、私にとっては思い入れが深いから。アメリカまで行ってreviseにどう答えるか筆頭著者と膝を付き合わせて議論したし、何よりNr4a阻害剤の開発に何処か乗り気になってほしかった。

  今回の研究は腫瘍免疫に関するものでまさに『T細胞の疲弊化(exhaustion)』の分子機構の一旦を明らかにしたものだ。T細胞(特にキラーT細胞)の疲弊化は多くのラボがしのぎを削っている、今最もホットな分野の一つだ。「疲れた」などと言ってはいられない。T細胞の疲弊は免疫チェックポイント療法でもCAR-T療法でも免疫療法の効果を損なうことが知られている。オブシーボのような抗PD-1抗体はT細胞の疲弊を回復させ元気にすると一般にはわかりやすく説明されているが、現在では完全に疲弊化したT細胞はもはや免疫チェックポイント療法では回復させることはできないと考えられている。それはPD-1以外にもTim3やLag3といった複数のチェックポイント分子が強力に発現し、またインターフェロンγのような腫瘍攻撃分子の発現が低下するためだ。このような変化はエピジェネテックに制御され後戻りできないと考えられている。では何がこのような疲弊化の性質を規定するのか?疲弊化に関する元締め的な転写因子の探索が続けれれていた。その一つがNr4aであったということだ。
T細胞とNr4aについては当研究室で関谷君が制御性T細胞(Treg)の発生維持に必須の分子ということで長く研究を続けていた。Nr4aはT細胞受容体(TCR)の刺激で誘導され、Foxp3などTreg機能に重要な遺伝子の転写を促進すると同時に炎症性サイトカインの産生を抑える。Rao博士らはT細胞の疲弊はTCRで活性化される転写因子NF-ATが単独で長く活性化されることで起こるという仮説を提唱して来た。活性化型NF-ATを強制発現すると疲弊の形質が現れるが、ゲノムワイドにクロマチンの状態を調べるとすべての疲弊関連遺伝子の転写調節領域にNF-ATが結合しているわけではない。NF-ATで誘導される別の転写因子が必要と考えた。疲弊によって発現が上昇する遺伝子の転写調節領域を調べるとそこにはNr4a結合配列が見出された。それでNr4aが疲弊関連遺伝子の元締めではないかと考えたわけだ。そこからはNr4aを強制発現したりノックアウトしたりして表現型や遺伝子発現の変化を調べている。Nr4a欠損T細胞(遺伝子が3つもあるので3つ潰さないといけない)では疲弊関連遺伝子のクロマチン状態が疲弊していない細胞のそれに近いことがわかった。Nr4a欠損T細胞は腫瘍マウスに投与しても疲弊化しにくく、強力な抗腫瘍効果が得られた。
もうひとつ私がNr4aに固執するのは大学院生だった日比野さんがNr4a阻害剤を探索していて抗がん剤であるカンプトテンシンにNr4aの転写を抑制する活性があることを見出したから(Cancer Res 2018)。このときはTregを抑えるから抗腫瘍活効果が上がると考えたが、よくよくデータをみるとCD8T細胞(腫瘍を攻撃するキラーT細胞)も増えてかつインターフェロンγ産生も大きく上昇している。なのでNr4aはCD8T細胞にも直接何かしているのではないかとうすうす感じてはいた。しかし『疲弊』にまでは頭がまわらなかったのだ(すでに頭が疲弊しているので)。 ともかくNr4a阻害剤は抗腫瘍免疫を増強させうることはすでに証明されている。あとはもっと特異性の高い阻害剤をスクリーニングすることだ。
しかし他の研究者も手をこまねいているわけではない。先週のkeystoneシンポジウムではToxやEgr2が同様の働きをすることが報告された。Nr4aは疲弊を制御する因子の一つにすぎないかもしれない(それは言いたくないが)。あるいはToxやEgr2の下流にあるのかもしれない。今後疲弊を制御する転写因子間の関係性がもっと詳しく調べられるだろう。
今回はproofが来てからon lineまでわずかな期間でプレスリリースもあたふただった。なんでかと思ったら同じ日にChen DongのラボからNr4a1が免疫寛容や疲弊に重要という論文が隣に掲載されていたので出版社は同時に出したかったのだろう。Nr4a1はAP-1結合サイトにくっついてAP-1を抑制するらしい。寛容(tolerance)と疲弊(exhaustion)、分子機構はほぼ同じなのかもしれない。なおChen Dongとは、彼のラボに卒業生が2人も留学したことがあり旧知の仲なのだが、彼らもNr4aに注目しているなんて今日まで知らなかった。

でもやはり『がん』は注目度が違うのだろうか?同じNatureなのに1月の脳梗塞のプレスリリースではほとんど応答なし。でも今回はすでに複数の新聞社から問い合わせが来たこっちも。どちらも一般にも関心が高い話題だとは思うのだが。。。
 

なおNr4aを阻害するばかりが能ではない。活性化すれば寛容が誘導されて自己免疫疾患に有効なはずだ。実はNr4aの活性化剤はすでに知られている。そのひとつがクロロキンだ。クロロキンの誘導体ヒドロキシクロロキンはすでにSLEに対して認可されている。クロロキンに抗炎症作用があることはよく知られているが、そのメカニズムのひとつはNr4aの活性化にあるのかもしれない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-02-25 23:56:41 (1318 ヒット)

