トップ  >  留学記(大石正信)

整形外科より平成13年入学。平成17年5月にボストンへ。

 米国での「下宿生活」も2年目を迎えた。現在が四軒目であるが、ご主人は以前日本料理店に住み込みで働いた経験のある親日家である。大のRed Soxファンで毎日中継に夢中になっている。米国人が野球好きだというのは本当のようで、ラボのPIにも年間指定席を購入している大ファンがいる。名前はヘンリー先生という。彼の話によると、シーズンチケットは年間予約だけでシーズン前にほぼ全席完売、フロリダなどで行われるオープン戦もほぼ完売というのが現状らしい。このため、複数の人と一緒に年間指定席を購入して、チケットを分けるのだそうだ。そのヘンリー先生と朝会うと,挨拶と同時に野球の話だ。大体は前日のゲームに関することが多い。(ヘンリー先生には一度試合に連れて行って頂いたこともある。)




大石正信(MGHにて)しかし、日本でおおいに盛り上がった(と聞いている)先のワールドベースボールクラシック(WBC)には米国民はほとんど興味を持っていなかったようである。むしろ米国大学体育協会(NCAA)バスケットボール大会の方に夢中になっていた。W杯サッカーも盛り上がりは今ひとつ。ラボには私のボスを含めイタリア人が多い為、おおいに盛り上がっているようには見えたが、米国人はあまり関心がないようだった。2002年のW杯以来日本ではおなじみになった、プチナショナリズムらしいものは米国には見当たらない。

米国ではテレビの様々な場面で軍人が出てくる。特に独立記念日などの、祭日の記念行事の中継などで見ることが多い。名前、出身地などが紹介される。そして世界平和とお国の為に戦場へ向かっているのだというようなことをリポーターが強調する。また、町のいたるところで星条旗を見かける。空港、駅の構内、車、衣服などなど(写真2)。このように、国やメディアは国民に愛国心を持たせることに熱心であり、多くの米国民もpatrioticである。つまり、ナショナリズムだらけなのである。にもかかわらず、スポーツの世界大会にはまるで興味を示さないのである。MLBの最終戦がAmerican seriesではなくWorld seriesでああることからして、「米国内のトップが当然世界一だ。」とでも考えているのかとも思える。それでは、米国人は外の世界に目を向けてないから、国際大会に興味がないのだろうか?

米国では、MLBのオールスター戦前後の数日間を除くと、1年中どこかで、プロスポーツの試合が行われているという。また、先にも述べたNCAAのバスケなどはプロの試合以上の視聴率を得る試合もあるという。NFLのsuper ball当日はみんながホームパーティーをやるため、酒屋は行列ができる程の混雑。試合中は路上にあまり人を見かけなくなる。このように、米国人は一年中スポーツを見ることを楽しんでいることは確かなのである。だから、国際試合より、身近な選手やチーム同士が戦う試合の方が面白いからそっちを見ている、ということなのだろう。

WBC日本優勝の翌朝ヘンリー先生が笑顔で言った。“Congratulations for JAPAN!”その表情には米国の敗退に対する悔しさなどみじんも見られなかった。

現在、松坂、岡島両投手の活躍をボストン市民は心から喜んでいるように見える。彼らの後ろにちらつくジャパンマネーのことを気にも留めてないようだ。


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