トップ  >  柏木君怜さん披露宴祝辞(シリーズ第10弾)

  イッコウ君、怜さん結婚おめでとうございます。ご両家の皆様本日は誠におめでとうございます。私が御紹介にあずかりました、柏木イッコウ君の指導教官にあたる吉村でございます。

今日はすでに出だしから新郎新婦の掛け合い漫才で十分リラックスされていると思いますので私もなるべく笑いの取れるお話をしたいと思います。ところどころ『ネタ』をしこんでいますのでどうか面白くなくても暖かい笑いをお願いします。

柏木君と私の付き合いは遡ること6年前になります。彼は下町ロケットで名をあげた慶應理工学部を優秀な成績で卒業しまして大学院修士課程の学生として私のもとにやってきたのです。そしてそのまま博士課程に進み、つい先日無事学位を取得しまして晴れて卒業となりました。4月からは外資系の製薬企業に勤務することになっております。 
ところで意図してこの日を選んだんでしょうが今日はバレンタインデーです。なんとも甘い日に式を挙げられるのは大変幸せなのではないかと思います。おそらく結婚記念日を忘れる心配がないですから。実は何を隠そうこの二人が今日こうして式をあげられるのは私のおかげです。いや私はうまく利用されたと言うべきかもしれません。

 実はイッコウ君と玲さんは慶應大学の修士課程の同級生です。玲さんらは20123月に修士課程を卒業しています。学生時代からイッコウ君は玲さんにアプローチしていたようですがイッコウだにされない。そこで彼はイッケイを案じました。私は丁度その2012年の4月から新しい事務職員を探しておりました。それを聞きつけた彼は私には『ものすごいええ子がおりまっせ』と玲さんをしきりに勧めます。職種が違うと言っても事務仕事も十分出来ると言います。一方で玲さんはすでに関西に就職が決まっていたにも関わらず、玲さんの生まれてはじめて関西に行くのは心細い、という不安な気持ちにつけこんで『うちの研究室で技術員を募集している。家から通える。待遇もいい。先生もやさしい』としきりに関西行きをあきらめるようにささやき続けたのでした。こうしてまんまと玲さんを私の研究室に取り込むことに成功したのでした。実は待遇はかなり悪かったたんですがね。確かに玲さんの仕事ぶりは大変すばらしいもので、本当に細かいところまでよく気がつき値帳面です。家庭でもしっかりした教育を受けたお嬢さんなんだろうなと思われます。しかしやはり初めて経験する仕事で戸惑うことも多い。一方イッコウ君はすでに当教室では2年もいるのですから詳しい。自分の仕事をほおって玲さんにこと細かく教えます。玲さんもそんな彼を『頼もしい』と錯覚したのかもしれません。すべて彼の計算通りに進んで今日のこの日となったのでした。今聞くとかなりアコギな作戦ではないかと思います。2、3発殴っていいと思いますが、これもすべて玲さんの関心をひきつけるため、涙ぐましい努力と思ってどうか許してやってください。

 さてイッコウ君は研究室ではどうだったかと言いますと、彼はかなり世話付きで面倒見のよいやつです。私の教室では時々海外から短期の留学生が滞在して行きます。普通の学生は面倒がるし英語に自信がないのか尻込みしてなかなか世話が出来ません。しかし彼はドイツ、スウェーデン、中国と多数の短期留学生の世話を立派にやってくれました。世話好きで誰とでも親しくなれるというのが彼のいいところだろうと思います。しかもどうも英語に関してはかなり自信があるらしい。実は文法も何もなってない相当ひどい英語で何をいいたいのかわからないのですが。それでも全く物怖じせず、相手はわかっているものとして話をする。学位論文を書かせた時も何か月もかけて『このまますぐ投稿できます』と言って持って来たのですが、一行目から文法が間違っていて私は読む気を失い彼の論文は3ヶ月くらいたなざらしとなったのでした。しかしこの自信はたいしたものです。けなしているのではないですよ。普通日本人は英語を苦手としていますが多くは間違ったらどうしよう、通じなかったら恥ずかしい、という心理的恐怖が原因と言われます。彼にはこれはが全くない。これはなかなかできることではありません。こういう無邪気な大胆不敵さが彼の持ち味だろうと思います。

