トップ  >  研究室紹介(博士過程4年白石裕士)

 博士課程4年 白石裕士

九州大学生体防御医学研究所・免疫制御学分野

私は 2003 年から博士課程に入学して 4 年間、21 世紀 COE 「統合生命科学」のリサーチアシスタントとして、吉村昭彦教授のもとで細胞死の制御機構および樹状細胞の制御機構に関して研究させていただきました。無事学位も取得し卒業後は本年4月より佐賀大学医学部に助手として赴任することが決まっております。ここでは今行っている研究内容について簡単に紹介し、21世紀COEで得たものについて感想を述べさせて頂きます。

免疫の過剰な活性化や自己抗原への反応は自己免疫疾患を誘導する。生体内では様々な機構により免疫を調節しているが、免疫制御細胞として重要な細胞のひとつとして樹状細胞がある。樹状細胞は名前のとおり樹状突起を有する細胞で、抗原を食作用によって取り込み、T細胞に提示する抗原提示細胞のひとつである。炎症性刺激により活性化した樹状細胞は、ナイーブT細胞を活性化・増殖・分化誘導し、抗原特異的な免疫応答を惹起する(図参照)。一方、アポトーシス細胞の貪食など、自己抗原を提示するような状態では免疫寛容を誘導する。つまり樹状細胞は獲得免疫系を正および負に制御する重要な免疫制御細胞であると言える。樹状細胞の活性化は、LPS (lipopolysaccharide) のような菌体成分による TLR (Toll-like receptor) の刺激やネクローシス細胞による細胞内成分による刺激によって起こる。一方、IL-10TGF-betaによる刺激は抑制的に働く。私は樹状細胞が活性化する機構を研究する過程で、生きた線維芽細胞が樹状細胞の活性化を負に制御している現象を発見した。線維芽細胞と共培養した樹状細胞は LPS のような TLR のリガンドで刺激した際のT細胞活性化能が低下していた。これは「普段は生体内の生細胞により樹状細胞を抑制するシグナルが存在し、病原性微生物などによって抑制シグナルが失われるために樹状細胞が活性化する」という機構の存在を示唆している。またこの分子機構を解明することで炎症性疾患の発症機序やがん細胞が免疫監視機構から逃れる分子機構の解明につながればと考えている。現在、この分子メカニズムについて解析を行っており、線維芽細胞由来の抑制活性物質の精製を HPLC などを行い、同定を試みている。これまで生化学をまともに学ぼうとしなかった自分には、このような作業は新鮮で、とてもよい経験になったと思っている。

21世紀COEの良かった点は理学部と生医研、すなわち基礎的な生命科学と医学的な研究の交流があり視野が広がったことだと思います。例えばいろいろな分野のセミナーやシンポジウムが数多く開催され、自分の研究内容に近い発表だけではなく、様々な分野のセミナー等を積極的に聞きに行くことができました。このような機会は研究に行き詰まったとき、新たな視点で道を開くことができるし、新たな興味が生まれ、研究に対するモチベーションがあがると思います。これは 21 世紀 COE 「統合生命科学」で学んだことです。

また 生医研ではCOEの協賛で毎年湯布院でリトリートが開催されています。そこでは研究室の壁を越えたディスカッションや情報交換が活発になされ大いに刺激を受けました。またソフトボールを通じての息抜き(本気?)などもあり、本当に良い経験になりました。

研究者をめざす後輩にアドバイスを・・・との事ですが、ようやく研究者としての一歩を踏み出す自分に、たいしたアドバイスはすることができません。ただ、自分が心がけていることは「研究を楽しむ」という事です。もちろん、研究の世界は現実的にはとても厳しくて努力と競争の世界なので、「研究を楽しむ」ために日々の努力を忘れてはいけないとも思っています。 最後に、研究者になりたての自分の言葉よりも、ぜひとも吉村研のホームページ を覗いて、吉村教授の言葉を見て頂けたらと思います。



 


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