今朝朝JR総武線のお茶の水付近で停電事故があり大混乱となった。東京の中心部で動脈が遮断されたようなものか。バイパスのために丸の内線に乗客が殺到したらしい。今朝は10時前から霞ヶ関付近でさる奨学金の面接審査の予定だった。9時前に家を出て丸ノ内線の駅に行ったが一向に電車が来ない。前が詰まっていて動けないらしい。今日は国立大学の2次試験だったので受験生は焦ったことだろう。私は途中であきらめて大江戸線や日比谷線を乗り継いで目的地には10時20分に着いた。こういうのは「憤懣やるかたない」が何処にも怒りの持って行きようが無い。つい審査にも厳しい言葉が出てしまったかもしれない。
ただ質疑応答を聞いていると、もっと「自分で考えてほしい」なと思う。博士課程1年くらいの駆け出しなのでいたしかたない面はあるが。「この実験は何の目的で行うのか?」「この方法で知りたい事がわかるのか?」という根本的なことがしっかり答えられない。「別のこれこれの方法が簡単だし早いとも思うがそれではダメな のか?」という少し応用問題にはもっと答えられない。3原則の「experimental value」そのものに関わる事だ。目的と方法の整合性は常に考えておかないといけない。それには日頃から自分のやっている実験に関連する論文は自分で探して読み、考える訓練をしてほしい。先生はそれを見越して、目的と方法に関する事は全部は言わない(私のように単にアイデアが無いという場合もあるが)。何故この実験を指示しているのか?そこは当然自分で調べて理解してほしいと思っている。大学院生として研究のトレーニングを積む というのはそういうことだ。

6人の審査員が10数名の候補から5名を選ぶのだが、驚いた事にどの審査員もほぼ同じ5名を選んでいる。どの発表もそれぞれ重要な研究課題で目的も方法もしっかり述べられている。しかし差が出るのは質疑のように思える。学生さんには「圧迫面接」のように感じられたかもしれなしが、実は我々は「日頃自分でどれくらい考えているか」を見ようとしているのだ。ただ先生の質問にはよいアドバイスや指摘が含まれていることも多い。「それは考えていませんでした。ご指摘ありがとうございます」ということもあるので面接は決して無駄ではない。いや無駄にしない人は通っているのかもしれない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-02-21 17:18:06 (1437 ヒット)

アメリカコロラド州のブレッケンリッジ市というところで開催されているキーストンシンポジウムに来ている。この名を冠した会議はあちこちで開催されているが、ここが最も高度が高い開催地で3000メートルはあるのだそうだ。富士山の山頂近くで会議をやっているようなものだ。空気がやたら薄い。気圧のせいかすぐに頭が痛くなる。しかも外は夜はマイナス20度くらいまで下がる。なんで好き好んでこんなところでやっているのかというと昼間は休み時間をつくってあるのでスキーでも楽しんで地元にお金を落としてほしい、ということらしい。昨年はこの近くのkeystoneという場所でこの時期に参加している。あのときは変なウイルスにやられて(インフルエンザではない)食事も喉に通らずスキーどころではなかった
あれからもう1年もたったのだ。やっぱり時間がやたら早く過ぎているような気がする。昨年の会議ではT細胞のゲノム編集や様々ながん細胞療法の工夫に度肝を抜かれたものだった。今年はそれがあたり前のようになっている。これにも時間の早さを感じさせられる。「癌と自己免疫」の会議なのにノーベル賞効果なのか「自己免疫」のほうは少ししかなく肩身が狭い。制御性T細胞(Treg)の大御所の某教授(うちの論文に難癖つけた人か)がTregの話ではなくCD8T細胞の話をしたのがすべてを物語っているような気がする。がんで問題になるT細胞疲弊(exhaustion)の話題も多い。一細胞RNAseqの図が当たり前のように次々に出てきてこれまで認識されていなかった細胞集団も捉えられるようになっている。日本でやったら一体いくらかかるのだろう。講演者のひとりが「T細胞医薬は始まったばかりでこれからどんどん進化する」。我彼の差は激しい。「疲弊」しているのは自分の頭とサイフらしい。

 
本当に脳が疲弊しまくっているのだろう。最終日前夜、食堂にノートPCを忘れた。気がついたときはドアが閉まっていて相当焦った。ホテルの従業員を捕まえて開けてもらって事なきを得たが、ただでさえ空気が薄くて息ができない上に、命の次に大事な商売道具のPCを失くしたかもしれない、と焦りまくっている。汗ばかり出て言葉が出てこない。さらに翌日デンバーの空港で搭乗券を無くした。ゲートでさあ並ぼうかというときに気がついた。もう時間がない。半分あきらめかけたが、運良く?雪で30分ほど出発が遅れることになった。すぐさま来た道やトイレを探しまわった。ひたすら走りまわる。ただでさえ息が苦しいのにもう死ぬかと思った。心臓が口から飛び出しそうというのはこういうことだろうか。しかしこれもなんとか道に落ちていたゴミくずみたいに丸まった券を見つけて助かった。よくゴミとして捨てられなかったものだ。安心したのか一気に汗が吹き出た。が、安心したのもつかの間、雪がどんどん積もっている。もう1時間も出発が遅れている。飛ぶんだろうか。。。キーストンはもうこれが最後だな。

2時間半後、飛行機は雪を溶かすのに巨大なシャワーを浴びてなんとか飛び立った。こんなの初めてみた。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-02-16 09:55:44 (1336 ヒット)

インフルエンザが下火になったかと思ったら「はしか」が大流行の兆しだという。感染者が新幹線に乗っていたとかデパートの販売に従事していたというだけでニュースになる。「はしか」の原因ウイルスは「麻疹ウイルス」。講義をしていた頃は「5類感染症」でも医師は直ちに報告の義務がある、ということで試験によく出していた。怖いのは脳炎を起こすことがあり、特にごくごく稀だがウイルスが変異して持続感染を起こすようになり、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)というゆっくりと進行する脳症になること。「遅発性ウイルス感染症」の代表例だ。

NHKの9時のニュースで桑子アナが「はしか」に関するクイズを出していた。「はしかと恋は似ている」なぜ?中年おじさんの有馬アナの答えは「歳をとってかかるとそれだけ重くなる」。桑子アナの正解は「誰でも一度はかかるもの」(ジェロームというイギリスの作家の名言)。しかし有馬アナの答えは間違っていない。同じく19世紀のイギリスの劇作家のジェラルドというひとの名言らしい。「トキメキ」が必要なオヤジ世代としては有馬アナが即座に口にした答えに共感してしまう。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-02-07 20:36:15 (1718 ヒット)

