トップ  >  西さん結婚披露宴祝辞(シリーズ第7弾)

 昨日までの涼しさとうってかわって真夏の日差しが戻って来た。今日7月24日は昔私のラボで秘書をしてくれていた西由起子さんと、九大歯学部で助教をしている讃井君の結婚式と披露宴。讃井君は九大生医研で博士課程を過ごしすでにアメリカへも留学済みの新進気鋭の研究者だ。同様に私が生医研にラボを持っていたころに卒業した武富君(写真)が讃井君の同級生で彼が二人の縁結びの神というわけだ。二人のことは西さんにあうたびに聞いていたのだがなかなか進展がない。昨年夏に讃井君が東京に来た時にわざわざラボに寄るというので多いに期待していたのだが由起子の由の字もでなくて相当やきもきしたものだった。それでも順調に交際を続けゴールインとなったらしい。そのへんのことは武富君が面白おかしく紹介してくれた。キリスト教式の結婚式で外国人の神父さんが”健やかなる時も病める時も”と誓いをたてさせる。いつ聞いてもこの結婚の誓いは心が洗われる。うちももう一度やりなおせないものかといつも思うのだが、現実は結婚式場で想像するほど清らかでも生易しいものではない。。

披露宴は友人のスピーチは武富君だけだった。友人の芸も歌もなく、定番のスライド上映もなく、新婦のお手紙紹介もなくまことにさらりとした、奇をてらうとこのない大人の落ち着いた雰囲気の披露宴だった(西さんに聞くと今更お手紙は。。。ということだった)。しかし和やかで心温まるものだった。讃井君の最後の挨拶がよかった。今日で地上放送はアナログから地デジにかわる。そんな日に自分たちもかわっていきます、というような話と、まだまだ未熟な二人です、といえる歳ではないのですが、というくだりが爆笑だった。披露宴のあと九大生医研卒業生が集まってくれて2次会を催してくれた。これもものすごくうれしかった。こういう時は教師をしていてよかったとつくづく思う。

私の役目は乾杯の音頭とり。今回は”ご唱和お願いします”とひとこと入れたのでなんとかはずさずに皆さんついてきてくれた。途中アドリブで自虐ネタを加えた。時間的にもまあまあだったか。以下用意した原稿。実際はかなりはしょった。

讃井君、由起子さん本日はおめでとうございます。ご両親はじめご親族の皆様にも心からお慶び申し上げます。私がご紹介にあずかりました吉村でございます。新婦の由起子さんとは平成16年から20年まで、実に5年間も私のもとで秘書として働いてくれました。讃井君、よく決心してくれました。この決断が正しかったことはおいおいわかって行くと思います。ちょっと決断に時間がかかりすぎたのではないかと思いますが、こうして晴れの舞台に臨まれているのだからそれは言いますまい。    私は3年前に東京に行くにあたって由起子さんにいっしょに来てくれないかと頼んだのですが、あっさり振られてしまいました。想像されるような変な意味ではないですよ。こんなにまかせて安心、てきぱきと複雑な業務を間違いなく遂行でき、かつ細やかにこころ配りのできる秘書は由起子さんをおいて他に経験したことがないからです。この秘書業務はそうですね、運動部でいいますとマネージャーのようなものです。ミスのない計算と小さなことにも気がつく心配りが必要です。私自身はまったく大雑把なザルですからそれが出来る由起子さんには東京でも辣腕を振るって欲しかった。おそらく由起子さんは家庭においても有能な秘書として切り盛りしてくれるはずです。 

私は由起子さんは言わば山内一豊の妻であると信じています。山内一豊の妻といえば大河ドラマにもなりましたのでご存知のかたも多いかと思いますが、良妻賢母の鏡であり、貧乏侍の夫を内助の功でメキメキ出世させ、一国の城主にまでしたてあげました。讃井君もきっとそうなるでしょう。2年ほど前でしょうか讃井君がある財団の研究助成金に応募した時です。由起子さんはたまたま私がその財団の審査員をしていることを知って、わざわざ私に夫、いやそのときはまだ夫でなかったのですが、讃井をどうかよろしくお願いしますと電話をかけてこられた。もちろん私は審査に私情を挟むことはないですし、讃井君は立派な業績をお持ちなので問題なく通られたのですが由起子さんの心配りをよく表していると思います。心配りと言えば仕事場でも実によく気がついてくれました。私の頃は教授室と秘書の部屋はドア一枚で仕切られているのですが、私はいつも誰もが遠慮なく入れるようにドアは開けっ放しにしています。しかし時々不覚にも居眠りすることがあって、そんなときはそっとドアを閉じて安眠の邪魔をしないようにしてくれたものでした。いやこれは単にいびきがうるさかっただけかもしれませんが。そんな気配りをさりげなく出来る、由起子さんはそんなひとだと思います。
 

さきほど秘書は運動部のマネージャーといいましたが、皆さんは“もしドラ”という漫画をご存知でしょうか?高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントという経営学の本を読んで野球部を強くして行く話です。ドラッカーのマネジメントという本は経営論の本なのですが実に奥が深く良質の人生論ともなっています。このなかでドラッカーは会社は利益のためではなく人間を幸せにするために存在する、と定義しています。会社をあらゆる組織、もちろん家庭におきかえてもなりたつ公理ですね。家庭にあってマネージャーはもちろん奥さん、かもしれませんが表向きは共同経営者というべきでしょう。マネージャーの重要なスキルのひとつはコミュニケーション能力だそうです。普通はコミュニケーションというと上から下への情報のスムーズな伝達とか意思疏通と思われがちですが、ドラッカーは『組織においてコミュニケーションは手段ではなく組織のありかたそのものである』と言っています。つまり家庭で言えば夫婦はコミュニュケーションがすべてでコミュニケーションの善し悪しが家族の幸せを決める、といえるでしょう。コミュニケーションは上から下への情報の伝達ではなく、部下にボスがやって欲しいことを自覚してもらうことが重要であるとも言っています。つまり相手に自ら気づかせること、それほど丁寧な説明や技術が必要なのですね。私の家は家庭崩壊に近いのですが、最近女房に東京までの航空券とミュージカルのチケットを用意して『来週こい』と言ったのですが、そんな次の週のことを急に言われても困る、とあっさり断られてしましました。それ以来ずっと冷戦状態が続いています。確かに互いの意見をいいあうだけではケンカになってしましますね。相手の立場にたったコミュニケーションが不足していたと今更ながら反省しています。どうかおふたりは上手にコミュニケーションをとって幸せな家庭をきづいてください。

ともかくも讃井君、君はこんな三国一の花嫁をもらったのです。必ず嫁さんを幸せにしてやってください。そうそう讃井君は下戸だそうです。今日はぜひ皆さんで讃井君を潰して下さい。    それでは皆様ご起立ください。由起子さん、讃井君のお幸せと皆様のご健康を祈念しまして乾杯したいと思います。ご唱和ください。乾杯!

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