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このHPを訪ねてきてくれたあなたに

はじめまして。私は慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室の吉村です。平成13年1月に久留米大学分子生命科学研究所、遺伝情報研究部門から九州大学生 体防御医学研究所に転任し、さらに平成20年より慶応大学医学部微生物学免疫学教室に異動しました。昆虫が脱皮するたび に大きくなるように私たちのラボも移転の度に成長しました。

私は若い人達が成長し、かつ私自身も刺激をうけ成長できるようなラボをつくりたいと常々思っています。私は自分のために仕事をしているという意識はありま せん。学生を自分のために働く労働力と思ったこともありません。科学は想像力と創造の学問です。学生と私で新しいものを生み出し世に問うていくことが私の仕事で す。その過程で学生は成長していく。私のラボの第一の使命はMD,PhDを問わず、医学生物学分野の研究者を育てることです。

私は京都大学理学部生物物理学教室を1985年に出て、大分、鹿児島、アメリカMIT、そしてまた鹿児島と点々としましたが1995年夏より久留米大学分 子生命科学研究所にラボを構えました。着任当初はわずか3名であったラボも5年後には総勢十数名となりスペース不足が深刻化してきました。そこで新たな飛 躍を期して平成13年1月より九州大学に移転しました。この間の経緯は
駆け抜けた5年半(前編)、駆け抜けた5年半(後編) に記しています。もともとは生体膜の物理化学が専門の研究室で勉 強をはじめたのですが、遺伝子を扱えなければ生物現象の本質には迫れないと痛感し、独学で遺伝子の勉強をしました。アメリカ留学中にエリスロポエチン受容 体の研究をはじめたのですが幸いにも小さいながらこの分野の進歩に貢献でき、おかげで若輩ながら自分の研究室を持つことができたと思っています。もちろん それは多く幸運とすばらしい人々との出会いと援助なくしては生まれてこなかったと思います。この間の経緯は ボストン留学の思いでCIS/SOCSファミリーの発見、研究者をめざす若い人へに記しております。ぜひご覧になってください。

当教室では細胞の増殖、分化、死のメカニズムを分子レベルで明かにし、あわせてその成果をもって医学、医療に貢献することを最大の目標としています。最近は免疫学の研究に中心を移しT細胞や樹状細胞の改変(リプログラミング)を通じて免疫応答を制御し疾患治療をめざしたいと考えています。

ところで、アメリカに留学中”実験の3原則”というのを教わりました。これを守れば普通のひとでも最低必ず普通の研究者にはなれます(プラス独創性があれば一流になれるかも)。”実験の3原則”とはアメリカにいる有名な日本人研究者の言葉です。 私はいつもこの言葉を思い出しながら実験してきましたが、本当に守ることはなかなか困難です。最近ではこれに"Hard Work”を加えて実験の4原則としています。実験の4原則とは以下の4つです。

i) positive control

ii) negative control

iii) experimental value

iv) hard working

学生時代私は免疫学の講義がさっぱり理解できず、免疫 学は難解なもの、自分とは縁遠いものと思ってきました。20年後に自分が免疫学の教授になるとは想像だにしませんでした。しかし少しずつ免疫学の面白さが わかってきました。論理構成の難しさはありますがしょせん高等数学の難しさには及びません。難解な用語や多彩な技術がありますがすぐ慣れます。あなたも免 疫学が苦手?大丈夫、私が理解できる程度のことは誰でも理解できます。またアトピーやアレルギーなど、実は免疫学は身近な疾患との関係がきわめて深いので す。



今後も免疫、造血、癌を中心に”シグナル伝達とその制御”を切り口に研究を進めていきます。その際の基本的な目標は次の4つです。

 (1)CIS/SOCSファミリーとSpred/Sproutyを中心としたサイトカインシグナルの制御とその分子機構、生理機能の解明。

 (2)新しいシグナル制御分子、制御機構の発見

 (3)シグナル制御の破綻と病態との関連の解明。シグナル制御を応用した癌や炎症性疾患の新しい治療法の開発。

 (4)バーチャルに免疫応答を再現する(e)mmunologyとも言うべき新しい学問分野の創出。

(5)人為的エピジェネテックス制御による免疫リプログラミング

みんさんも私といっしょに新しい世界にチャレンジしてみませんか?研究の面白さと苦労を分かち合いましょう!東京の私立大学では学費や生活費が高くて大変だと思う人も多いと思いますが本当に大切なのは気持ち、意気込みです。現在は慶應大学医学部では、奨学金や globalCOEからのRAのサポートで真面目にやっていれば学費はほとんどかからない制度になっています。もしあなたが博士課程に進学し、自然の摂理を極めるという強い意志か、不治の病の治療法を見つけたいと言う純粋な気持ちか、30台後半には教授(もし くはPI)になるんだという強い気持ちがあれば必ず道は開ける。一日14時間、週7日間実験できる強い意思を持っているならば安心して学業に励んだらよい と思います。

ただ最低限、必ず科学的なものの見方は身につけなければいけません。それが苦手な人は他のひとよりこの分野(分子生物学や免疫学)には向きません。分野を 間違えて普通より苦労する場合もあります。生命科学と言ってもかなり広いのです。また実験科学では実働時間がものを言いますからやはり若い時に集中して実 験が出来ない人も向きません。そんなときは私は割とはっきり早めに分野をかえた方が良いと言います。それが本人のためだとよく知っているからです。私だって経済的にも生活面でも大変なことであると感じています。それを敢えて挑戦しようとしています。決して後ろは振り返らない。ちょっとは愚痴るかもしれないが原則過去はふりかえらない。それが私のモットーです。(H25.10/22)

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yoshimura@a6.keio.jp


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