サンバイオ というベンチャー企業のSB623は間葉系幹細胞を脳内に注入して脳の損傷部位を修復しようという細胞医薬品だ。一時脳損傷に効果があると報道されて株価は沸騰したもののアメリカでの脳梗塞の第二相試験の結果が思わしくなく暴落。しかしバイオベンチャーの未来を背負うと期待されていたし、うちの脳Treg療法にも近いのでなんとか挽回してほしいものだ。間葉系幹細胞から産生される修復因子が神経修復に良い効果があるのはさほど間違っていない気がするのだが。もともと脳梗塞は患者さんごとに梗塞領域の大きさもまちまちで薬の有効性を示しにくい疾患のような気がする。我々が動物実験で効果があると示したセロトニン再取り込み阻害剤も1500人規模だと効果あり、3000人規模だと効果なしと判定が分かれている(J Stroke Cerebrovasc Dis. 2018 May;27(5):1178-1189, Vs  Lancet. 2019 Jan 19;393(10168):265-274)。難しいが一歩ずつ先に進めるしかないのだろう。間葉系幹細胞は脳Tregのライバル(勝手に思っているだけ)なのだが、僭越ながら組織内でそんなに長生きしないのではないか?Tregならば少なくとも2ヶ月は脳内で生存できる(マウスだけど)。臨床へ行くにはまずは脳Tregを生み出す環境因子を見つけないといけないだろう。どっか出資してくれないだろうか。。まあこの忙しさでは研究のことを考えてられないか。。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-26 20:47:54 (1740 ヒット)

 インフルエンザが猛威を振るっている。1月第三週の推定患者数は207万人で2009年以降最多だそうだ。一方で今年は強力な新薬が登場している。ゾフルーザである。今週の「カンブリア」には満を持してシオノギ製薬社長が登場。「手代木」さんという方だ。「てしろぎ」と読むらしい。うちの研究員もインフルエンザにかかって処方されたら翌日にはすっかり熱も下がったそうだ。聞かれもしないのに「こんなにインフルエンザが流行って儲かってしょうがないんじゃないですか?と言われるが流行らないにこしたことはない」と先手を打っていた。ずいぶん気が回る人だ。
5年ほど前にまでは細菌学とウイルス学を教えていたのでインフルエンザの化学療法は当然とりあげていた。ゾフルーザは広くいうとRNAポリメラーゼ阻害剤ではあるが作用は「宿主mRNAのCAP構造をもつ部分を切断してウイルスRNAの合成に供給するRNA切断酵素」を阻害するもの。恥ずかしながら「富山化学」が開発したRNAポリメラーゼ阻害薬「アビカン」に似たものとばかり思っていた。アビカン(T-705)は10年くらい前にすでに知れ渡っていたので
おそらく開発はこちらが先だろう。不運だったのはアビカンは催奇性の危険があるということで条件付き承認になったこと。シオノギにとっては幸運だったのかもしれないが、手代木氏がすごいのは社長になって当時特許切れなどで会社が売れる薬が少なくなっていたのに「製薬会社は薬を開発するのが使命」という原点に立ち返って果敢に新薬の開発に打って出たこと。新薬の開発には10年以上の歳月と1500−1700億円の費用がかかるのだそうだ。買収ばかりしている何処かの企業とは覚悟が違う。その信念があってこそゾフルーザをはじめとする複数の新薬を上市できたのだ。「自分の考えにもとずかないといけない。振りまわされると難しい」と言われる。やっぱり何かを達成した人は言うことが違うと感心する。

RNAウイルスは変異しやすい。ゾフルーザも耐性株が出てくると考えられる。ロッシュと提携するそうなので作用点の違うタミフルと併用で耐性株が出現する前に抑え込むことも考えているのかもしれない。下手の考え休むに似たり。すでに記事になっていた

私はなぜインフルエンザウイルスの原液を飲んだのか?自分の体を使ってワクチン開発をやっていたとかカッコいい話ではない。私が大学院生のころはピペットエイドみたいな便利な機器はなく、ピペットはゴム球のようなもので吸い上げていた。つけたりはずしたり面倒臭いことこの上ないし正確に止めることが難しい。私は当時から実験に関しては自ら恃むところすこぶる厚く『私失敗しないので』とうそぶいて(ホンマか?)口で吸っていたのだ。案の定何かのはずみで吸いすぎて卵50個分くらいの
濃厚な生ウイルス液を全部口に入れてしまった(インフルエンザウイルスは鶏卵で増やす)。もちろん使っていたのはA型ワクチン株だし気道に入った訳ではないから特に症状は出なかった。意外と最も効果的なワクチン接種方法だったのかもしれない。以来B型に感染することはあってもA型インフルエンザには罹患したことがない。35年以上前の話である。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-19 19:04:31 (1711 ヒット)

インフルエンザが猛威を振るっている。電車通勤なので咳をしている人が近くにいると席を移動したくなる。当ラボでも2名ほど戦線離脱し1人suspectがいる。私もこの数日身体が怠い。いよいよインフルエンザかと身構えたが、いやいや自分にはA型には終身免疫が成立しているはず(学生時代にA型インフルエンザウイルスの原液を飲んで以来A型に感染したことがない)。よくよく考えたら「花粉症」に違いない。気象予想でもまだ花粉は出始め。ほとんどゼロ。しかし生ける超高感度花粉検出マシーンは違うのだ。私は1月の出始めが症状のピークで、最も花粉の放出が盛んな2,3月はむしろ身体が慣れて治まってくる。といっても激烈な症状は出ないものの倦怠感は避けられない。早めに家に帰って寝ることにする。
土曜日の朝は「チコちゃん」の再放送を楽しみにしている。今日は以前好評だった放送の再放送で手抜き回。「セコく生きてんじゃねーよ」といいたいが一つだけ感銘を受けた。「大人になるとなぜ時間が早く過ぎるように感じるか?」子供の1年は長く大人(特に私のような老人)には短い。その差は「トキメキ」の差なのだそうだ。脳の記憶可能な空き容量の差ではないという。ともかく老い(=時間の高速化)を止めるには「トキメキ」が必要なのだ。学者は好奇心の赴くままに「知的トキメキ」を常に追い求めているので1年が長そうに思われるかもしれないが私は違う。仕事の大半はトキメキとは無縁の雑用。教室員がめちゃめちゃエキサンティングな結果を持ってきてくれたら「トキメク」に違いないが、昨日も今日もネガティブデータばかりで1年が1週間にタイムスリップする。なお同時のチコの質問に「タイムマシン」の話題が出されていたのは偶然ではないのでは?時間をゆっくり流すには「なるべく速い乗りものの中にいること」。といってもそれは乗り物の外から観察した場合で、中の自分の時間の流れはごく普通にしか感じられないそうなので解決にはならない。やはりどなたか「トキメキ」を与えてくださらないか?