  イッコウ君の仕事の紹介をしておきたいと思います。最近腸内細菌が話題です。私たちのお腹には100兆個とも1000兆個とも言われる腸内細菌がいて共存しています。このなかに腸の炎症を抑えたり、アレルギーを抑えたり、はたまた性格や知能にも影響すると言われています。イッコウ君はこのなかのひとつの菌がどうやって腸炎を抑えるのかを明らかにしました。この仕事の論文はアメリカの権威ある雑誌に掲載されて新聞等でも報道されましたしNHKも取材にやってきました。およそ5年の歳月をかけた立派な仕事だと思います。その甲斐あってか彼はこの春からN社の学術部門で働くことになっています。このN社ですが、ご存知のかたも多いかと思いますが、じつは昨年不祥事がありましてあまりいい評判は聞かれないかもしれません。しかし実はこの会社は本社はスイスにあるんですが世界中の製薬会社のなかで売り上げはナンバー1で、経済誌でも「世界で最も称賛される企業」において、3年連続で医薬品企業No.1に選ばれているんです。給料もべらぼうによくて30代後半で年収xxx万円を超えると言われています。ご祝儀渡す必要なかったですね。こんな立派な会社に入ってくれて指導教官としても大変鼻が高い。明日外国人社長と面談があるそうですが、会社に入っても持ち前の物怖じしない英語力を駆使してばりばりと成果を出してくれると思います。

 さてこういう席では人生の先輩として結婚について一言述べることが慣例になっているかと思います。ただこと結婚に関してましては残念ながら私も一度しか経験がなく、しかもいつも家内に怒られているダメ亭主ですのでたいそうなことは全く申し上げられませんが、ひとつだけ私から経験談をお話ししたいと思います。

 よく言われるように家庭というのは安らぎの場であろうと思います。特に『男は敷居を跨げば七人の敵あり』とも言われます。今の時代は男女とも外で働きますから、女性にとっても社会はストレスの多いものだろうと思います。そんなときに家庭が安らぎの場であれば明日への活力も湧いてくるでしょう。私は実は家族を九州において単身赴任中です。あるとき男の寿命を短くする最大のリスクファクターは『独り身』である、という記事をみつけました。すぐに女房に電話してそのことを伝えましたらなんと言ったと思います?『それは大変やわ、もっと生命保険かけんと』。残念ながら私はもう家庭で癒されることはなさそうです。では女性にとっての寿命を縮める最大のリスクファクターは何か?はい、皆さんの想像通りでそれは『亭主』です。イッコウ君も粗大ゴミにならないようにぜひ気をつけてください。ところで百田尚樹といベストセラー作家がいます。彼の『海賊とよばれた男 』 という本屋大賞を授賞した作品があります。このなかで出光興産の創始者の主人公が恩人に『私はまだ結婚というものをしたことがない。どうすればよい結婚生活を送れるか心構えを教えて下さい』と尋ねる場面があります。日田という恩人は『お前の苦労を一緒にしょってくれる嫁をもらえたら最高に果報者だ』と返事をします。さらに『しかしお前も嫁の苦労を背負ってやる気持ちがないといかん』と続けます。今の時代は幸せや楽しみを共有することばかりが強調されます。しかし外の仕事は過酷です。特にイッコウ君がこれから勤める外資は容赦がない。稼ぎがいいといいましたがクビになる人も多いと聞きます。しかしきっと玲さんとの家庭が彼の活力となっていい仕事をしてくれるものと思います。ぜひお二人で苦楽を共にする、という気持ちを大切に幸せな家庭を築いてください。

 まことに措辞ではございますがお祝いの言葉とさせていただきたいと思います。本日はおめでとうございます。

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