トップ  >  吉岡さん結婚披露宴祝辞(シリーズ第4弾)

 粉雪の舞う真冬の結婚式にて



技術員の吉岡睦子(とも子)さんと中路淳哉君の結婚披露宴によばれて祝辞を述べた。昨年夏からもう4度目なので慣れたかと思ったが、実際には原稿を相当すっとばしてしまった。こればっかりは慣れそうにない。今回の披露宴は淳哉君の関係の方々が心から祝福している様子が伝わってくるもので心暖まるものであった。さすがに社会の一線で特に営業に携わっておられる方達はひと味違うと感心する。また新郎の淳哉君のあいさつがとても立派で堂々としており、かつ真心がこもったもので、この男ならきっと睦子さんを幸せにしてくれるだろうと思えるものだった。


睦子(ともこ)さん、淳哉君、本日はご結婚おめでとうございます。ご両家の皆様も本日はまことにおめでとうございます。私は御紹介にあずかりました、新婦の上司にあたります吉村と申します。

実は私どもの教室はこの春に東京に移動します。昨年春頃、それが決まった時には 睦子さんにぜひいっしょに来て欲しいとお願いしました。はじめは彼女も少し乗り気でしたが次第にトーンダウンしていきました。それが今日のこの日のためだったわけです。わたくしとしては残念ですが、淳哉君のような好青年のせいならばしかたありません。

私どもの教室では大勢の大学院生や研究員が日夜研究に励んでおります。主に実験動物であるマウスや動物からの細胞を使ってアレルギーや感染に関係する免疫学の研究を行っております。そのなかにあってとも子さんは実験動物の管理や解析など要となる重要な仕事を担ってくれています。私どものところで働き始めてもう3年になりますが彼女のおかげで無事学位を取って卒業していった学生も数おおくおります。

このマウスの管理と言うのは大きな実験施設の中で極めて厳格に行われており、ルール違反やずさんな管理をしますと周囲に大きな迷惑をかけることとなり、場合によっては使用禁止になることもあります。しかしとも子さんは職業意識が高く、細かいところまで気を配ってくれますのでまかせていて安心です。また自分のマウスだけではなく、学生などの使用者の教育や管理も行ってもらっています。ずぼらで、注意力散漫な学生たちを管理指導していくことは容易ではありませんが私はとも子さんに全般の信頼をおいています。時々学生らが失敗をしますと、とも子さんから大変厳しい指摘のメールがまわってきます。私は根がすぼらなものですから自分が学生でなくてよかったと安堵するほどです。とも子さんは剣道も3段と達人ですから怒らせたら怖いかもしれません。しかしそれくらいきっちりした人でないと安心してまかせられない。とも子さんのおかげでこれまで大過なく運営できてきたと思います。おそらく家庭でも何にでもよく気がつき、同時に淳哉君をしっかり管理してくれるのではないでしょうか。

仕事の面ではそんなふうにしっかりしたとも子さんですが、普段はほがらかでひょうきんな一面ももっております。私は血液型なぞは信じないほうなのですが、自分がO型のおおざっぱな性格のものですからどういうわけかAB型は苦手としてきました。なんでO型はAB型が苦手なのかということはさておき、はじめてとも子さんを面接して採用を決めた時も、AB型と聞いて私と合うかちょっと不安がありました。しかし仕事はよくできるし、普段も何の問題もなく普通に接していける。やはり血液型なんて迷信だったのだと思っていましたところ、つい最近とも子さんが、私血液型がかわりましたと言ってきたのです。献血に行ったところA型と診断されたという。血液型が大人になってかわるはずはありませんから、この年になるまで、20数年間かの女は自分がAB型だと信じていたようです。とも子さんには時々そんなとぼけたところがあり、我々をなごませてくれます。

おふたりの共通の趣味は何かと聞きますと、料理かなということでした。そういえばとも子さんは時々じゅんや君手作のお弁当を持ってきます。私はこれは本当にすばらしいことではないかと思います。このところ食の安全性に大いに不安を感じざるをえない事件が続いていおります。賞味期限の偽造にはじまって中国からの毒入り餃子はいまも原因が解明されていません。私の家でも子供が餃子が好きなものですからよく食べています。私は冷凍餃子に農薬が多量に見つかり被害者が出た時に女房に、うちは大丈夫かと思わず尋ねました。そうしますと女房は烈火のごとく怒り出しまして、うちでは冷凍餃子なんか一回もつかたことがない、いままで何を見てきたのだ、だいたい夕食時にいもしないくせに、とさんざんしかられました。そうかうちでは本物の手作りだったのかと感心しますと、そんな時間があるはずがないじゃない、うちではチルドです。チルドは安全です、とのたまわれました。

冷凍はだめだがチルドは安心というのはちょっと理解に苦しむところですが、とも子さんは管理栄養士の資格も持っていますので、淳哉君は安心ではないでしょうか。特に最近は安全性ばかりでなく、大量の化学調味料に慣らされている状況や子供が家庭で食事をとらないとか、加工食品で3食すますとか、食にまつわる問題がクローズアップされています。言うまでもなく食事は家庭団らんの象徴ですしコミュニケーションの場でもあります。食事を大切にすることが夫婦円満、家庭の幸福につながるのではないかと思います。私はせっかちなものでたまに家族で食事をとるときも、女房が皿を並べて、ようやく席についていざ食べようとするときは、すでに食べ終わっているとまた怒られます。こんな私に言う資格はないのですが、おふたりはそういうことなく、どうか食卓を大切になさってください。

最近感動した映画に武士の一分というのがあります。キムタク主演で話題になりましたのでご覧になられたかたも多いかと思います。最後に盲目の侍のキムタクがいちど離縁して戻ってきた女房、このかたがまた清楚でかれんな感じで非常によかたっと思うのですが、のみそ汁を飲んで、またお前のみそ汁が飲めるんだなあ、よう帰ってきてくれた、と言うのです。こういうのが静かで深い愛情なんだろうと深く感動しました。決して豪華でなくても、手作りで時間をかけての食卓、やはりそれが家庭円満のひとつの秘訣ではないでしょうか。

我が身を省みない、つたない話で恐縮ではありますが、私のお祝いの言葉にかえさせていただきたいと思います。本日は本当におめでとうございました。


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