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-16 23:08:00 (1781 ヒット)

 昨日今日とAMEDのCREST・PRIME会議。といっても自分が指揮する領域ではなく自分が審査される方の領域。普段評価するほうなので評価される方になるのはかなりつらい。ひどく緊張する。しかしこの領域の若い人たちの発表はすごくて衝撃を受けるものが多い。つい自分もアドバイザーのような気分になってしまう。睡眠の研究をされている若い人がいた。驚くべきことにミミズのような線虫も眠るんだそうだ。発表のあとつまかえて質問する。最後に「睡眠だけに夢のある研究ですね」座布団1.5枚欲しい。いや0.5枚か。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-14 15:36:21 (1414 ヒット)

昨年と違ってこの正月は胃腸不良と膨大な雑務のためにほとんど神社にお参りしていない。神仏だけが頼りの自分としてはこれはなんとかしないと、と思っていたところ、今朝何気なくNHKをつけたら「さし旅-仏像マニアと巡る新春!ご利益ツアー」という番組をやっていた。なんでも目黒の「大国寺」に仏像がたくさんあってかなり「ご利益」があるらしい。正月の参拝は神社と思い込んでいたがお寺でも「ご利益」は同じか。
京都に長くいたので仏像は馴染みがあるが、東京メトロの冊子によると江戸にも結構由緒ある仏像がたくさんあるらしい。今日は雲ひとつない快晴で縁起がよさそうだ。目黒なら近い。というわけで早速行ってみた。テレビではかなり大きなお寺のように見えたのに結構小さい。しかしお地蔵様やら石仏やら五百羅漢やらかなりの数の仏様がいる。予想した通り同じくテレビを観て駆けつけたと思われる単純な、もとい素直な老若男女で賑わっていた。テレビでは先生が「仏様もこっちをみているのだから長時間しっかりお願いするように」と言われていたが後ろがつかえているのでそうもいかない。主だった仏像を片っ端から拝んで「お願い」を早口で唱える。そしておみくじを引くとなんと「凶」。しっかり勉学に励まないといかんと諌められた。このお寺はおみくじがなんと50円で良心的だ。100円いれたのでもう1回引いてもいいはず、と今度は「吉」。どうも「凶」と「吉」の2種類しかないようだ(筒を振って出た番号の引き出しを開けて取り出すタイプなので、好奇心を抑えられなくて、、、)。「くじ」みたいなものをあてにせず精進せいということだろう。

「くじ」といえば西川先生のオヤジギャクをひとつ。日本が国際捕鯨委員会から脱退したことについて「鯨だけに目クジラ立てることもない」。座布団2つくらいあげたい。
ではなぜ「とがめる」ことにクジラが関係するのか?ボーッと生きている自分は知らなかったが海のクジラとは関係ないらしい。目尻(めじり)のことを「目くじり」ともいうそうでそれがなまって「目クジラ」になったのだ。明日すぐに自慢できる無駄知識。


 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-09 09:00:36 (3007 ヒット)

予想通り正月の発表だったせいかプレスリリーリスの反響はほとんどなし。まあ予想通りで仕方ない。しかし研究者からは早速いろいろ指摘を受けた。まず公共のデータベースに登録した遺伝子発現データの名前が逆ではないか?とメールが来た。調べてみると確かにそうでこれはすぐに訂正してもらった。それにしても論文出たら直ちにデポジットされたデータを利用しようというのはすごい。英語の文章の意味がわからん!という欧州の大学院生からの指摘もあった。これは英語力のないこちらが悪い。
“Treg-cell-mediated suppression of Il6 induction was partially restored by an anti-AREG antibody.”
『AREGの中和がTregの機能を回復させる』のはおかしいのではないか?というわけだ。確かに言われてみるとその通りのような気がする。でもIl6の低下をAREG抗体は元に戻したと実験事実を述べただけと言えないこともないような気もする。nativeでないとわからない?いずれにしても曖昧な表現だったことは間違いない。スンマセン。それにしても細部まで舐め回すように読んでいる人がいるものだと感心する。感謝すべきことかもしれないが今後何を言われるかと不安になる。
よくtop journalに論文を出すにはどうすればいいですか?と聞かれることがある。私は大した数出してないので答えに窮するが、とりあえず答えるのは「数を打つこと」。自分が責任著者で出したNatureは2001年のSPRED以来である。この18年間おそらく50回以上トライしている。大学院生の『記念投稿』も多い。そのうちEditorが気に入ってreviewにまわしてくれたのが5つくらい。4つrejectを食らって最終的にOKが出たのは今回の1つだけ。なので実は先へ進む確率は雑誌全体の数字とほとんど変わらないかむしろ低い。母数が大きければ奇跡的に最後まで残る期待値も増えるということ。当たり前でつまらない話だ。
今回はしかし秘策?があった。神頼みはもちろんのことながら、reviewerになりそうな大家を国際学会で捕まえて無理やりマンツーマンでパワポを見せながら内容を紹介した。そこでアドバイスをもらった。それを解決しておけばさすがに無下にはできまい。評点はあがるだろう。実際これは効果があったと思う。学会などでは論文が受理されるまでは「真似されたら困る」と秘密にしておく方も多いと思うが未発表のデータを見せて議論することはそんなに悪いことばかりではない。私のところは自転車操業なのでなけなしの未発表データで話さざるを得ない台所事情もあるが。

た一緒に研究してくれる特任助教か助教を募集しています。興味ある方はメールください。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2019-01-03 07:50:49 (2940 ヒット)

新年おめでとうございます。2019年も張り切っていきたい。と意気込んでいたら元旦からノロにやられた。でももう回復した。今日から頑張りたい。
さてようやく伊藤さんの論文がNature on lineになった。なんと英国時間では1月2日である(欧米は休みは元旦のみか)。印刷は1/10号だそうだ。acceptが来てからずいぶん待たされたが「速報誌」なのでしかたない。プレスリリースも行ったが、残念ながら正月休みで何処もとりあげてくれてない。。。まあ正月からめでたい話と納得したい。ライフサイエンス分野では「新着論文レビュー」というのがあって3大誌本誌姉妹誌に掲載されたら総説を書いてくれと依頼が来る。意気込んで早めに原稿を送ったら11月末で新規掲載は停止だそうだ。インパクトファクター至上主義を助長すると批判されたのだろうか。。。せっかくなので日本語で理解しやすいだろうから内容はこちらで
プレスリリースでは一般受けを狙って脳内制御性T細胞(脳Treg)がセロトニンで増えるのでセロトニンを増やす抗うつ薬が脳梗塞のリハビリに効果があるのでは?という話を中心にしている。実際に今までの報告では治療効果があるとされてきたのだが、昨年末発表された大規模試験の結果は微妙でまだ研究の必要があるらしい。私は某社の間葉系幹細胞療法のように直接投与したらよいのではないかと思っているのだが。

ともかく日本語総説を読むのは面倒、内容を簡単に知りたいという方のためにあらすじを書くと以下のようになる。
通常脳内にはリンパ球の数は少なく脳内の免疫細胞といえばマクロファージの仲間のミクログリアだけだった。しかし脳内で炎症が起きるとリンパ球(T細胞とB細胞)が浸潤してくる。特に脳梗塞のような大きな組織損傷が起きるとリンパ球の浸潤が起きる。しかし脳梗塞後の一週間程度は浸潤マクロファージを中心とした自然免疫応答が中心で、リンパ球の意義はγδT細胞という特殊な自然免疫系のT細胞以外不明であった。おおまかに言うと、脳梗塞後1日目にマクロファージが炎症性サイトカインを放出し炎症を煽るが3,4日もすると今度は同じマクロファージが掃除屋になって炎症の引き金となるような物質を食べて炎症を収束させる。余談だが「はたらく細胞」のマクロファージ(なぜかカワイイ少女)は大ナタを振り回して細菌をやっつけているのと、ほうきを持って掃除しているのと2種類描かれているがマクロファージの性質を的確に表現している。
ということで脳梗塞後1週間を過ぎるともう免疫の役割は終わりと思われてきた。一見炎症の症状が見られないからだ。ところが伊藤さんは2週目以降にはT細胞が脳内に大量に集積することに気がついた。特に梗塞を起こした部位の内部だけでなく周辺にも集積している。またCD4陽性のT細胞の半分がTregであった。これほどTregが多ければ炎症反応が見えないのもうなずける(Tregは炎症を抑える細胞だから)。実はこの研究を行っている途中で「脳梗塞後30日もするとTregが脳内に集積する」という報告がなされたので「先を越されたか!」と肝を冷やしたのだが内容は記載のみでTregの除去実験は不完全だった(おそらく脳梗塞研究の専門家でCD25抗体でTregを除去したとしているのだが、免疫学の界隈ではこの方法ではほとんど除去できないことはよく知られている)。ここは落ち着いて伊藤さんは解析を進めた。重要なことは(1)脳Tregは神経症状の回復に一役買っている。そのひとつの役割はアストロサイトの過剰な活性化を抑制することにある。(2)脳Tregはいわゆる組織Tregの一種で組織特異的なTCRを有し、IL-33受容体を発現してIL-33に依存して増える。(3)アンフィレグリン(Areg)というサイトカインを放出することでアストログリオーシスを抑制する。(4)一方他の組織Tregと異なりCCR6,CCR8を発現し特殊なケモカインに引かれて脳内へ浸潤する。(5)なぜか7型セロトニン受容体(HTR7)を発現しセロトニンに応答して増幅、活性化される。
脳Tregは脳梗塞という特殊な状況でのみ生じるわけではない。現在自己免疫性の脳内炎症モデルなども調べているが、脳内にTregが留まることでセロトニン受容体を発現するなど脳Tregの性質を獲得するようである。「脳と獲得免疫」。多くのヒトの神経疾患は長い時間のかかる「慢性疾患」である。慢性(=長期間)であれば獲得免疫の出番だ。脳の病気における獲得免疫の意義の解明はこれからだと思う。
 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-12-24 20:01:11 (1965 ヒット)

 12月は師走なだけになぜか忙しい。免疫学会の最終日に福岡を中心とした卒業生が集まってくれてまた「還暦会」をやってくれた。ありがたいことだ。ただはしゃぎ過ぎて翌日の飛行機にかろうじて間に合ったことはいい年をした大人としては反省材料だ。

天気予報によるとこの週末はひどく寒くなるそうだ。天気予報士南さんの説では「大掃除の時期なのに箒(ホウキ)も放棄したくなる」寒さだとか。女性アナウンサーに一瞬先を越されて「放棄」ですね、のようなことを言われてしかしメゲずに最後まで完遂し、言っちゃった後の静寂をものともしかなった南さんはオヤジの鏡として愛おしい。

西郷どん。自決シーンがなく「え!?」「下町ロケット」の最終回サギ。頭にくるが正月ももう一度楽しめるかと思ってしまう自分がどうにも哀しい。

科研費の上積み136億円はすべて若手に
。老兵はただ去りゆくのみ。

東京タワーも還暦らしい

出入国管理法(移民法)が成立。しかしすでに日本は移民大国だそうだ。留学生ビザで入国し勉強しながらアルバイトをしている。その数29万人。彼らの多くは多額の借金をして来日し劣悪な環境で寝る時間を惜しんで働いている。貴重な仲間としてしっかり育てている経営者もいるが、食い物にしている悪いやつらもいる。強制送還などがなくなり彼らが明るい正月を迎えられるように祈ることしかできない。

ともかくも2018年はいつもに増して激動の年だったような気がする。西日本豪雨では車が浸水して廃車に。温暖化対策は待った無しのはず。でもまあいいこともたくさんあった。神頼みも大いに効果があった。来年はもっといい年になって欲しいと願わずにいられない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-12-16 18:29:19 (1752 ヒット)

科研費に100億円が上積みされるそうだ。結構なことだ。本庶先生もこれからは「若い研究者を支援し育てる仕事をしたい」とおしゃっていた。ぜひ優れた若手が増えてほしいものである。ついでにまだまだやれるロートルにも支援をお願いしたい。もちろん老人が席を空けるのが最も効果的に若手を支援し鼓舞する方法なので引くときは引きますけど。

NHKで宅配業者の熾烈な状況を伝えていた。病気や事故の際の保証はないものの、個人事業主になれば「働き方改革」による「残業の縛り」もないので月に95万円稼げるという。問題は多いが働いたら働いた分実入りがあるのは魅力的だろう。若い研究者は例え大学や研究所に雇われていても「個人事業主」であるという気概を持って欲しい。というときっと「ブラック」とレッテル貼られて炎上するんだろうが。
それはそれとして、ここに出てくる小林さん。なぜリスクをとっても個人事業主を続けるかというと高校大学の奨学金を返済するためで「家族に返済のせいで不自由させないためにそれ以上に稼がないといけない」。昔は教育職に就けば返済は免除されていた。「国家百年(終身)の計は人を樹えるにしかず」と安倍首相も言っていたそうだが。若手を育てないといけないのは研究分野だけではない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-12-11 23:22:45 (1751 ヒット)

懇親会で渡邊武先生が乾杯の挨拶をされた。福岡での免疫学会は15年ほど前に渡邊先生(当時九大生体防御医学研究所所長。第33回日本免疫学会総会学術集会会長)が開催されて以来である。私は吉開先生(当時二人とも生医研教授)とともに実質的な実行部隊で、二人で東京まで出向いて学術委員会に開催案を報告しに行ったら完全ダメだしをくらって「小学生の使いか」とこき下ろされたことは今では懐かしい思い出である。何事も厳しくしかし活気あふれる時代だった。まだバブルの名残なのか参加総数は4000人を超えて大盛況だった(現在はその半分以下)。会場は同じ福岡国際会議場が中心だったが当然会場は足りなくて隣のサンパレスホテルや展示場まで使っていたと思う。手作り感満載で九大の当教室の教室員は総出でタイムキーパーなどボランティアを行っていた。私のほうは学会当日はこまごまとしたトラブルに対応するために広い会場を文字通り走り回っていた。終わったときはさすがに疲労困憊した。しかしまだ若かったので教室をあげて格安居酒屋を借り切って慰労会をやったことがなつかしい。その慰労会費だけ集会から出してもらった。集会はそんなに盛会だったのになぜ「格安」でやったのか今思うと謎である。経理のことは全く知らされてなかったから遠慮したのだろう。渡邊会長には私や吉開先生のような手足がいたが、今の私にやれと言われたら自分がまた走りまわることになるだろう(ただI科S科のO先生は助けてくれるというので心強いが)。部下には「そんな暇があったら研究しなさい」というのが私の信条なのだからしかたない。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-12-05 22:26:17 (2102 ヒット)

昨年と同じく評議員会で一言言わせてもらって大会長は回避できた。事情を斟酌していただいた評議員の皆さんの良識に感謝したい。来年はもう言い訳できないだろうが。。勇気ある阪大の元学生さんが「もし先生が選ばれたら自分が総会で立ってそんなのおかしいと抗議します。除名されてもかまいません。だから辞めないで!」と言ってくれた。涙がでる。共に除名されなくて済んだがありがたいことだ。
 

 どなたかが自分が次期の大会長候補にノミネートされているとおしゃっていた。昨年決死の訴えをしたのでまさか理事会で無理矢理候補にされることはないとは思うが。ただ評議員会の投票で最終的に大会長が決まる。もしかしてこのページを見ている評議員のかたがおられたら絶対に私に大会長の票をいれないようにお願いしたい。もし選ばれたら辞退する(=退会する)しかない。「人の嫌がることを無理強いする」組織はいかがなものか。

昨日今日とAMED-CREST/PRIMEのキックオフmeeting。10倍以上の難関を勝ち抜いた選りすぐりの演題ばかりである。レベルは極めて高い。多くはキラめく目標を提示され期待はいやますばかりである。しかしビッグラボに属さない若手もいる。常識を打ち破るような革新的な発見の芽はむしろ孤高の若手にあるかもしれない。この仕事を引き受けたのはやっぱり伸びようとする若い人を支援したいという気持ちから。当然自身の「見巧者としての力量」が問われるし、如何にいいアドバイスができるか?という私自分の「研究者としての力量」にかかっている。採択課題は神経、免疫、幹細胞と極めて広範囲である。節操なく様々な分野に首を突っ込んで来た自分が指名された理由もわかるような気がする。ただこの仕事の時間的精神的拘束はかなり大きい。同時にMCBという学部の教育の仕事もある。今いっぱいいっぱいな状況であることは側からみてもお分かりになれると思う。
なかなか下に雑用を振れない人間である。雑用は研究の大敵である。誤解されがちだが今の自分のラボは教室員は少なくそもそも人手が足りていない。世の中には全く逆に下に振ることで若手を育てられる指導者がいる。しかし私に明日からそうしろと言われても難しい。せめてあと1年、できれば2年は待って欲しい。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-12-02 12:18:34 (1670 ヒット)

先日留学時代の同窓会が開かれた。皆私と同じ年代なので健康のことは気になる。この頃肩が異常に凝る、なかなか痛みが取れないというと「それは関連痛といって心筋梗塞の前触れ」と脅された。
 翌日関東を中心とした卒業生と現役の教室員の皆で「第一回吉村研同窓会」と称して私の還暦のお祝い会をしてくれた。総勢50名くらい集まってくれて鹿児島、久留米、福岡、そして東京と懐かしい話題やスライドショーで盛り上がった。久留米のころの話題になるとやはりどこの軍隊かと思われるようなブラックな体質で今の若い人たちには想像もできないだろう。当時はお金も人も少なく「各自が他所より時間を費やすしか勝つ方法がない」という状況だったから仕方ない。そう思っていたら林先生の番組で「最初の2年は無休で質より量をこなせ」と言っていた。それほど間違っていない?

 赤いチャンチャンコを着せられて照れることしきり。ともかく皆の暖かい言葉に改めて「この仕事をやっててよかった」と思えた。歳を取るのはあまり嬉しくないが皆んなが気持ちよく祝ってくれるのが何よりも嬉しい。彼らのためにももうひと頑張りしないと、思わせられる。その前に健康診断いかないと心臓がやばいかも。

 あまりに嬉しくてつい酒が進む。実は前日の会でも紹興酒をひとりでほぼ一本空けている。司会のT君が「途中で記憶をなくす人が約一名必ずいるのでゆっくり飲みましょう」と言っているにも関わらず次々に盃をあける。「60にして耳順う」というが、私はさらに気が短くキレやすくなっており(時々Webのことでモンスタークレーマーになっている)人のいうことを聞けなくなっている。「60にして耳疑う」。予想通り二次会の途中から記憶がなくなり三人ほど「泊まっていけ」と無理やり自分の家に連れて来たものの家にたどり着いたとたんあえなく轟沈。気がついたら朝はとうにすぎており皆帰ったあとだった。何のもてなしもできず大変申し訳なかったが、備蓄していた冷凍食品がいくつかなくなっていたのでお腹は満たしてくれたのだろう。

さてもうすぐ免疫学会。今年も年会会長の選挙があるだろう。もしまたノミネートされても今の状況では辞退せざるを得ない。授業とAMEDの仕事と心臓の検査がひと段落つく来年まで待って欲しい。嫌がるのを無理にやらせるものでもないだろう。評議員のみなさんはぜひそこは汲んでほしい。。

なお林先生がインターフェロンがウイルスにくっついてウイルスの増殖を抑えると言っていたのは大間違いです。インターフェロンは細胞に作用してウイルスが増殖するのを抑えるサイトカインです。 


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-11-27 15:38:10 (1258 ヒット)

 月曜日は九大歯学部での講義。担当教授のご厚意でもうかれこれ10年以上続けている。毎年少しずつ趣向を変えているのだが、終了後学生さんたちの顔を見ると反省することの方が多い。今回は後半の半分は当然ながら「腫瘍免疫」「免疫チュックポイント阻害」の話をする。もともと「サイトカイン」の講義なので前半は炎症性サイトカインやヘルパーT細胞の話。キラーT細胞とはやや乖離があったように思う。ただ腫瘍免疫ではインターフェロンγが主役なのでつながりがないことはない。また歯科領域の「がん」でもオブジーボは使われている。
 今年はけっこう真面目に聞いていてくれたように思う。少なくとも寝ている学生はほとんどいなかった。ただやはりまだ2年生。「がん」がどうして発生するのか知らない。なので当然キラーT細胞がなぜがん細胞を認識できるのかわからないので「腫瘍抗原」から説明しないといけない。30−40分程度では駆け足で消化不良だったことだろう。むしろヒトコマかけて十分時間を取るべきだった。いや毎年「詰め込みすぎた」と反省するのだが一向に改善しない。前半かなり減らしたのだがその分後半を詰め込んでいるだけ。もう生まれついた性分なので直しようがないのかもしれない。

前日の休日に佐賀県有田まで足を伸ばして焼き物を見てくる。陶磁器がものすごく好きというわけでもなく「ブラタモリ」で有田を2回もやっていたから。バブルの遺産のようなポーセリンパークでは前の客が陳列している皿を指差しながら「これがタモリが一番気に入ったといっていたやつ」と自慢げに解説していた。やはり単純な、いや気持ちの素直な同類は何処にでもいるものだ。有田の町もしっかり宣伝に使っていた。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-11-18 23:20:58 (1589 ヒット)

 東京テレビのニュースを見ていたらキャスターの小谷真生子がオプトジェテックスを紹介していた。解説は慶應義塾大学医学部精神科の田中謙二先生である。最適の解説者だろう。日本では最も権威ある学術賞のひとつである京都賞の本年度の受賞者に選ばれたのがオプトジェネテックスの生みの親の「カール・ダイセロス」博士である。なので特集を組んだのだろう。歴代の受賞者は今年の本庶先生を含めてノーベル賞をもらった方々が多いらしい。きっとダイダロスも間違いなくノーベル賞も射程距離内だろう。それを言うならダイセロスは4年前に、本庶先生は2年前に慶應医学賞を受賞している。ぜひそこも言って欲しかったが全く言及なしで残念。しかし賞金はノーベル賞に匹敵する京都賞である。残念ながら慶應医学賞は足元に及ばない。

それはともかく「ダイセロス」は非常に言いづらい。つい「ダイダロス」と言ってしまうのは私だけだろうか?「ダイダロス」?どっかで聞いたなと思ったら日曜劇場「下町ロケット2」で古舘伊知郎が率いる小型エンジンメーカーではないか。
NHKの「西郷どん」とTBS「下町ロケット2」。オヤジはこの2つだけを楽しみにサザエに負けることなく次の1週間を生き抜いている。年末に両方同時に終わってしまったらもう生きていく気力が湧かないかもしれない。しかし前回の下町ロケットと比べると今シーズンは視聴率的に相当苦戦しているらしい。それは全く当然と思う。今日の最後のテロップは「友情と信念で危機を乗り越えろ!」。いつから少年ジャンプかドラゴンボールに成り下がったか!と思ったら全く同じ論考をしている人もいた。それによるとドラゴンボール世代のオヤジが「下町ロケット」を支持しているというが世の中それほど甘くない。まず文系のオヤジもさすがに「友情と信念」で全部解決するなんて「子供扱いしてんじゃねーよ」とそっぽをむくだろう。さらに問題なのは私のように根強く支持して来たより単純な理系のオヤジだ。「陸王」もそうだったが理系技術畑をあまりにないがしろにしている演出にそろそろ辟易しているのだ。理系オヤジの興味は技術的困難をどんなヒントでどんな苦労をして克服したか、そのディテールにある。それが毎度なんら根拠も示さずに数字が上がった下がっただけではさすがに「いい加減にせいよ」ということになる。まあ他に楽しみがないのでネタバレ知ってもて最後まで観るだろうけど、もうこのパターンでは次はないな。

日産ゴーン会長逮捕の報道。内部告発からトップの不正が暴かれたらしい。リアル「半沢直樹」?事実は小説より激しい。

「ガイヤの夜明け」で帝国重工が開発中の国産ジェット機MRJが取り上げられていた。海外の敵対メーカーからの人材も登用して危機を乗り越え、いよいよテイクオフ間近だという。やっぱり「内製化」にこだわってはいかん。こっちにも下町メーカーが部品を供給しているらしい。リアル下町ロケット。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-11-16 00:18:29 (2769 ヒット)

MCBの最後を飾るのはワシントン大学教授の今井眞一郎先生。老化研究の大家でサーチュインの機能を解明。さらにこの仲間のひとつSIRT1(サーテイワンと呼ぶらしい。どうしてもアイスクリームの31を連想してしまう)を脳だけで過剰に発現させたマウスを作成すると寿命が伸びることを示した。またこの酵素の基質であるNADのもとになるNMNを多く摂取するとやはり寿命が伸びる。「若返り薬」などと騒がれたが「若返るわけではなく、健康寿命が伸びる」のだそうだ。でも動きの鈍い老齢マウスにNMNを投与すると元気に運動し出すので「若返る」とも言えなくもない。
実は今井先生のお話をしっかり聞くのはこれが初めて。慶應義塾大学医学部の出身で私が現在いる東校舎の同じフロアに実験室を構えていたそうで因縁浅からぬ方なのだが。とにかくマイクがいらないんじゃないかと思えるほどに声が大きい。NMNを毎日飲まれているそうで元気の素はそれか?講義は内容もさることながら先生のエネルギーに圧倒される。こんなinspireされる講義はなかなかないんじゃないか?と思ったが、いろいろな研究室からもスタッフが聴講に来ている。質問は学生からではなく彼らがほとんど。うーん、学生さんらももう少し元気出して欲しい。

今井先生の話で気に入ったのは「小太りの人の方が寿命が長い」という話。無理なダイエットはむしろ寿命を縮める。ノーベル賞のオブジーボの効果も痩せている人よりも太っている人のほうが高いらしい。今の所食事制限がほとんどの生物で寿命を伸ばすことが知られている唯一の方法らしいが、それは実験室の話。マウスでも伸びるが免疫力が落ちて感染にやたら弱くなり、病原菌がいると早死にするそうだ。「実生活では勧められない」。食べることしか楽しみのない私のような大食漢にとってはなんだか気持ちが楽なる話ではないか。アルコールももしかしたら寿命を伸ばすかと思ったらこっちはダメらしい

この数日某財団の審査にかかりっきりだった。審査はもう天職なので何も文句はない。むしろ全部で35件程度なのでしっかり見てコメントも改善点も含めてしっかり書けるので働いた充実感がある。科研費の審査に比べると天国だ。科研費は今年大きな改革があった。業績欄がなくなってなぜか欠陥のあるResearch〇〇と結託してる。申請する方は改善になったのだろう。でも審査する側はむしろ煩雑さが増えた。そもそも審査員に意見を聴く機会は設けたのだろうか?少なくとも私の記憶にはない。「これまでの業績ではなく内容で勝負しよう」大いに結構。ならばそれを審査する側にも時間と精神的な余裕を与えるべきだ。具体的に言えば審査件数をひとり50件以下にすること。一件の審査料を2倍にすること。そうでもしてくれないと期待されている審査はできないように思う。こう書くともしかしたら危険分子として私は今年の審査は外されるかも。それはそれで大いに結構なことだ(小心者はJSPSや文◯省の依頼は断れない)。何にしても申請の方だけでなく審査員の改革なくして科研費制度の改革なし。


投稿者 : yoshimura1212 投稿日時: 2018-11-08 23:08:30 (1697 ヒット)

時差ボケも収まらないのに軽井沢まで出張。といっても東京駅から1時間少し。新幹線を降りるとパリよりも寒い。山の向こうでは人口スキー場があってもう誰か滑っている。コートを持って来なかったことを悔やむ。
生まれて初めて軽井沢に来た。「軽井沢」その名を聞くだけで違う世界のように感じるのは私だけだろうか。軽井沢と言えば避暑のための高級別荘地、もしくは「風たちぬ」で知られる深窓の令嬢の保養地のイメージしかない。いずれにしても自分のような庶民には縁遠いところと思っていたが、「軽井沢駅」の南口側は広大な敷地にこじゃれたアウトレット店が並んでいる。外国人観光客も多いようで、こんなきれいなところで気軽に楽しめるのだ。

臨床免疫学会はこれまでどちらかというとリウマチや乾癬などの自己免疫疾患が中心だったように思う。しかし今は腫瘍免疫も大流行りだ。ノーベル賞も拍車をかけているのかもしれない。私もTscmの話をする。夜は○○研のK先生らと飲む。K先生NHKの「ガッテン」でバンドデビューされたそうで超ご機嫌だった。映像はこちらから。メーキング映像まで見せてもらった。さらに先生の業界裏話の話題が尽きない。ぜひ「日本の生命科学者〇〇列伝」を出版してほしいが命の危険があるので難しいかもしれない。

軽井沢はやたらと夜が早い。何でもコンビニも含めて条例であらゆる店が23時には閉まるそうだ。そこはやはり高級別荘地か。物足りないのでホテルのコンビニ(支払いはフロント)でご当地ビール(軽井沢抗原ビール)を買って飲んだ。かなりうまい。

今回気がついたのはB細胞に関する話題が多いこと。自己免疫で抗体が重要なのは当然かもしれないが、B細胞は抗体産生だけでなく抗原提示細胞としても、またサイトカイン産生細胞としても機能している。その分類などの話題が多かった。ただSLEでは抗BAFF抗体が有効であるものの、CD20によるB細胞除去はことごとく失敗したという。どうもまだ釈然としない。B細胞の復権はこれからか。

 


  
(1) 2 3 4 ... 15 »